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仮面の紋章使い  作者: 9BO
Chapter4:番狂わせの学武会
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 通常武器による攻撃のほとんどを阻む魔獣の魔力の鎧も、ホーンラビットはそのほとんどを角に集中しているため、他の部位は守りが薄い。

 攻撃力こそ高いがホーンラビットはGランク魔獣であり、殺傷力の高い銃であれば魔装でなくともダメージを与えることが可能なのだ。

 故に、最大の脅威による角による攻撃を避けるため、遠方からの射撃と言うのが最も安全でよく用いられる討伐手段である。

 しかしその方法は、今回のように接近を許してしまった場合は適用できない。

 近接戦闘を行う場合は、挟み撃ちにより一方が注意をひき、もう一方が背後から叩く。

 それがかなわないならば、ホーンラビットの正面軌道上に立つ場合の突進を警戒・回避して、その背後を叩くというのが一般的で、正面からの攻撃は避けるのが常道だ。

 防御は低いと言われるホーンラビットだが、最大の脅威である角は攻撃だけでなく防御としても脅威であり、魔力のほとんどを纏った角と武器で打ち合えば、質の良い魔装でなければ武器破壊されかねないのだ。


 バーデルの武器は魔装だが、品質としては中の下。

 武器破壊の可能性は高く、当然正面からの打ち合いは避けるべきところだ。 

 

 ホーンラビットの一匹が、バーデルに向けて突進する。

 俊敏性は高いが直線的なその攻撃を、バーデルは軽やかに――上空へと回避した。

 重力を感じさせない軽やかな跳躍で、軽く2~3メームほど跳躍したバーデルに、ガルディウスは感嘆する。

「身が軽いですね。」

 戦略的には特別優れた回避ではないが、その身体能力の高さは一目瞭然である。

 宙で身を反転したバーデルは、着地を待たずナイフを投擲した。

 そのナイフはまっすぐホーンラビットへ向かった――かに思えたが、途中でその角度を変えた!


「はいっ!?」


 ホーンラビットへ届く直前、直角に軌道を変え自らの方へ向かってきたナイフをガルディウスは紙一重で回避する。


「な、何で今のがこっちへ飛んでくるんですか!?」


 はじめから全くの的外れならともかく、ホーンラビットへ向かって飛んでいたナイフが軌道を変えて自分に飛んでくる非常識に、ガルディウスは珍しく声を荒げた。


「わざとじゃねえよ!」


 バーデルは怒鳴り返しながら着地と同時に身をひるがえし、背後からハンドアクスをホーンラビットへ向け振り下ろす。

 完全に背後を取った完璧な一撃!――と思いきや、それだけでは終わらない。

 直撃を食らったホーンラビットごと、ハンドアクスがガルディウスに向け飛んでくる!

 ハンドアクスの刃はホーンラビットに埋もれているが、ホーンラビットの角がまっすぐ突進してくるのだから、充分な凶器だ。

 なんとかサイドステップで回避したガルディウスは、思わずバーデルへと顔を向ける。


「わ、わざとじゃねえよ!」


 繰り返されるその台詞に、バーデルの異名を痛感した誰もが抱く感想をガルディウスもまた抱く。


「その方が性質が悪いです。」


 わざとならば、まだコントロールが可能なだけマシだ。

 図らずとも両手から武器を失ったバーデルは、冷え切ったガルディウスからの視線から目をそらし、残る二匹のホーンラビットを素手で撃退するが――その際も、バーデルの攻撃と共にガルディウスへと強大な魔力が放出される。


 ホーンラビット程度の魔獣であれば、援護を必要としないくらいにバーデルは強い。

 しかし、逆にバーデルと共闘する仲間にとっては、バーデルこそがホーンラビット以上の脅威となる事実をガルディウスは体感したのであった。





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