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第百八話 エルフの伝説

サトル達はユナに急かされ村を出発し出口へと出発していった。

それと時を同じくしてユナにより気絶させられていたゼファーが目を覚ました。


「う、ここは何処だ。私はいったい?」

そして、首筋の痛みに何が起きたかを思い出す。


「まさかここまでするとわ。村長の娘だからと無茶が過ぎる。」

ゼファーが首筋を擦って悪態をついていると、そこに3人のエルフがやって来た。


「気が付いたか。まずはこれを飲め。」

そう言って村長はゼファーにポーションを渡した。

ゼファーはそれを受け取り一気に飲み干して傷を癒すと村長を睨みつけた。


「村長、どういう教育をしているんだ。危うく死にかけたぞ。」

彼女は現在、村で最も強い戦士である。

彼女がもう少し理性を失い手加減を間違えれば、彼の首は折れていただろう。


「それについては謝罪しよう。私とてあいつは抑えられん。」

そう言って村長は頭を下げる。

それを見てゼファーはため息をついて諦め、謝罪を受け入れた。


「それで、ユナは結局どうなった?」

「彼らについて行ったよ。あの後すぐに準備を整えてな。我が娘ながら素晴らしい決断力だ。」

そう言って村長は彼らの去って行った方向を見て今後の娘の無事を思う。


「そうか。」


そしてゼファーは一瞬、悔しそうに同じ方向を見る。

しかし、次の瞬間には視線を残りの二人に向け立ち上がり声をかける。


「お前たちも元気になったのだな。」

「ええ、あなたのおかげよ。」

「父上、この度はご心配をおかけしました。今後も薬師として更なる高みを目指して頑張ります。」

そして、3人は抱き合い互いの無事を喜んだ。


その時、ゼファーの脳裏にある考えが浮かぶ。


「村長、先程の娘の件だが許す代わりに一つ俺の我儘を来てくれないか。」

ゼファーは村長に視線を向けマッドサイエンティストのような笑みを浮かべる。


「う、うむ。言ってみろ。」

村長はゼファーの突然の変化に動揺するが何とか返事を絞り出し。


「なに、大したことではない。俺の息子のシドを薬師として彼らのもとに送り出したいのだ。」

それを聞いてゼファー以外の3人は驚きに硬直してしまう。

しかし、ゼファーはそれに構わず話を続ける。


「俺達エルフは薬の製作、錬金が得意だ。息子は若いが腕はこの村でも上位に入る。逆にあなたの娘は戦闘面はトップだがこう言った小手先の作業は苦手だ。」


そしてゼファーはシドを見つめて告げる。

「シドよ。ここを出て外の世界を見てみたいとは思わないか?」

父親に話を振られシドは硬直を解いて悩む。

外の世界は彼にとっても魅力的な場所だ。

だがエルフにはある言い伝えがあった。


「ゼファーよあの話は知っておるな。」

村長は念のためにゼファーへと確認する。

「当然知っている。」


その話とは。

今よりはるか昔、そして別の世界。

そう、異世界での話になる。

そこでもこの世界のように「門」が出現し、その世界でもエルフたちが住んでいた。

だが、その世界ではエルフやドワーフは体を持たず、実体のない精霊のような存在であった。

そして、エルフは世界樹の子株を守護し、その世話をする事だけを使命にしていた。


だがそこに、ある異端が生まれる。

「ダンジョンを出て外の世界が見たい。」

一人の強い思いは周りに伝わり、更なる強い思いとなっていく。

そして、その思いはとうとうダンジョンのエルフ達を侵食していった。

そして、事件が起きた。

彼らは精霊たちに自分の意思を伝えるため世界樹の世話をやめたのだ。

そして、その世界の四大精霊や精霊王、世界樹の精霊がその異常事態に彼らの前に現れた。

エルフたちは精霊たちに訴えた。


「俺達は外に出てみたい。どうすればいいのですか?」

彼らの意思を聞いて精霊たちは説得のために外の世界について説明を始めた。


「あなた達の思いは分かりました。しかし外は危険です。

今は人間という種が無限とも思える争いを行い世界は混沌に満ちています。

もし、今あなた達が外の世界に出れば悲しい事になるでしょう。」


しかし、エルフたちはその言葉に耳を貸さなかった。


「そんなのは俺たちを騙すための嘘に決まっている。俺たちは奴隷ではない。ここから出る権利があるはずだ。」


その言葉を聞いて精霊たちは呆れと怒りをその男に向けた。

しかし、精霊王はそれを宥め、彼らへと手を差し伸べた。


「ならばあなた達に肉体をあげましょう。己の目で、耳で現実を知りなさい。」

そう言って精霊王はそのダンジョンのエルフたちに肉体を与えた。


その姿は人間に近く、そして男女ともに美しい。

そして長い寿命と高い魔力を持っていた。


一人の男を除き、エルフたちは精霊に感謝した。

そして、その場の多くの者が「門」を出て外へと出発していった。

そこに残ったのは幼いエルフの少女が1人。

彼女は生まれて間もないため彼らの思考に染まっていなかった。

彼女はただ精霊に感謝し世界樹の世話を続けた。

世界樹の精霊はその姿に感謝と喜びを感じ、彼女に加護を与え大事にした。


そして、外へと出たエルフたちはというと。

彼らは碌な服も身に着けず近くに見つけた人間の街へと向かっていた。

しかし、そこで第一の悲劇が起きた。

そこの街の兵士がエルフを発見し、その美しさに正気を失ってしまう。

そして、一人の女性を力に任せて町へと連れ去り自分の奴隷にしたのだ。


その国では奴隷魔術が認められ、一定の地位があれば奴隷を所有する権利があった。

兵士はエルフを奴隷とし、欲望のままに凌辱した。


しかし、時を置かずに奴隷商から、その町の領主へとエルフの話が伝わってしまう。

領主はその話を聞くと、その兵たちの元へエルフを奪いに走った。

恐らく時代も悪かったのだろう。

そこは中世ヨーロッパの世界に似ており略奪、殺人を行っても地位さえあれば許される世界だった。


領主は兵士の家に護衛と共に雪崩込み、エルフを渡すように勧告した。

男は命欲しさにそれに従う。

しかし、その時にはすでに兵士に犯しつくされ、そのエルフの目には生気が感じられなくなっていた。

領主は怒り兵士を拷問した。

すると兵士は他にもエルフが存在することを洩らす。


領主は即座に兵士を引き連れ、捕らえたエルフを牢付きの馬車に乗せると出発していった。


そして第2の悲劇が起きた。

領主はエルフを発見し彼らを包囲した。

エルフたちも攫われた仲間が心配で遠くに移動できないでいたのだ。

領主は人質の馬車を前面に出しエルフに勧告した。


「お前たち、言う事を聞けば悪いようにはしない。仲間も返してやろう。」


その言葉にエルフたちは迷わず従った。

彼らに疑うという考えは今この時には無かったのだ。


「分かりました。私たちはあなたに従います。」


そして、領主はその場でエルフたちへと奴隷魔術をかけていく。

その時の領主は心の中で邪悪に笑い歓喜が胸を満たす。

しばらくすると、エルフたち全員に奴隷魔術が掛かり逃げられなくなった。

すると領主の態度が一変する。


「ははははは。愚か者どもめ。これでお前らは俺の所有物になった。」


それを聞いてエルフたちは反感の声を上げる。


「騙したのか。」

「くそ、何だこの首輪、取れないぞ。」


そして焦っているエルフたちを前に領主は捕縛を命じた。


「くそ、皆戦うぞ。」

そう言って一人のエルフは魔力を込めようとする。


「があああーーーあ、頭がーー」

最初に魔法を使おうとした男のエルフは突然の激しい頭痛に倒れこんでもがきはじめる。

しばらくすると男は白目をむいて気を失った。

エルフたちは肉体を得たばかりで痛みによる耐性がほとんどなかった。


エルフたちはその姿に恐怖し全員素直に従った。


彼らの反抗の意思はこの時すでに折れていた。

そして、彼らにとっての地獄が始まる。


女性は領主に玩具の様に扱われ、男たちは奴隷兵として戦闘で酷使された。

そして、エルフたちは領主の子を身籠り始めた。

領主は最初エルフが生まれるものと思ったが生まれるのはすべて人間であったため大きく落胆した。

そして、男のエルフを使い潰し一人もいなくなり。

女性も無作為な拷問や出産の際の対応の悪さから数年で全て死なせてしまった。


だが最後のエルフから領主はある事を耳にした。


「ダンジョンに帰りたい。」


彼女は最後にそう言って息を引き取った。

領主はそれを聞いて再び邪悪な笑みを浮かべる。

再びエルフを捕まえればいい。

領主は再び兵を引き連れダンジョンの探索を開始した。


そしてそれほど時間をかける事無く領主は「門」を発見した

「こんな所にあったのか。」

領主は自分の街にほど近い森の中にひっそりと存在する「門」を見て邪悪な笑みを浮かべた。


「全軍突撃、一人も逃がすな。」


そして彼らは「門」へと入って行く。


そして、彼らはすぐに彼女を見つけた。

少女は見た目は15歳くらいだがこの世界では子供でも凌辱の対象になる。

しかし、一人しかいない事を怪しんだ領主は少女に詰め寄った。


「他の奴らは何処にいる。隠しても無駄だぞ。」

そして領主は少女の首を掴んで宙吊りにした。


「や、やめてください。ここにはもう私しかいません。」


それを聞いた領主は怒りに任せて少女の顔を殴り付けて地面に投げ捨てた。


しかし、その直後少女の傷は急速に癒えて行き傷跡も残さず治った。

領主はそれを見て再び顔を邪悪で笑みで染める。


「いい玩具を見つけた。」


そう言って領主は少女を連れて自分のテントへと入って行った。


領主は少女の手をロープで縛りテントの張りに宙吊りにした。


「何をするのですか。離してください。」

少女は今だ純粋な瞳で領主に訴えかける。


しかし領主はそれを見て、ただ邪悪に笑い、ナイフを手に取る。

そして、そのまま少女へゆっくりと近づいて行った。

少女はそれを見て何をされるのか理解し恐怖に顔を染める。

「やめて、来ないで。いや・・・いやーーーー」


領主は少女の服を破りその皮をゆっくり剥ぎ始めた。


「痛い痛い痛いやめて許して。」


泣き叫ぶ少女の声をBGMにして領主は笑う。

そして少女が痛みに気を失うと回復を待って目を覚まさせる。


「お前の声は最高だ。回復も勝手にするから楽しみがいがある。」


そう言うと領主は顔を少女に近づける。

そして、少女の耳に口を近づけその耳を食い千切った。


「あああああーーーー」

少女は再び訪れたその痛みに悶え苦しみ再び目に大量の涙を浮かべた。


そして、その時ダンジョンに激震が走った。


今日は数日に一度、ここに精霊たちが集まり彼女とお茶会をする日だった。

精霊たちが現れると兵士たちは警戒を現した。


「お、お前たちは何者だ。この地は領主様の物となった・・・」

しかし兵士は言葉を途中で止めた。

彼女たちは仮初の肉体で現れたがその姿は美しく兵士たちの欲望を駆り立てるには十分だった。


「予定変更だ。お前たちは俺達の奴隷にする。」

兵士は精霊たちを取り囲んで欲望に満ちた目で彼女たちを嘗め回すように見つめる。


その時、彼らの後方からよよく知る少女の声が聞こえて来た。

その悲鳴を聞いて最も愛情を注いでいる世界樹の精霊が即座にキレた。


その怒りは大地を揺るがし大気を震わせた。

そして四大精霊は目の前の兵士を一瞬で始末した。

ある者は水に切断され。

ある者は風に切り裂かれ。

ある者は石の杭に張り付けにされ。

さらに、全ての者は炎で灰すら残らず焼かれた。

そして精霊王は少女の声がしたテントへ突撃する。


そこは血の匂いにあふれ、足元には切り取られた少女の生皮が散乱している。

そして、宙吊りにされている少女は耳を食い千切られて涙を流していた。


領主は精霊王を見て怒鳴りつける。


「貴様、俺の楽しい時間を邪魔するとはなんだ。ん・・・」

しかし、領主は精霊王の姿を見て欲望が沸き上がる。


「そうだな、お前も俺の物にしてやろう。此奴の仲間を探していたが貴様でも構わん。」


それを聞いて精霊王は視線を鋭くして問いかける。


「その子の仲間をどうしたの?」

「なに、ちょっと遊んだら壊れてしまってな。ここに補充に来たのだ。」


そう言って領主は口に笑みを浮かべ精霊王を上から下までゆっくり視姦する。


それを聞いて精霊王の瞳から感情が消え冷たい声で領主へと告げた。


「この世界には間引きが必要ね。」


その言葉を聞いた領主は一瞬で視界が変わり気付けば自分の館にいた。

「これは何だ。何が起きた。」

領主は突然の事態に混乱する。

しかし、事態はこれで終わらなかった。


その時、その星は震えた。

その直後、大地は裂け豪雨が降り始め風は激しさを増していく。

そして山は火を噴き世界を混沌が包み込んだ。


人々は慌て、多くの者たちが災害に呑まれて命を落とした。

そして、ごく少数の者が「門」に逃げ込んで命が助かった。


しかし彼らはそこで再び多くの命を失った。

略奪、暴行等の犯罪を犯した者はいつの間にか姿を消していき、助け合える者のみが命を繋いでいった。


そして、半年後。

彼らは「門」から出て世界を見る。

そこには町も文明も植物さえなくなり世界は更地になっていた。

人々はその光景に絶望し地面に膝をつく。


しかし、彼らは突然聞こえて来た声に驚きそれを見上げた。


そこには6人の精霊がおり、人々を見下ろしていた。

周りの人々はいつの間にか周りの人間が増えている事に気付いたが今は空へと視線を戻す。


「この世界で生き残っているのはあなた達だけです。」

それを聞いて人々は再び周りを見回す。


そこには数万人の人がいるがこれだけしかいないのかと皆恐怖を覚える。

これからこの人数でこの何もない世界を生きて行かなければならない。


すると一人の精霊が手をかざした。

すると足元から植物の芽が出始め、あたり一面が草原となった。

遠くの山には樹木も確認できる。

また一人の精霊が手をかざした。

すると川が生まれ美しい水が流れ始めた。

また一人が手をかざせば何処からともなく動物たちが現れ世界へ散って行った。


そして数々の奇跡を起こした精霊たちは最後に人間に告げた。


「心無い人間が私達の大切な者を傷つけた。」

その声音は何処までも冷たく感情が一切感じれれない物だった。


「この度はその報いとしてあなた達人間で、心無い者全員を間引きました。

しかし、次に同じような事をすればあなた達を皆殺しにします。その事を忘れない様に。」

そう言って精霊たちは消えていった。


だが、彼らには今後新たな試練が待っていた。

放置された門からモンスターがあふれ、この世界はそれらで溢れかえった。

人間たちは長年モンスターと戦い駆逐していく。

その間に人間たちは団結し人同士の大きな争いは一切起きなかった。

人々は脅威と戦ったことで自然と統一国家が生まれ、長い間平和を維持し続けた。



読んでいただきありがとうございます。

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