第2部 雷は手のひらに
「さあ、剣を構えよ!」
剣を片手に持った僕は赤サツキに体を任せた。
「相棒、やるしかねぇよな!?」
(う、うん。出来るだけアドバイスはするよ。必殺技の特訓ってこんなにハードなんだな)
辺りにあるのは砲台のついた機械のようなもの。
卓球台が目の前にあり、各方角にひとつずつ、つまり4つの卓球台に囲まれていた。
恐らくあの砲台の中からボールが出るのだろう。
それを剣で切る。多分そんな感じだろう。
剣を振ったり、多少動いたりできるくらいの広さはある。
「いくぜ!相棒!」
「準備は良いか?それでは!特訓開始!」
合図と共に四方八方からボールが飛んできた。
「せいっ!はっ!」
飛んでくるボール全てではないがいくつかのボールは真っ二つに割れている。
(右、避けて。左、振って、避けて。切り返し。)
剣術に縁のないサツキだったが黒サツキが指示し、それに対して赤サツキが動く。
決して完璧、というわけではないがお互いに役割が存在していてまさにコンビネーションとも言える立ち回りをしていた。
(剣道とか剣術した事あるの?)
「ねぇよ。ノリと勘だけで斬ってるだけだ」
赤サツキは運動神経が良く殆どのスポーツをこなす。
剣を振るくらい容易いのだろう。
「辞め!」
ローランが合図すると機械が一斉に止まった。
「ふ、ふう。これくらい余裕ってばよ」
(でもよく刃に当たらなかったね)
両刃の剣は愚か者や未熟者が使えば脚や手を切ってしまいかねない。サツキはそれを心配していた。
「見事じゃ。では元のサツキの人格に戻せるか?」
(交代してもいい?)
「勿論だ」
サツキの眼が黒に戻った。
ローランは何かを察したかのようにニヤリと微笑んだ。
「やはりの。そなたの中の赤サツキは運動性能に優れた人格」
(まあ、そうだな。相棒よりは動ける。だが相棒は俺より頭が切れる)
「黒サツキにはもうひとつ重要な役割がある。それは特質属性を持っているという事じゃ」
「特質属性?」
「属性には炎、風、水、地の基本属性と光と闇の対属性そしてそれ以外の属性の事を特質属性というのじゃ」
(ふーん。なるほどな。ゲーム的なやつだな)
「で、僕は何の属性なんですか?」
「この前、そなたが寝ている間にそなたの布団の中に侵入して属性を調べたのじゃが…」
「ソレ、不法侵入じゃないですか!?」
ローランはサツキに近づくと互いの手を重ね、呪文を唱えた。するとゲームのコマンド画面のようなものがでてそこには僕のステータスのようなものアルファベットで表記されていた。
「ほれ、そなたの属性は雷じゃ」
「雷、ですか。確かに冬とかよく静電気に悩まされます」
(多分違うだろうけど、雷ってめちゃくちゃカッコいいじゃねーか!相棒!よかったな!)
赤サツキはかなり喜んでいるらしい。
「……?って事は魔法、使えるんですか?」
「まあ、使えなくはないが使えるようにはなりたいじゃろ?」
「うん」
「じゃあ……」
ローランが近づくと手を握られ、水が注がれるように魔力が僕の中に入った。
「はぁはぁ……。いきなりなんですか!ローラン様!」
「魔力供給じゃ。あとわらわのことはローランちゃんと呼べと言うたじゃろ」
(だけどこれで魔法が使えるんだろ?)
「そうじゃの。ではわらわの言う通りにしてみよ」
「わ、分かりました」
「手を上にかざし、魔力を集中させるのじゃ。そして雷が落ちるイメージを浮かべる、そして前に放つ!」
「手を上に、魔力集中。雷、雷……」
サツキは言う通りにしてみると
ピシャァン!
「痛っ!ぁぅぁぅ……」
「あー、やってしまったの。雷を頭の上に落としてどうする」
(あ、相棒…手、手を見てみろ)
赤サツキの言う通り手を見てみると静電気より強そうな電流がSF映画のように光っていた)
サツキは力を抜くと電流は消えてしまった。
「その手で触れるとスタンガンみたいに痺れそうじゃの」
「だけど異世界卓球とはいえ手は使えませんよ」
「そうじゃそうじゃ、わらわの考えておる必殺技じゃがあまり定まってなくての。雷鳴の如く速いボールでラケットをぶち壊すようなパワーを兼ね備えた技っていうのはイメージできておるんじゃ」
(……黒サツキの雷と俺のパワー…)
「そうだ!」
(そうだ!)
魔王の部屋
今回はこの人をお呼びいたしましたー!
「あ、ども。黒いほうのユキムラサツキです」
では今回もやってまいりましょう。
今回のテーマは属性です。
「あー、炎とか水みたいなやつですよね」
そうだね、炎、風、土、水の四つの基本属性と光と闇の対属性があるんだよ。
「僕は雷属性なのでどの属性にも当てはまらない特質属性なんですよね」
うん。その通り。
基本属性はゲームみたいに相性とかは無いけど対属性は互いに打ち消しあう性質があるんだ。
「だから、アスタロトとミカエラの必殺技がぶつかり合うと爆発的な反応を起こしたんだ。なるほどー。奥が深い」
他にも沢山のキャラクターが登場するけど、彼らの必殺技だけじゃなく属性に注目してみるのも面白いと思うよ。
「それでは皆さんまた来週〜」
じゃ〜ね〜。
「うん?諸悪の根源が目の前にいるから倒せばゲームクリアなのでは?」
「あ、えっと。失礼」
ボコっ……モクモクモク………
「け、煙玉?!ゲホッゲホッ……そう上手くはいきませんか」




