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仮面の紋章使い  作者: 9BO
Chapter3:秘匿されない魔術
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32

 ゴーレムを使う戦闘は、ユハスの得意分野ではない。


 しかし、相手がクロードのような規格外である場合を除けば――下級生の魔法使いにそうそう遅れをとることはないという自負がユハスにはある。

 クロードのような天才ではないが、自らが優秀であることをユハスは良く知っていた。


 そして、打たれ強いゴーレムが――ましては自分が造った一般的なゴーレムよりも更に守りの堅いものが――一撃でやられることなどあるわけないと……だから初撃を許容した。



「準備ができたら攻撃してこい。お前の初撃がクエスト開始の合図だ。」




 



 結論を言えば想像通り――確かに、一撃でやられることはなかった。


 だが――

 ガルディウスの宣言とともに放たれた一撃は、ユハスの予想をはるかに超えていた。 



「そ、それじゃあ……いきます!」


 宣言の直後、迸る閃光がゴーレムを貫く!



「なっ……」



 完全なる無詠唱。

 魔道具の使用形跡皆無。



(オイオイ……何をしやがった!?)

  

 ガルディウスの魔法を受けたゴーレムに、外傷はない。


 しかし、ゴーレムを操るユハスにはわかる。――魔法で貫かれた部分の核は、完全に機能を失っていると。


 使われた魔法の規模はそれほど大きなものではないが、ガルディウスの魔法が貫いた部位は最も核が集中していた場所だ。


 たしかに神眼で核の位置は完全に把握できていただろう。

 ゴーレム攻略において、無暗に攻撃するより核を狙う方がはるかに効率が良い。


 しかし、それを踏まえて――心臓部である核の守りは特に堅いというのも常識だ。

 それなのに――

 

(こいつ、一気に18も核を潰しやがった!)


 これがもし当初予定していた、核が一つのゴーレムだったらクエストはすでに完遂されていた。

 


(これで魔力値50だと?)


 ユハスは思わず口元を歪めた。――愉快さのあまりに。



 正直、ガルディウスが何をしたのか現時点ではほとんど理解できていない。

 けれど……なんて暴きがいのある魔術だろう。

 秘匿はしていないというが――少ない魔力でこれだけの成果を出す魔術に無関心でなどいられるわけがない。



「やるじゃないか。だが……まだ終わりじゃないぞ。」


 核以外のゴーレム本体はほぼ無傷。

 核もまだ8割以上残っている。



 予想を超えるガルディウスの実力に驚きはしたが――まだまだこのクエストを達成させてやるつもりなどユハスには皆無だった。

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