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回復と決意、そして名付け

 視界が一度暗転した後、先程までいた場所と同じような風景が現れた。

 正面に私達を転移させた人形がいて、ほっと安心したような顔をした後、私に頭を下げる。

「ありがとう、何とか助かった」

「いやいや、少し遅くなりまっした、そのせいでご主人様達に多大なダメージを負わせまっした事、まことにお詫び申し上げます、ごめんなっさい、すいまっせん」

 思念で礼を送ると至極落ち込んだ様子で謝られた。

「詫びる事は何もない、私はこうして生きているのだから」

 そう言いながら私はしゃがみこみ、人形の頭を撫でた。

 人形の大きさは私の膝の丈より少し大きいくらいだ。

 実際、あのドラゴンのブレスを浴び続けたら危ないところで、もしかしたら私は死んでいたかもしれない。

 だとするならば、この人形は私の命の恩人であり、感謝こそされど叱られることはないと思うのだが、この人形の性格的に持ち主である私が傷ついた事に負い目を感じているのか。

 真面目な性格なのはいいことだが少し考えものかな。

 幸いにも私に撫でられて、気分がいくらか良くなって、明るい表情になったのでよかった。

 さて、これからどうするか、一時的に逃げられたといってもドラコンが追ってくる確率は少なくない。

 それまでに体勢を整え、負ったダメージを回復しなければならないのでこの場に留まる事は決定だろう。

 ちなみに一緒に転移してきたココココ子は私の手を握ったまま気絶している。

 障壁なしでブレスを浴びたため、黒こげの塊になっているが徐々に再生しているので回復はおそらくするであろう。

 というワケで人形にココココ子の治療を任せ、私は回復の詠唱をして身体からダメージを取り除く。

 服もボロボロになってしまったのでビリゥヴァの中から新しい物を取り出す。

 ビリゥヴァも多少焦げて、組み込まれた防御の術式がすべて壊れていたがそれでも収納機能はしっかり使えたので良かった、今度修理に出そう。

 さて、と探知の詠唱によりドラゴンがどこに行ったのかを探る。

 私たちの近くに反応はないが、空から突然来るかもしれないので上も探る、念を入れて地面も探る、しかし、先程までいたドラゴンの反応はどこにもなくなっていた。

 奴がブレスを吐いている間に転移したから跡形もなく消えたと思い込んでくれたのだろうか。

 それでも、空の上からこちらを見ているかもしれないので警戒はしておこう。

 ドラゴンの子供は反応はあるが動いてはいない、ココココ子の一撃で気絶したと思われる。

「う、う~ん、はっ! 生きてる!!」

 生命力の強い事で、先程まで消し炭だったココココ子は健康的な肌色で五体満足に復活した。

 これで探索を再開できる。

「目覚めたか、身体に異変はないか?ココココ子」

「ガっガゼルさんも生きてる、よかった~死んだかと思いました、でも見ての通りピンピンしてますよ」

 そう言いながらピョンピョン飛び跳ねて見せるココココ子、どうやら問題はなさそうだ。

「あっ!人形さんがいる」

 そして足元にいる人形に気付いてしゃがみ込む。

「そいつが私達を転移させて助けてくれたんだ礼を言っておけ」

「へぇ~そうなんですか、ありがとうございます、えっと、ガゼルさん、この子、名前ってあるんですか?」

「名前か……」

 私は過去を思い返してみたが、この人形の作り主も確かこの人形に名前を付けていなかったはずだ。

 誰かの元に行く時に別れがたくならないようにと名無しだった。

 それから私の元に来たが、特に人形の方から望まれなかったので考えた事もなかった。

「名前、欲しいか?」

「頂けるのでっすか? それだったら欲しいでっす」

 思念を飛ばし、聞いてみたら結構勢いよくそう返って来た、欲しいのか、それだったら……

「アアル、それがこの人形の名だ」

「アアルちゃんですか、ありがとうね、助けてくれて」

 ココココ子がアアルにお礼を言うとアアルもぺこりとお辞儀を返した。

 その顔は名付けられたのが嬉しいらしく笑顔だった。

「ありがとうございまっす、このアアル、より一層ご主人様に尽くします」

「そうか、よろしく頼む」

 思念にもあふれんばかりの嬉しさがあった。

 これは他の人形にも名をつけてあげた方がいいのだろうか。

 帰ってからやる事が増えたな、ああ、目的を果たしたら絶対にここから帰らなければ。

 私は決意を新たに探索を再開した。

 ちなみにこの後集まってきた他の人形たちにも予想通り名前を付けてほしいとねだられた。

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