VOL142 「氷の微笑」
生物としての基本的欲求についての
考え方はいくつかあるが、
その中で最もシンプルなものは
食欲、性欲、睡眠欲である。
「明日に向かって撃て!」、
「愛と青春の旅立ち」など
邦題が原題からかけ離れている
作品は多くて、「氷の微笑」も同じく
なんのことかよくわからない。
原題「Basic instinct」(基本的欲求)。
サイコパスの精神構造に注目している
俺は、先述した3大欲求に加えて
「殺人」が決して除外することの
できないほど重要な欲求と
なり得るのか?に大いに興味がある。
「殺人欲」??
ひどい犯罪者でさえも多かれ少なかれ
本人なりの正義感や倫理倫を
持っているはずだ。
でも大量連続殺人など、
恨みや金銭目当てが動機ではなく、
ひとを殺すこと自体を楽しんでいると
考えられる人間は実際に存在する。
「氷の微笑」はシャロンストーンの
出世作であり、大ヒットとなった。
主人公キャサリンが警察から
取り調べを受けるシーンで
ノーパンで脚を組み替えた時に
「見えるか見えないか?」
が大きな話題となり、
「史上最も一次停止されたシーン」
の断トツ1位となっている。
ノーパンであるシーンなのに
下着が見えてしまうからと言われて
仕方なく脱いだシャロンストーンは
スカートの中までが映されていた
とは知らず、作品完成後の試写会で
激怒して監督のポールバーホーベンに
平手打ちを食らわせた。
弁護士から彼女が映画の差し止めを
することもできると説明されたが、
考え抜いて問題シーンもそのままで
上映することにしたのだった。
結果、シャロンストーンは
大スターへの道へ。
ポールバーホーベンはセックス、
暴力描写でたびたび物議を醸し出し、
変態監督と呼ばれている。
アカデミー賞授賞式前夜に
最低映画が選ばれるラジー賞で
「ショーガール」で最低監督賞を
受賞した時には史上初めて自ら
トロフィーを受け取りスピーチした。
「ロボコップ」、「トータルリコール」
とか俺は何回も観たけどなあ。
「氷の微笑」は問題のシーンの他にも
セックスシーンが何度も出てくるから
それがウリの軽い娯楽作品と
思われたりするかもしれない。
でももっと評価してほしい。
現代とは違ってネットでではなく、
辞書のページをめくって
かなり時間がかかったけど
英語での原作も最後まで読んだ。
映画は冒頭からショッキングだ。
男に跨った裸の女が男の両手首を
ベッドの枠にスカーフで縛る。
そして激しくセックスをしている
最中に狂ったように髪を振り乱して
アイスピックで男をメッタ刺しに。
この時点でもう俺は
惹き込まれてしまったのだった。
第一容疑者は元ロックスターである
被害者と当日会っていたキャサリン。
両親を亡くし、1億ドル以上の遺産を
受け継いだ彼女は豪邸で
ミステリー小説作家として暮らす。
彼女の作品の1つには
女がアイスピックで男を惨殺する
様子が書かれていたのだった。
捜査官達をもて遊ぶかのような態度で
落ち着き払って取り調べを受け、
自ら申し出てウソ発見器までパスした
キャサリン。
「あれでウソをついているとしたら
人間じゃない。」
警察は証拠もなく手出しできない状況
となったが、ニック刑事だけは彼女が
犯人だと確信して調べを続ける。
実はコカイン中毒であり、誤って
観光客を射殺してしまった時ニックも
ウソ発見器をパスしていたのだった。
事件は続き、キャサリン、
そしてニックの元ガールフレンド
であり精神科医のベスの過去の
不可解な事実が次々と現れてくる。
ニックは捜査を進めながらも
キャサリンの魅力に翻弄されてゆく。
彼女はニックをモデルに、
アブナイ女に夢中になって
殺される刑事の話を書き始める。
これは危険すぎるゲームなのか?
バーホーベンはヒッチコック監督を
尊敬していて、この作品の中では
随所にその影響がうかがえる。
ゴージャスな家、調度品、高級車。
サンフランシスコの風景など
映像が美しい。
スリリングな音響はシーンに
実にマッチしている。
10分ごとに展開するストーリー。
そして、当時まだ有名ではなかった
シャロンストーンはこの計算高く、
冷酷で、美しいキャサリンの役に
これ以上ないほどにピッタリなのだ。
最後まで犯人が誰かは明らかに
ならないけど、状況から見て恐らく
キャサリンなんだろうという話。
いや、そんな推理よりも俺の
スルドイ目を信じろっ。
アイスピック殺人シーンの
女の胸の形、腰からヒップへの曲線。
それこそ正にキャサリンのものだ!




