器作成とサボり、そして教育
久しぶりの朝風呂もなかなか良いモノだった。
あの後、風呂から上がり、朝ご飯を済ました私は、すがすがしい気分で一度、自分に割り当てられている部屋に戻って来た。
今日の予定としては、私の身体の力を抑える器を作るためにこの館の中で過ごす、それだけだ。
ここに来て数日経っているので、器の完成にはあともう少しといったところだが、慎重に作る、細部までしっかり作りこんでおかないと私の身体は初希と共に住むあの世界では危険だからな。
早く帰って初希を安心させてあげたいと思う気持ちもあるが、それを抑えて集中する。
うっかり器が壊れました、で世界が滅亡してはいけない。
ちなみに私が今いるこの世界は影響を受けないか、と言われたらそんな事は無いが、モヂワクォメの作ったこの館に施された仕掛けの数々によって最小限に抑えられている。
さて、私は目を瞑り、己の中に潜っていく。
そうして自分の精神世界の中に入ってそこで器を作るのだ。
相変わらずどこまでも青い部屋の中に出て、私はその部屋の中心に浮いている作成中の器に手をかざす。
できるだけ前の器と同じように、しかし、バージョンアップというのか、前の器を作った後に学んだ技術や思いついたアイデアを加え、改良をする。
ほとんど器の肉体は完成しているので後はこの中身、器の機能をどれくらい向上できるかになる。
毎度毎度、この段階が一番時間がかかるが、まあ気長にやるしかないな。
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今日の作業はこの辺で切り上げておこうか、精神世界から意識を引き上げて、まぶたを上げる。
「あ、作業が終わったようね、おはよう」
と、開けた視界にエヂィペンの姿が現れた。
「いたのか、すまないな」
「いいえ、特に用があるってワケじゃないし、暇だったから来ただけだから、わたしの方こそ勝手に入ってごめんなさいね」
エヂィペンは少し頭を下げた。
「それで、私が与えた課題は終わったのか」
「そうね、まあ……うん……課題は、まあ、終わっていますよ」
「その言い方は終わっていない人間の言い方だが?」
外の世界に出たばかりのエヂィペンには、これから外の世界で生きていくために必要な技術や知識を習得するための課題を言い渡しているのだが、どうやら終わっていないようだった。
口では終わっているというが、目は泳いでいるし口調も違うとなればわかりやすい。
なんだか、ここに来てからエヂィペンがココココ子に似てきたように感じるな。
「ごめんなさい、終わっていないわ」
「う~~ん、そんなに課題は難しいモノだったか? それとココココ子とアアルはどうした?」
ココココ子は未開領域に行った時に私が教えた事をほとんど頭から落としたような振る舞いであったために、アアルに頼んでエヂィペンと共に課題に取り組ませていたはずだ。
「あの子とあの人形なら外で課題をやっているわ」
「という事は抜け出してきたワケか」
幻を使えるエヂィペンにとってはそのくらい造作もない事だろうな。
「だって、疲れたんだもの、あんなことが何のため位なるかもわからないし」
すねたように顔を私から背けて、エヂィペンは地面を蹴った。
そうだったな、出会った時はココココ子よりも理知的であったのでわからなかったが、エヂィペンには誰かから課題を貰った事など一度もないし、せっかく縛られていた世界から解放されたのだから気ままに過ごしたいだろう。
なら、課題ではなくて、別の方法で生きる術を身に着けさせるか。
私はそう思い立って異空間を開き、着替えを取り出した。
「ならばエヂィペン、少し外に出よう」
「え、いいのかしら?」
「嫌ならいいが?」
「行くわ、どこに行くのかしら?」
誘いに乗って、平静を保っているように見えるエヂィペンの目が輝く。
その姿もどこか最初に会った時とはかなり印象が違う、こっちの方が素なのだろうな。
さて、では授業開始と行こうか。




