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ガルディウスのことをクロードに教えずにいるユハスだが、クロードがガルディウスのことを知るのはそう遠くないと認識している。
ガルディウスには、神眼と紋章術しかないのだ。
おそらく――彼が進級するとなれば、その頃には遅くともクロードは気づくだろう。
進級前に残された一番の好機は学武会だ。
単位を満たしている一年の実技を見るのにこれ以上の機会はない。
サザーラの院内クエストを続けながらも、クロードは学武会を紋章術における実技一位の生徒を見つける好機ととらえていることだろう。
単位不足で参加しない場合や、参加しても紋章術は使わない可能性も考えているだろうが――その正体を知るユハスからすれば、単位は足りていると知っているし、参加するなら必ず紋章術を使うと踏んでいる。
おそらくクロードは、学武会でガルディウスの魔術を目にする――ただし、それで紋章術が使われているか気づくかどうかは話は別だが……
(どうせ近々気が付くなら……この機を利用するのが面白い。)
一年生とはいえ、クロードの戦闘能力はすでに学院内でもトップクラスだ。
誰とペアを組もうとも、まともに戦えば一年ペアでは太刀打ちできる相手など存在しないだろう。
おそらく全学年をあげてペアを厳選しても、対抗できるペアは数えるほどしか存在しない――それほどの突き抜けた実力があるのだから。
しかし。
クエストを終えたユハスは、不本意ながらガルディウスが優れた魔法使いであると認めざるを得なかった。
正直に言えば、クロードの魔法をはじめて見た時以上の敗北感だ。
何せ、クロードには英雄クラスの魔力値がある。
いつか負かすとは思っているが、もって生まれた魔力値の差から現時点では負けてやむなし――そんな思いがどこかにあった。
だが――ガルディウスの魔力値はたったの50。それなのに最後のクエストを達成されたのだ。
10倍どころか100倍近い魔力値の差があるユハスの攻撃を、防ぎきる魔術。
魔力値の差を埋める魔術――ユハスが求める究極の形のひとつがそこにはあったが――それは容易に真似ることができるものではない。
とはいえ、クロードとガルディウスが無条件で戦えば――勝つのは間違いなくクロードだと思う。
ガルディウスは、純粋な後衛タイプの魔法使い。万能型のクロードに接近戦をしかけられらば、勝ち目はないだろう。
――けれど、純粋に魔法のみの勝負ならば?
つけ込む先は、前衛・後衛制度。
もしこれでクロードが前衛になるのならば勝負は決まっていたが、後衛になるというのならば勝機も見える。
魔力値で、魔法使いの優劣は決まらない。
(本当は俺の手で知らしめてやりたかったんだが……思いもよらぬダークホースにしてやられるあいつの顔を見るのも悪くない。そのためには……『いいパートナー』を宛がってやらないとな。)
心当たりは一人いる。
武術科一位のフェリクスと渡り合える可能性を秘めた、ガルディウスに負けず劣らずのとっておきのダークホースが。




