第七話 大尉府
今日、二話目!
「以上が、米減少の主な原因です」
僕はつらつらと纏めた報告書を口に出して言う。あの後から、分かった事はいくつかあった。
管理人を殺した人物は、軍の者だった。
けれど、彼に事情聴取をした所、それを仕向けた人物が居る事が浮上した。
つまり、黒幕である。
「にしても、困った困った」
瑶璃はそう言いながらも、笑っている。机に置かれている書類をペラペラと捲り、目を走らせていた。
「黒幕が居るとはねぇ」
米騒動にその黒幕は関係する。貯蔵庫からは見事に米が半分消えていた。複数人で運んだ可能性が高い。そして、そのまま他国に運んだ。
瑶璃はぽつりと呟く。
「まぁ、大半は大尉府が関係しているのかもしれないね」
「大尉府?」
僕は思わず聞き返す。
「そう。大尉府。軍を統率してる府だよ」
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というわけで今、僕は………。
大尉府に来ています。しかも、一人で。星蘭は、事情聴取の続きをしているため、不在である。
小さい頃からずっと、軍がたくさん居る所が嫌いだ。少人数ならまだしも、軍がこんなに沢山居ると隠れてしまいたくなる。
(断っておけば良かった…!)
今更、後悔しても遅い。瑶璃に大尉府の偵察をしにいけ――――いや、『死にに行け』と言われているようなものだった。
ずーん、と沈む。暫く、端の所で蹲っていると顔に影がかかった。誰だろうと上を見上げれば、薄水色の髪が視界に入る。
「こんな所で何をしているのです?」
服装からして、高貴な方なのだろうか。色鮮やかな衣を羽織っている。髪は肩に掛からない程の長さ。
何だか、女性に見える。声は少し低いが。
「言っときますが、私は女性ではありませんよ?」
「え!?」
思わず口に出てしまい、口を手で覆う。瑶璃の前ならまだしも、他の人にはまずい。
彼は腕を組む。
「それより貴方、何をしていましたか?」
「え、えーと。休憩を――――」
「そうでしたか。中々見ない顔でして――少し、気になっていたんです」
くすくすと笑う姿は、どこか色っぽい。すると、急に鋭い所を突かれる。
「白髪なんて珍しいですね。もしや、噂の?」
「う、噂?」
「はい。未来視を持つ属官が居るとお聞きしました」
(僕の事ですね。それ)
僕は苦笑いをしつつ、口先だけでも『光栄です』と伝えておく。
彼は腕を組んだまま、質問をする。
「次期皇帝はお元気ですか?」
「あ、はい。元気ですよ」
「そうでしたか。もしかして、大尉府に何か問題でも?」
(……この人、妙に勘がいい)
質問が多いなと思いつつも、僕は慎重に答えていく。
「ええ、まぁ……そんなところです」
彼は考えるように斜め上を見る。そして、そっと口を開いた。
「……話したい事があるので、お茶でもしましょうか」
「へ?」
沢山、行き交う人の中でその声だけがやけに大きく聞こえた。
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