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ライバルと天使(悪)

「うわー!!人がいっぱいだなー!」

召喚の森を出ての第一声はそれだった。

その活気はもう見ることがないと思っていた、スクランブル交差点を彷彿させた。…まぁ長崎生まれだからテレビでしか見た事はないんだけど。

「召喚の儀式はここでしか行えないからな、毎年世界から魔法学校の卒業生があつまるのだ」

成る程、そうみると少ないくらいだ。魔法学校に誰でも通えるって訳じゃあないみたいだ。

「ちょっとサインもらって来ていいか?」

使い魔と思われるオカルト生物に、がまんできずミリアに聞く。

「手短にな」

ヒャッハーーー

昨日はネギを巻くのに必死で着替えるのを忘れていて良かった。ボケットの中には都合よくメモ帳とボールペンが

入っていた。察しの良い人なら分かるかもしれないが、今僕は制服だ。ボケットの中にはケータイも入っている。

「誰かと思えばリスメールじゃあないか」

手がない生物のために、今度から手形用のインクを用意しようと、密かに決意しながらサインをもらっていると、ミリアに偉そげな少年が話かけてきた。

「ふん、そいつがお前の使い魔か?貧弱だな。どうやら何でもできるとか言っていたお前でも召喚術だけは不得手だったようだな」

ずいぶんな言い方にさすがに腹をたてた僕は文句を言おうとしたがミリアに右手で遮られた。

「ほう、随分な言い様だな。しかし、そう言うのならお前の使い魔は、さぞ立派なのだろうな」

ミリアも少し怒っているらしく挑発的な言い方をする。確かにこういう偉そげな奴程口だけだったりするから、上手くゆけばこのまま話を終えることができたが、残念なことにこの少年はよほど良い使い魔を手に入れたらしく、更に偉そげな雰囲気が増しただけだった。

「聞いて驚け、僕は天使を召喚した」

天使がどれ程凄い使い魔なのか知らないがさっきもらったサインの中に天使の物はなかった事から、よほど珍しい物だということは分かった。

凄く…サインが欲しい!

「そんなに凄い使い魔ならぜひ見せてもらいたいな」

どうやらミリアは信じてないらしい。裏をかえせば、それほど天使を使い魔するということは凄い事なのだろう。

「そうだろう。よし、お前ちょっと顔見せろ」

どうやらミリアの予想は外れたらしい。

少年は後ろに向かって言うと、突然羽のはえた少女があらわれた。より正確にいうなら少女は最初からいたのだけれどなぜか今まで気にならず、少年に呼ばれて急に意識に入るようになった。

「私がエーミール様の使い魔でございます」

話の流れを理解していることから、やはり最初からいたのだと確認する。でも今はそんなことより…

「失礼でしょうが、サインをいただきたいのですが!」

「もちろんいいですよ」

あっさりOKをもらえた。隣ではミリアがジト目でこちらを見ているし、エーミールと呼ばれた少年が呆然としているがかまわない。天使が目の前にいてサインを求めない人間がいるだろうか?いや、いない。

「どうぞ」

「ありがとうございます!」

天使の少女から手帳を返してもらった。見てみるとそこには天使の少女の名前、マンセマットの文字が…。……………マンセマット?

僕は知識を総動員させてマンセマットについて思い出す。僕の記憶の中のマンセマットを三行で説明すると

1.文献によって天使だったり悪魔だったりする

2.キリスト教における必要悪と呼べる存在

3.司るのは敵意等の物騒なもの

「エーミール、君はこの娘の名前を聞いたかい?」

「まだだが、それがどうした?」

「強く…生きろよ」

名前を聞いていないのは、恐らく天使を呼んだ事に舞い上がっていたからだろう。僕の個人的な意見では、マンセマットは下手な悪魔より質が悪い。エーミールの幸せも長くもたないだろう。エーミールは僕がなぜこんなことを聞いたかわからないらしく、変な奴を見るような目で僕を見ている。

「成る程、本当に天使みたいだな、しかも下っぱの天使ではなく、そこそこ力のある天使みたいだな。

しかしそうなると不思議だな。そんな天使がなぜエーミール程度の召喚術に応じたんだ?拒否する事もできただろうに」

ミリアはついにエーミールの使い魔が天使だと認めたらしい、しかしそうなるとミリアの言ったような疑問が浮かぶ、召喚の魔法もやはり使用者の力量によって呼び出せるモノが違うのだろうし、この少年にマンセマットを呼べる程の力があるとは思えない。

「それは……そのぉ…」

ミリアが質問したとたん、マンセマットは下を向いてモジモジしだした。よく見ると顔が真っ赤だ。

「私がエーミール様に。その……一目惚れしたからです。」

非常に恥ずかしそうだったがはっきり言った。

その言葉を聞き、俺は空を見上げ深呼吸した。

ああ、空気がキレイだ。この空気を吸えただけでここに来た意味がある。

(っておい!エーミールってモテるのか!?)

現実逃避を止め小声でミリアに問う。

偉そげな態度は女子の顰蹙を買うものだと思っのだけれど…

(一応魔術の成績はよくてな、あの態度も相応の実力があるからこそのものだ。さすがに天使を呼べる程ではなかったはずだったのだが…)

ミリアも突然のマンセマットの告白に少なからず驚いているようだが、ちゃんと答えてくれた。

しかし、エーミールがモテるとなると別のもんだいが出てくる。

(1エーミール告白される

2それを知ったマンセマットが嫉妬する

3告白した女の子逃げてー

ってのがありありと想像できるんだが…)

マンセマットの司るものから考えると否定できないな。

なんて、事を考えてる間ずっとエーミールは自慢話をしていた。

僕の魅力は種族を越えてしまった。あぁ、僕はなんて罪深いんだろう。

とかそんな感じだ。どうやらその自慢話も終わったらしくエーミールは先に行くとか言ってさっさと去って行った。

「なんか嵐みたいな奴だったな」

僕はありのままに感想を述べた。

「あいつは適当にあしらっとけばいいさ」

そこそこ付き合いが長いのだろう。ミリアがアドバイスをくれる。

「あ、そういえばいい忘れてた事があった。知ってればいいんだけど…」

「どうした、コーマ?お前はエーミールの事をほとんど知らないはずだが、何か言うことがあったのか?」

僕のつぶやきにミリアが反応する。

「いや、あいつあの天使を女だと思ってたみたいだけど、天使って…両性具有じゃないっけ」

「あぁ…」

がんばれエーミール!

強く!強く生きるんだ!

投稿がずいぶん遅れてすみません

(待ってる人が居るかわかんないけど)

言い訳をさせてもらうと新入生なので部活になじむのが大変だったり、その関係で幼女に囲まれてたりしたんです。

いえ、犯罪ではなく。


という訳で四話でしたが、エーミールの名前は国語に教科書に出てくる彼がモデルです。

なんとなく

ライバル→嫌な奴→エーミール

って頭に浮かんだんです。


トイレでこれ書いてたら親に怒られた…

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