外の世界と課外授業、そして群れ
「う~ん、ボクも用事が無かったら行けたんだけど」
「また機会があるさ、その時にどこかに出かけよう」
「それもそうだね、じゃ、いってらっしゃい」
モヂワクォメと軽く挨拶を交わし、私は世界の狭間へと出る。
そして先に狭間に出ていたココココ子とその背におぶさるエヂィペンに手を上げる。
「さ、行くぞ」
「はい! ピクニックなんて久しぶりですね~」
嬉しそうにココココ子が笑う。
実際はピクニックではなく課外授業なワケだが、そういう解釈でも別にいいか。
一方のエヂィペンはというとココココ子の背中に掴まり、平静を装った顔をしているが、わくわくした雰囲気は隠せていなかった。
外に行くのだから嬉しいのは当たり前か。
私は長く外の世界を飛び回っていたので、もうそんな感覚はあまり感じなくなって久しい。
そんな事は長く生きているのだから当たり前だな。
さて、では、とりあえず目的の世界を目指すとするか。
「さあ行くぞ、ついて来い」
「はいっ! 行きますっ!」
「結局どこに行くのか聞かせてもらっていないけれど、ま、楽しみにしているわ」
声をかけると嬉しそうに返す二人。
すまないが、その期待には全く添わない場所に連れて行くからな。
これは課外授業だ、多少危険が伴う所に行く。
未開領域と比べると蚊に刺されるくらいの危険さだが、危険じゃないからといって決して油断してよいという事は無い、その分学ぶことも多いし、エヂィペンの考え方も変わるだろう。
世界達の中ではいわゆる平均的な危険度なので、何かあった場合でも自分で解決できる程度にはなってほしい、そうでないとこの先一人になった時にあっという間に死ぬ。
ココココ子にしても、今回を通して、もう一度教育し直す、厳しくな。
こういうのを、愛の鞭だ、というらしいからそういう事にしておこう。
・
意志を持った粘液の塊が体を揺らし飛び掛かってくるのをエヂィペンは後ろに飛んで避けた。
しかし避けた先の足元にも同じく粘液が待機しており、踏ん張りが効かず、地面に倒れる。
そこに覆いかぶさろうとまたも別の粘液が飛び掛かるも
「っせいやあ!」
掛け声とともにココココ子が突き出した拳から発生した強風が粘液を吹き飛ばした。
その間に起き上がったエヂィペンはココココ子の元へと移動し、辺りを見回す。
私はそれを空から見ていた。
二人には私の姿は見えていない、どこかに行ったと思っている。
この世界に入ってから少し見て回った後、少し用事があると二人を残し、その場を離れるフリをして私は姿を隠し、魔物を呼び寄せた。
この平均的などこにでもある世界、二人が今戦っているのはそんな世界達の中で何故か多くみられるスライムと呼ばれる生物だ。
世界によっては顔がついていたり、言葉を発したり、人間に友好的だったりするが、この世界にいるスライムは、本当に粘液が蠢いているというだけで、不気味でしかも人を襲って食べる。
この世界では魔物と呼ばれる人を襲う生物がすむ世界で、その中でも弱い部類だ。
しかし、それは一匹であったら、という前提がありきで、群れに襲われている二人はなかなか抜け出せずに戦いを強いられていた。
「大丈夫ですか!? エヂィペンさん!」
「ええ、かすり傷程度よ、すぐに治るわ」
実際にエヂィペンの傷はマリィから生まれた生命特有の再生力ですっかり消えていた。
しかし、スライムの群れは二人の周りを取り囲み、逃がさないとばかりににじり寄ってくる。
ココココ子だけならば飛んで逃げられるだろうがエヂィペンはまだ飛ぶ事が出来ず、なら背負って飛べばという事になるがそれでは速度的にスライムの追撃を受けてしまう。
さて、この状況をどうやって打破するのか。




