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ダメージと転移、そしてカウントダウン

 多くの世界に存在するドラゴンは人間以上の知性を持ち、強大な力で世界を守ったり破壊をする。

 また、世界の狭間を飛んで旅をしている者も少なくない。

 人間のように性格は様々で孤高を貫く者から友好的な者まで様々だ。

 私にもドラゴンの友人はいる。

 隙を見て私を食べようとする食欲旺盛な奴が。

 あいつの毒の息吹もこの位の威力だったな、と輝く銀のブレスを浴びながらそう思う。

 障壁も張っているが、それを通してなお私の身体はエネルギー波の衝撃によりダメージを受けた。

 突然の事だったのでココココ子を守る暇がなかったが大丈夫だろうか。

 ブレスが収まって来たのを見計らいココココ子がいたあたりに目を向けてみると、

「あいたたたたた、痛いいいいい!」

 苦痛にうめき声をながらのたうち回っていた。

 下半身は吹き飛び、残った上半身は焼けただれ、原形をとどめていないが、声を発しているので生きている、相変わらずの生命力だな。


「グドゥオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッ!!!!!!!!!」


 まだ怒り冷めやらぬドラゴンの咆哮が山を、私達を揺らす。

「ガガウッ!」

 それに応えるように近くから吠える声。

 見ると先程まで奇妙な形をしていたドラゴンの子供が、頭上を飛ぶドラゴンと同じような姿になっていた。

 大きさは私より一回り大きいくらいか。

 先程のブレスを吸収して成長したのだろう、形がしっかりしていて目も口もあるしっかりとした生物だ。

 ここは逃げた方がいいか。

「ココココ子、大丈夫か?」

「すごく痛いですけど生きてます、ふんぬぬぬ」

 痛みにうめきながらも、ココココ子が歯を食いしばり体に力を入れると、下半身が生えてきて、身体の焼けただれたところが再生してきれいな肌に戻った。

 ココココ子の生まれついての再生能力である。

「よし、それなら逃げるぞ」

「わっかりましたぁ!どうやって?」

「転移する」

 言って、私は無声詠唱をしてこの場からの脱出を試みる。

 しかし何も起こらない。

 先程の咆哮で詠唱を封じてきたのか、ならばこっちか。

「ココココ子こっちへ来て私の手を握れ」

「はい!失礼します」

 ココココ子が手を握るのを確認して私は山の中にいる人形の一体に思念を送る。

「聞こえるか?」

「はいはい、どうしたんで?今そちらに向かっている最中でっす」

 思念の方は通じるようですぐに返事が返ってきた。

 私の人形は喋る事は無いが思念を交わすことで会話は出来る。

「今どの辺にいる?」

「ご主人様から見て山の裏側でっす、ワタシからもでっかいドラゴンの羽見えてまっすけど、それよりかなりの高エネルギー反応でっしたけどお怪我はないでっすか?」

「多少はダメージはあるが大丈夫だ、ドラゴンの目から逃れたい、転送機能を使ってくれ」

「はいぃ、かしこまりまっした、転送システム起動、座標A点、座標B点、チェック完了、転送対象を確認、魔力供給OK―—―」

 転送機能、人形の元へ生物や物を送ったり、逆にこっちに送ってもらったりできる機能だ、ものすごく魔力を食うが、頭上のドラゴンを倒すよりはいくらかましだ。

 淡々と人形の転送準備の声が思念を通じて響くのを聞きながら私はドラゴンの様子をうかがう。

 近くにいるドラゴンの子供は警戒しながらも、こちらに攻撃しようと口を開いている。

 頭上のドラゴンは体の周りに魔力の球を無数に生み出し、今にも撃ち出してきそうだった。

 さらに口元にもエネルギーが溜まってきて、またブレスを吐き出そうとしているようだ。

 障壁を張る暇はまだいくらかあるが、私は人形に魔力を回しているのであまり強い障壁を張れない。

 ココココ子の方は先程の障壁は完全に破られていたので、あまり期待は出来ないだろう。

「転送準備完了、転送まで残り10…9…8…」

 人形のカウントダウンが始まる、だがそれが終わるまでドラゴンが待っているはずはなかった。

 頭上のドラゴンはブレスと魔力の球を放ち、その子供は開いた口で噛みつこうとしてくる。

「7…6…5…」

「やるぞ!ココココ子!」

「えっ?やるって? うわあああああああああ」

 つないだ手に力を込めてココココ子を振り回し、ドラゴンの子供のあごを下からかちあげる。

 ちょうど振り回されたココココ子の足が当たり、身体強化された足がドラゴンの子供をのけぞらせた。

「うおええええええ!! 怖い怖い怖い怖いぃぃぃぃおおおおおわああああああああ!」

 振り上げたココココ子を頭上で回し、頭の横にたたきつけた。

 かちあげられたドラゴンの子供はあっさり吹っ飛びコィモも中に突っ込んでいく。

「3…2…1…」

 しかしドラゴンの攻撃は防げない。

 何も遮るもののないブレスがあたる。

 さらに魔力の球も当たり、吹き飛びそうになるがここで吹っ飛ぶと座標がずれて転移が失敗するので、踏ん張って耐える。

 焼け付くからだ、意識が遠のいてゆく。

「転送開始!!」

 だがギリギリで転送は発動し、私はドラゴンから逃げる事に成功した。

 

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