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大きな気配と足止め、そして手荒に

 大きな気配は目には見えないようで境界は未だに私の視界に映っている。

 しかし、探知に引っ掛かったその存在は大きな体をもって行く手を遮っている。

「吹き飛ばせ、塵となれ、我、詠唱す」

 詠唱を使ってその気配の座標に爆発を起こしてみるも、特に気配は揺らぐ事は無く、そこに在る。

 後ろからのドラゴンのブレスを躱して様子を見てみたが、大きな気配はそこに在るはずなのに、ブレスはそこを通過して境界から世界の狭間へと飛んでいく。

 霊体か何かなのか、物理的な攻撃は無効されるようだ。

 脳内に浮かぶ探知のマップにはあるのに、どういう事か、これも幻影か?

 そう思うが、迂闊に近づいて何かされるのもまずい、今は背にココココ子が乗り、片腕にエヂィペンがつかまっている、下手をすれば巻き添えか、引き離されてしまう。

 転移してあの気配の後ろに出てしまえればいいのだが、世界が崩壊している影響で座標の指定がうまくいかない。

 世界の外までの転移だとこんなに近くにあるが、多大な魔力と時間を要することとなる。

 私が自分の世界から簡単に外に出られるのは私の家と世界の境界を開け放った状態で、上から私の詠唱で蓋をしているからだ。

 外から入る場合は、正当な入り口から入ってくるかコーポィアスのように無理やり境界を焼いてこじ開けるかしかない。

 ちなみにココココ子が入ってこれたのは私が許可した者にはふたを開ける方法を教えているからだ。

 物理が効かないとなればほかの方法を試してみるしかないな。

 じっとしていれば背後上空からやってくるドラゴンに追いつかれる。

 あの数のドラゴン、何とかできなくはないが、それだと脱出に間に合わない。

「生まれろ、脈動せよ、我、詠唱す」

 よって飛び続けながらも、生きる肉片を生み出して射出してみる。

 振動する肉片は大きな気配の近くまで行くと、突然に何の前触れもなく消失した。

 間違いなく何かがいる、境界を前にして私達の前に待ち構えている。

 肉片はあの大きな気配の中に取り込まれて吸収された事が探知からわかった。

 生命をエネルギーにする気配はそこから動く事は無いようで近づく私達には近づいてこない。

 だがそれだと私たちが通れない。

「ガっガゼルさん、何か今飛んでって消えましゅあがっ! 舌がぁ!」

 相変わらず騒がしい我が娘が背後で舌を噛んで盛大に血を撒き、私の背を濡らす。

 血は服に着くと落ちにくいし、初希に何をしていたのか問われそうなのでやめてほしいのだが。

「何か、いるのね」

「ああ、そうみたいだな、生命を吸い取っている」

 エヂィペンは冷静に状況を分析できているようで、私と同じく何かがいるということに気付いた、ココココ子、探索者であるお前より有能とはどういう事か、もはや私が教えたことをすべて忘却しているのではないかと思われるくらいだな。

 まあいいか。

「ココココ子、エヂィペン、ドラゴンの足止めを多少でいいから頼む、出来るか?」

「ええ、まあ本当に多少だけれど」

「足止め位ならおまかせですよ!」

 あの気配をどうにかするために私は二人にドラゴンの対処を任す、ココココ子は探索者として一応魔法などを持っているし、エヂィペンは私を眩ませた幻術があるのでドラゴンを止められる。

 さて、手早く済ませなければな……とは思ったモノの、どうしたらいいか。

 この気配に何が有効なのか、未知の世界というのはこれだから困るな。

 生命を吸収するのなら逆に生命を失ったらいなくなるか?

「滅ぼせ、消失せよ、生きる者よ、我、詠唱す」

 そう思い、私達が巻き込まれないように範囲を設定して詠唱をする。

 ドラゴンが何匹か失速したが、大きな気配には特に変化がない。

「ぜぇりゃああああ、リュフコォサウェ・コチョ!!!」

 ココココ子がドラゴンに向って吠える、どこかの世界の呪文のようで魔力が流れるとドラゴンの群れの中に近くのモノを引き寄せる球体が複数出現し、何匹かのドラゴンが球の周りに吸い付いたり、バランスを崩してほかのドラゴンと衝突している、おまかせ、というだけはある。

 エヂィペンも幻術を使っているようで、ドラゴン同士が互いを食い合ったり、見当違いの方向に飛んでいったりしている。

 多少というにはあまりある足止めだ。

 二人がしっかり活躍してくれているのだ、私もやるしかあるまいな。

「ココココ子、エヂィペンを連れて私の背から離れろ、少し手荒にやる」

「わかりました、やっちゃってください!」

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