調査と街、そして合流
思念を飛ばしてみたが、森の中に生物が多いのと、思ったよりも距離が離れてしまったことで、オンジェヤの居場所が分からなくなり、探知は不能だった。
まあ、マリィコールズの居場所は把握できるので向っていればいずれかは会えるだろう。
姿を消す詠唱を再度行い、ついでに自分が発する物音を隠す詠唱もしておく。
そして、私は頭の中に映し出されたマリィコールズの群れの居場所へ飛んでいく。
オンジェヤの思念を探しながら、森の中を出せるだけの速度で。
今のところ、マリィコールズがこの世界でしようとしている事がよくわからないな。
コーポィアスの世界をオンジェヤに襲わせる事で何をしようとしたのか。
それとも私をおびき寄せるために友であるコーポィアスの事をだしにしたのか。
だとするならば私の事を利用して何かを引き起こそうとしているのか?
いや、私の事をよく知っているマリィコールズがそんな愚かな作戦を立てな……くもないが、作戦に際して動員しているマリィコールズの数からしてそんな作戦を立てる者が指揮をしているワケがない。
だとするならば何なのか。
先行したオンジェヤが何か情報を得ているといいのだが。
森の端が見え、その先に続く草の禿げた一本道に沿って飛ぶ。
風は微かに草の匂い、修復の詠唱をかけた右腕は肘の少し先までまで回復している。
私がこの世界に入ってきた時に見た町が遠くの方に見えてきた。
マリィコールズの群れの反応はその街の中へと入っていく。
そしてバラバラに別れた。
厄介なことをしてくれる、舌打ちをして街へと急ぐ。
街まであと少しという所で私はようやくオンジェヤの思念を見つけた。
「オンジェヤ、私だ」
「っ!その声はガゼルさん、追いついたんですね!よかったです」
私が思念を飛ばすとオンジェヤは嬉しそうにそう答えた。
「ああ、そちらも無事でよかった、それで今どこにいる」
「わたしは今、街の中にいます、ですがこの街、何かおかしいです、人の気配が全くしない」
「確かにそうみたいだな」
街に人がごった返していたら、こんなにすんなりとオンジェヤの思念を見つける事は出来ないし、それ以前に町に飛ばした私の思念で感じ取れた人間の数があまりにも少なかった。
ただし、マリィコールズは一様に洗脳されているので思念は皆一様に私に思考を読まれないように同調を拒否されるのでそれを除く。
明らかに私達をおびき寄せる罠か?。
それでも街の中へ入るしかない、オンジェヤはすでに入っているし。
入ってマリィコールズを残さず消さなければならない。
この世界の平和のために。
そして、私の穏やかな生活のために。
ここで奴らを殲滅する。
私は街の中へと入っていく。
・
街は外から見るよりも広いらしく、立ち並ぶ一軒家やマンションの群れ、そこはマリィコールズ共が隠れるには絶好の場所である、私の探知の詠唱がなければだが。
一つ一つばらけたマリィコールズの群れをしらみつぶしにしていく事は出来るが時間がかかるので、先にオンジェヤと合流することにする。
その後で一気に決着をつける。
「私も今街の中に入った、一度どこかで合流しよう」
「どうやってですか?」
「わたしが一度、詠唱を唱えて爆発を起こす、オンジェヤはそれを合図に小さく光の詠唱を使って空に打ち上げてくれ、それを頼りにそっちに向かう」
「なるほど、爆発で気を引こうという事ですか」
「それに気づかれたとしてもこっちは近づいてくる奴らを探知できる」
合流の方法が決まったので早速行動に移すべく私は詠唱を唱える。
散って隠れているであろうマリィコールズが全員釘付けになるくらいに大きい爆発、運がいいのか人の気配はなく、関係ない人間をまきこむことはなさそうなので、多少建物も倒壊させる位の詠唱を選ぶ。
「はじけ、全て崩れ去れ、飛べ、燃えろ、消えろ、我、詠唱す」
唱えた次の瞬間に目を潰さんばかりの閃光、ついで鼓膜を過剰に震わす爆音、起こした爆発は棲海破邪子との一戦で起こした爆発の数倍はある規模で盛大に周りを巻き込み、いくつかの建物は跡形もなく消え去り、またいくつかのビルを倒す。
舗装されていた石畳の道路は原形をとどめず、下の地面ごと抉れて消えた。
爆発の最中、空に目を凝らすと一つ輝く昼の星。
そこに向って私は飛びながら、詠唱の逆探知の詠唱をする。
するとオンジェヤの居場所が頭の中にマリィコールズの居場所同様浮かんで来た。
それを頼りに私はオンジェヤの居場所へと飛んでいく。




