解明と謎
放火、殺人─
三通目は、二通目を読み終わった頃自席へ届けられた。
今までとはっきり違うこと。
文体が変わった。
どういうこと?
前半は、おかしな女性のおかしな文章って感じ。いつも通り。
でも後半は、明らかに違う。
怒りに震えた、母の・・・怨み。
ちょっと待て。
覚えがある。
交通事故被害者遺族の、復讐。
「交通事故、遺族、放火」
ウェブで検索する。あった。
十日未明、北区の一軒家で火事があり、住人と見られる焼死体─
別の記事
北区の一軒家火災で、北署に女が出頭し─
「怨みがあった」
まさか・・・。
一通目の手紙。
日本でサッカーの大きな大会。ワールドカップ。2002年。
娘が母を殺害。いや、当時七歳とか八歳か。もう少し後か?この時期のだと、ネットには残っていないかも。
資料室へ走る。新聞のスクラップや、報道記事のデータベース。
資料室のパソコンで、2002年以降。娘が母を、殺害。
あった。2010年。
西区の住宅で女性の遺体が発見され─
死因は絞殺とみられており─
娘と名乗る少女が「自分がやった」と証言しており、警察は慎重に─
二通目。
ハンケチ。2006年。その時中学生に上がったところで、高校生の時だから、2009年から2012年あたり。
元議員。孫。殺害。
元県議会議員の男性が死亡しているのが見つかり─
第一発見者は高校生の孫で、事情を─
高校生の孫を、殺人の疑いで逮捕。
「・・・なんだ」
どれも、実在の事件。
実在の事件をもとに、おかしなキャラクターにそれを喋らせる。おかしなバックグラウンドを付けて。コミカルに。
「やっぱただの、怪文書じゃん。手の込んだネタだ」
はは、手間取らせやがって。うざ。
資料室を出る。腹の虫が鳴った。そういえばお昼を食べそびれてた。
「カレー食べ行こ」
自席に戻ると、デスクに二通の封筒があった。
『きになるニュース御中 私、怒ってます宛』
「え?また?ていうか、さっき来てたのに」
「郵便局っぽい人が、それだけ紗和さんのデスクに置いて行きましたよ」
あたしの独り言に、総務の今井ちゃんが反応した。
「直接?」
「はい、デスクの方には行かないでって言おうとしたら、ささっと出てっちゃいました」
封筒を見て、あ、と声が出た。
切手がない。
三通目までの封筒を、デスクから取り出す。
切手がない。
気づかなかった。
ダイレクトメールとか、料金後納とかと混ざってたから、気にかけてなかった。
切手がない。
じゃあこの手紙は、どうやって、ここに来たの。
郵便局の人が、持ってきたはず。
「今井ちゃん、この三通の封筒、郵便局の人だった?他の郵便と一緒に来てたんだよね」
「うーん、どうだったかな。投書みたいなのですよね?確か最初は、下のポストに入ってた気がします。二通目忘れちゃったんですけど、さっきのは、それだけ持って来てました」
わざわざ、直接、あたしのところに。届けに来た?
四通目の封を、開いた。




