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未来視の月華は選べない  作者: もんちょ
第一章 始まりの時
8/8

第七話 大尉府

今日、二話目!

「以上が、米減少の主な原因です」


 僕はつらつらと纏めた報告書を口に出して言う。あの後から、分かった事はいくつかあった。


 管理人を殺した人物は、軍の者だった。

 けれど、彼に事情聴取をした所、それを仕向けた人物が居る事が浮上した。

 つまり、黒幕である。


「にしても、困った困った」


 瑶璃はそう言いながらも、笑っている。机に置かれている書類をペラペラと捲り、目を走らせていた。


「黒幕が居るとはねぇ」


 米騒動にその黒幕は関係する。貯蔵庫からは見事に米が半分消えていた。複数人で運んだ可能性が高い。そして、そのまま他国に運んだ。

 瑶璃はぽつりと呟く。


「まぁ、大半は大尉府が関係しているのかもしれないね」

「大尉府?」


 僕は思わず聞き返す。


「そう。大尉府。軍を統率してる府だよ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 というわけで今、僕は………。

 大尉府に来ています。しかも、一人で。星蘭は、事情聴取の続きをしているため、不在である。


 小さい頃からずっと、軍がたくさん居る所が嫌いだ。少人数ならまだしも、軍がこんなに沢山居ると隠れてしまいたくなる。


(断っておけば良かった…!)


 今更、後悔しても遅い。瑶璃に大尉府の偵察をしにいけ――――いや、『死にに行け』と言われているようなものだった。


 ずーん、と沈む。暫く、端の所で蹲っていると顔に影がかかった。誰だろうと上を見上げれば、薄水色の髪が視界に入る。


「こんな所で何をしているのです?」


 服装からして、高貴な方なのだろうか。色鮮やかな衣を羽織っている。髪は肩に掛からない程の長さ。

 何だか、女性に見える。声は少し低いが。


「言っときますが、私は女性ではありませんよ?」

「え!?」


 思わず口に出てしまい、口を手で覆う。瑶璃の前ならまだしも、他の人にはまずい。

 彼は腕を組む。


「それより貴方、何をしていましたか?」

「え、えーと。休憩を――――」

「そうでしたか。中々見ない顔でして――少し、気になっていたんです」


 くすくすと笑う姿は、どこか色っぽい。すると、急に鋭い所を突かれる。


「白髪なんて珍しいですね。もしや、噂の?」

「う、噂?」

「はい。未来視を持つ属官が居るとお聞きしました」


(僕の事ですね。それ)


 僕は苦笑いをしつつ、口先だけでも『光栄です』と伝えておく。

 彼は腕を組んだまま、質問をする。


「次期皇帝はお元気ですか?」

「あ、はい。元気ですよ」

「そうでしたか。もしかして、大尉府に何か問題でも?」

(……この人、妙に勘がいい)

 

 質問が多いなと思いつつも、僕は慎重に答えていく。


「ええ、まぁ……そんなところです」


 彼は考えるように斜め上を見る。そして、そっと口を開いた。


「……話したい事があるので、お茶でもしましょうか」

「へ?」


 沢山、行き交う人の中でその声だけがやけに大きく聞こえた。





面白かったら、ブクマなどお願いします!

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