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生存と謎の敵、そして最後にできる事

 全身が痛い、だが私は死んではいなかった、アノラゾのおかげで一応体は守られたようだ。ヴォバォモに感謝しなければいけないな、本当に世話になる。

 目をつぶり、周りの気配を探る。いや、周りではないな、もっと遠く、この世界の中を探っていなかったのだ、外側までも探るべきだ、精神を集中する、普段は探知の詠唱に任せているが、もちろんそれを使わずとも位置を知るすべは心得ている。そうでないとここまで生きてこれていないからな。

 さて、私に何らかの攻撃をしてきた奴の気配を探しているとふと、近くに接近してきている何か、これは……初希か!? 今は正体がバレたとしてもそれよりも優先すべき事がある。沈みながら遠くまでの気配を探る。

 幸い思念を飛ばす事が出来たので世界の境界を越えて探すことが容易だった。

 そして、攻撃の主の思念を探り当てた、奴はどうやらあのエンドフォグと融合した魔物の中にいるらしい。

 心の中に侵入して声を聞く事は出来ないが思念から攻撃を食らわせる事は出来る、精神に働きかける波動を放ち、精神を殺す。思念の向こうで棒立ちになる敵を確認してから私は詠唱を使い、浮上する。

 今度は無効化されることなく身体が浮き上がった。やはりあの敵からの攻撃だったらしい。

 浮き上がりながら自分の身体を確認すると仮面は先程の衝撃で砕けてしまったので、詠唱で魔力の漏れを遮断して気配を消す、これで初希に見つかるまでの時間が稼げそうだな。

 それにしてもあの敵は何だったのだろう、マリーコールズではなかったが、それ以外の私と因縁のあるヤツでもなかった、知らぬうちにどこからか恨みを買っていたか? この世界から出た後で考えてみるか。

 そうこうしている内に海面を通り過ぎて空へと出ていた、怪物は未だにそこにいて、破滅への足音を慣らしている。しかも吸収したエンドフォグの力なのか、海を吸い込んでさらに大きくなっていく。

「どうだった? 大丈夫だった? いや、通信できるから大丈夫は大丈夫なんだけど心配は心配だよ!!」

「ああ、大丈夫だ、問題はない、今そちらに向かう」

 ソゥヲバーリュからの通信が入ったのでそう返し、私は速度を上げてソゥヲバーリュの方へと、怪物の方へと飛んでいく。

 気配を探ると初希は未だ海面の近くにいてこちらには気づいていないので、私は転移の詠唱を唱え、初希をここではない安全な場所へと転移させる。

 これからは危険だからな。いくら初希とて死にかねない。私がこの世界を出る前に初希に対してできる最後の事だ。悪いな、そしてさようなら。後で手紙書こうかとも思ったが記憶を消してしまった方が苦しませないで済むか?

 考えていたらソゥヲバーリュの背中が見えてきた。

「追いついたぞ、心配をかけたな」

「もう、ガゼル、心配しすぎて心臓がはじけたよ、一発殴らせろ!!」

「断る、今はそんなことしている場合ではないからな」

「うん、そうだよね……変なこと言ってごめん、お詫びに一発殴ってもいいよ」

「それも断る」

「今じゃなくていいんだよ、後で、後ででいいからさ」

「どうでもいい、それよりもこれをどうにかしなければいけないぞ」

 怒ったり落ち込んだりとせわしないソゥヲバーリュと合流し、私は魔物と向かい合う、膨れ上がった体で魔物はこちらに腕を振り下ろしてきたが遅い、躱せる。どころか躱す必要もない、これはチャンスだ。

「いくぞ、ソゥヲバーリュ、やれるな」

「やれないわけがないだろう!? なあっ!」

 テンションが急上昇して叫ぶソゥヲバーリュが右の拳を振り上げ、目を光らせる。世界管理官の使うコードの中でも使用制限がかかっているモノを使おうとしているのだ。ちなみに私が先程許可をもらったコードも使用制限はあるが今ソゥヲバーリュが使おうとしているモノよりは制限は緩い。

「世界の読み取り終了、原初へ干渉、全て完了、いつも思うけどこのコード確認めんどくさぁ、上に訴えようかな、まあ、いいか、コードG実行! いっけえ!」

 ソゥヲバーリュが叫び、辺りが光で包まれた。

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