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しまんちゅ・すろーらいふ   作者: げんごろう
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海に行こう

はじめまして!げんごろうです。

今回が初投稿になりますのでよろしくお願いします。


公立三島高等学校

日本の隅のそのまた隅にある小さな島の唯一の高等学校である

全校生徒300人前後と少なく、さらには島に就職先があまりない上に大学や専門学校もないため島外へ進路を取るものが多数

高齢化社会も手伝って人口減少の一途を辿るこの片田舎へ1人の少女がこの島にやってきて1か月程経ったある日のこと



「枢ちゃんが引っ越してきてもう1ヶ月かぁ〜」


甘ったるく間延びした声で彼女、飯ノ瀬戸最夏は声をかけ近づいてきた


「最夏暑い。ひっつかないで」


長谷川枢

都会の中学校を卒業し、このど田舎の島に引っ越してきた少女である

色気づくということを知らないこの学校の中では1人だけ茶髪でとりわけ存在感を放っていた

さらにはスカートを短くおり、使っている筆記用具も派手

男子生徒からはもちろん学校中からもてはやされるのは言うまでもない


「えー、お昼一緒に食べようよぉ〜」


「だからってそんなに近づくことないでしょ」


まだ梅雨入りもしてないというのにその日は異様に暑かった

衣替えが行われていないので学ランの男子生徒たちはかなり辛そうである

枢自身も暑いのは苦手でこの時期でこんなにも暑ければ真夏はどうなってしまうのだろうと今から心配になっていた


「そんなに暑いならぁ、海行こぉ?」


「あんた馬鹿なの?まだ5月じゃない。この時期に海で

泳ぐなんて余程のアホしかいないわよ」


そう言うとクラスの全員が枢に注目した

何を言っているのかわからないいう表情をしている


「あたし、なんか変なこと言った?」


流石に気まずくなったのか小声で最夏に呟いた


「んとねぇ、今くらいの季節に海で泳ぐのは普通だったりしてぇ」


うへへーと彼女は間の抜けた笑顔を浮かべた

その口角はまるで棒有名RPG冒険者の最初の敵である

そのスライムほっぺ揉みしだいてやりたい


「うそでしょ!?梅雨もあけないうちに泳ぐの!?ここは沖縄か!」


あまりの衝撃に立ち上がり大声を上げてしまった

やはり何もかもが元の環境と違いすぎる

気候といい人間といいまるで外国だ

言葉が通じるのは唯一の救いというところか


「それじゃぁ今日行こぉ?枢ちゃんまだ部活入ってなかったよねぇ?」


たしかに部活には所属していない

どう言う訳かこの学校は何かしらの部活に所属しなければならないと言う謎ルールが存在するらしい

だが枢は部活に所属する気など一切ない

教師に説得はされているものの無視している

意外とそれで通るものだ


「なんで今日なのよ。まさか学校終わってから行くつもり?てかあんた部活あるでしょうが」


「大丈夫だよぉ。私たちボランティア部は不定期開催だから今日することないんだぁ」


そんな適当な部活があるのか

もういっそそこに入部にてしまおうかと半ば諦め気味に思うのであった


「はぁ、わかったわよ。行けばいいんでしょ」


「それじゃぁうちに集合ねぇ。枢ちゃんの海デビューだよぉ〜」


いきなり決められてしまったがしょうがない

郷に入っては郷に従えというものだ

皐月の海とやらを堪能してやろうではないか

期待と不安を織り交ぜながら、午後の授業を受ける枢であった


ーーーーーーー


終業のチャイムがなり教師が教室を後にした

生徒たちは各々の部活へ向かっていく

中には学校の体育館ではスペースが足りないので離れた場所にある町立の体育館へ走って移動してから部活を始める者もいるのだという

それだけで体力がつきそうだ

もちろん、2つの意味で


「枢ちゃん、かーえろぉ」


最夏が声をかけてきた

殆どの生徒が部活へと向かっている中では異様な光景である


「ヤッパリ慣れないわね。こうも一斉に教室から人が

消えたら置いていかれてるような気になるわ」


談笑などもせずにそそくさと行ってしまうのはやはり遅れたら先輩に怒られたりするのだろうか

部活というものに所属したことのない枢にとっては訳がわからないことであった

少しだけ罪悪感のようなものを感じていたりもする


「気にすることないと思うよぉ。みんなやりたくてやってることだと思うし、それに圭人もいるよぉ?」


最夏はそう言うと廊下側の席を向いた

そこには1人の男子生徒が机に突っ伏している


「んん?おー最夏と長谷川、まだ帰ってなかったんか?」


名前を呼ばれて気がついたのか体を起こしこちらに話

しかけてきた

この船崎圭人という男は最夏の幼馴染でいつも眠そうにしている

最夏と仲が良くなるにつれ同じ地区で同じバスで帰るということもあり少しずつ話す様になった

「また寝てたでしょぉ。バスに遅れても知らないんだからねぇ?」


最夏はそう言うとぷくーっと顔を膨らませた

スライムスマイルといいあざとすぎる

こいつ実は狙ってんのか?と枢は密かに思った


「あ、そうだぁ。圭人も海行こうよぉ」


「ちょっ!?最夏!?」


男と海に行くなど都会ではリア充しか発生しないイベントである

最夏も彼氏がいなかったわけではないが海は行ったことがない

それをあの男と?

しかも友達つれて?

いかがわしい、なんていかがわしい

と逞しい妄想を繰り広げる枢であった


「なん?アワビでもとりに行くん?」


「違うよぉ。枢ちゃんの海デビューだよぉ」


(今アワビって言った!?)


密漁的なとんでもない言葉を聞いた気がしたが枢は聞こえなったことにした

やはりこの島は何かがおかしい


「今から海って長谷川も田舎に染まってきとんやなぁ。まぁ暇やしいくわ」


「えへへ、決まりだねぇ。最夏ちゃんもいーい?」


「まぁ、別にいいけど・・・」


コイツなら大丈夫か、と考えることにした

それにしても圭人のエセ関西弁のような喋り方はいつ聞いても慣れない

本人によると方言と共通語が混じってしまったとのことらしいが聞いているこちらからしたらはた迷惑な話である


「それじゃぁ3人で帰ろっかぁ。バスもーきちゃうよぉ〜。」


「はぁー、ったくなんでこんなことに・・・」


何はともあれ教室を出ることにした

このバスを逃すと次のバスはなんと2時間後という不便さである

ちょっとした居残りでも致命傷になりかねないのだ

流石は田舎クオリティ

便を増やしても乗る人間がいなければ意味がないのであろう

幸いバス停は学校の目の前なので乗り遅れることはなさそうだ


「うーみ♪うーみ♪」


「流石にまだアワビもサザエもおらんよなぁ。イカ釣りしとってええかな?」


バスの中でも2人は楽しげである


(水着、どこに直したっけなぁ)


そんなことを考えながら、枢は窓の外を眺めていた













最後まで読んでいただきありがとうございます!


感想、ご指摘等もらえると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今の季節にぴったりの海に囲まれた島の話 小さな島でどのような恋愛が繰り広げられるのか 続きが楽しみです!
[良い点]  しまんちゅって事は沖縄が舞台なのかな?  タイトルの『すらーらいふ』も、何か意図がある?  まったりした空気が良いですねー。  最夏ちゃんが良い味出してます。  こう言うタイプの小説は…
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