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見えざる第三者  作者: ザ・ディル
一章 二〇一六年
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五話 コスプレひゃっほい

 

ここはどこか? そう聞かれて答える人物はいない。彼女たちは狂いに満ちようとしても満ち足りず、飽くなき狂いをしているのだから、答えることもできないし、下手したら自分たちがどこにいるのかさえ分かっていない。分かっているのはターゲットであるライムの家に来たという事象を理解しているだけだ。

 そんな彼女たちでも会話に似た何かは簡単にできる。


 「アラムっちー! なんかライムともう一人横にいる人が面白いこと始めそうだよー!」


 「……ええ、そうね」


 ある者--ライムを観察する彼女たちにはプライバシーの侵害などという人間の法から、逸脱している存在。当たり前のように不法侵入はする。人間であれば犯罪であるが彼女らは当然のように人間ではない。だからこそ、だからなのかはわからないが、彼女たちはそれを犯罪とは思わない。


 今日もアラムは"人"を監視し続けている。しかし"人間"の監視にはまだ、至らない。





*****





 今は十時三十分を回ったところといえば大方間違いない時間だろう。

 私、というか私たちはコスプレ衣装を着始めていた。

 

 「紗良ぁ、やっぱアンタにはこれが似合うわねえ」

 

 私は普段の私ではなくなっている。というのも私は趣味のことになると我を忘れるかのような立ち振る舞いをするからだ。

 

 「うーんそうかなー? イマイチパッと来ないんだけど。オマケになんかカツラまで被されてるんだけどー」

 

 そういいながらも紗良は私の作ったコスプレ衣装を着てくれた。

実を言ってしまえば、私はこのコスプレを紗良に着てほしいと強く思っていた。それは、黒を基調にしたワンピース、それをある程度覆うようにして純白無垢なエプロンが被される。 そして白のカチューシャにフリルを付けて、その他の装飾も身に着けることでその服としての価値を本領発揮することができる。

 つまり……、メイド服だ。

 

 「私も着るからお相子ってことでいいでしょー」

 

 そして、私もメイド服に着替えている。

 うん、多分、きっとお相子じゃないのは私が一番わかっているけど気にしない。だってメイドが二人だよ! 一人だけでも萌えるのに、それが二人なら萌え萌えだ。萌え萌えって今日日聞かないような気もするけど今はそんなことは気にしない。

 

 「とりあえず着てみたけどこれでいい?」

 

 「うん! それでいいよー」

 

 紗良のメイド姿はもう、それはそれは素晴らしいという一言に尽きる。

 

 サイズ自体は、過去に測らせてもらったので、それに基づいて紗良用のメイド服を作っていた。

 余談だけど、紗良は読モとしてどっかの雑誌に出せば売り上げがグンと増すって程にはスタイルがいい。正直言って羨ましい。私もスタイル良くなりたいけど、良くなったとしても読モになんか到底慣れない。その理由は、身長が小さいから……。

 多少のコンプレックスだ。小さくて、ジェットコースターに乗れなかったり、高い場所に手が届かなかったり、ロリコンみたいな人からストーカーまがいのことをされたりと、とにかく背丈が低いと悪いことだらけしか起こらない。


 でも、今はそんな嫌なことは忘れてコスプレを楽しもう。


 まあ、私のメイド服は小さくて、立派なメイド服ではないけど、それでもイイ線に行けるぐらいには出来映えがいいと思う。……でも、どうしても紗良のほうが映えてしまう。



 「うん? どうかした、ライム?」


 やばっ……、紗良なのに紗良じゃないと認識するほどの凄まじい破壊力だよ、このメイド服は……。

 早く写真に収めたい。


 「ねえ紗良。そろそろ写真撮らない?」


 コスプレと言えばやはりカメラに収めることで魅力が発揮されることもあるだろう。もちろん、素人の私であれば出来映えは悪くなってしまうかもしれない。

 でも今は何でもできる紗良がいるので、素で見るよりも栄える写真が撮れるはずだ。まあ、一眼レフなんてものはもっていないので、デジタルカメラで撮ることになるわけだけど。


 「もちろんだよー!! ライムはどんな感じに撮りたい? ロリメイドっぽく撮るのがいい?」


 「嫌だ! お姉さんメイドっぽく撮って」


 「仕方ないなーライムは。仕方ないからロリっぽく撮ってあげるよ!」


 「…………私お姉さんっぽく撮ってって言ったんだけど!」


 「じゃあ分かった。両方でどう? ロリっぽくも撮るけどお姉さんっぽくも撮る。これでいい?」


 「むう……。まあそれでいいや。じゃあ紗良あとはよろしく!」


 そして、紗良のテクによって私の分身は時止めの悪魔に囚われた。

紗良は私に向かって笑いながら、その写真を見せてくる。


 「結構いい写真撮れたけどー、やっぱりロリっぽく見えちゃうかなあ」


 「うおっ……! ホントにロリっぽい……」


 今まで何度か、紗良にコスプレを撮らせてもらう機会があったけど、その中でこれは完全にロリだと言われても何にも文句が言えないと自分でもわかるほど……ロリすぎる。

 

 自分で言うのもなんだけど、私はロリコンからの人気はヤバい。中学の時に一度、男子と付き合ったことがあるけど、その男子はロリコンだったというのに気付いた、というか気づかされた感じだった。

 だって、私とデートしているときメッチャ小学生低学年くらいの子を目で追ってるんだもん。正直ゾッとしたのでそれとなく別れようとしたら、今度はその彼がロリコン好きを認めてしかも私に迫ってきた。その表情が怖くて怖すぎて男性恐怖症になりかけた。

 まあ……、紗良がその場にスタンバってたから返り討ちにしてもらったけど。なんか紗良にはいろいろとお世話になっているな……。


 「やっぱライムのコスプレはロリっぽい方が似合うでしょ?」

 

 ……認めたくないけど、認めなければいけないほどに、私は幼く見えてしまう。

 背丈も小さくて、出るとこ出ないで、顔立ちも幼くて……。だから、

 

 「そうだね」

 

 そう答えてしまう。

 

 「じゃあさ、次は私を撮ってほしいかな。久しぶりに人に撮ってほしい気分になったよ!」

 

 「えっ……?」

 

 いつもは自撮りのように--いや、完全に自撮りだけど、それをせずに私にカメラ役を押し付ける……それがどのような考えを持っているのか、私はわからなかった。

 だから思わず「えっ?」と、聞き返してしまった。

 しかし、その反射で出した言葉の後になんとなくだけど、紗良が伝えたいことが分かった、気づいてしまった。私はコスプレ衣装を作ることは喜々としてするけど、コスプレ衣装を着た後の私は喜々としてそれを着ることはあまりしたくない……その本心を、本質を紗良は見抜いていた。

 私は着る人がいなかったから仕方なく、しょうがなくて着ていた。

 

 紗良は私以上に私という人間を理解してくれていた。

 そして、私に道を示してくれた。だから、私は応えるために紗良のコスプレ衣装を撮りまくっていった。



こうして、私がしたかったことは終わったけど…………、紗良のやりたいことを今思い出して、少し怖くなってきた私がいた。だって何も聞いてないから。

 

 

 

 

 

 *彼女たちはまだ実行には移さない。見極めて、判断して、しかしなんとなく仕掛けるからだ*

 *まだ、そのときではない*


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