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第百六話 サクラの初仕事 ①

サクラは今、皆と一緒に会社に向かっていた。

サクラは先日からの加護やスキル習得でかなりの変化が生まれている。

土宮 サクラ

レベル・・・15

力・・・・・49

敏捷・・・・51

防御・・・・62

器用・・・・78

魔力・・・・290


天職・・・・世界樹の加護・ノームの加護・精霊王の祝福・


スキル・・・・リジェネ・ラック・縁・エリアヒール・読心術・状態異常耐性


リジェネ

傷を負っても回復する。食べている物で効果変化。(部位欠損回復不可、即死時回復不可)


ラック

運気上昇(常時発動)


いい出会いが増える(常時発動)


エリアヒール

魔力を消費してエリア内の者を癒す。


読心術

相手の気持ちを読み取る。


状態異常耐性

全状態異常に強い耐性を持つ。


そして、会社につくとパーティーメンバーをどうするか話し合いとなった。

すると輝と栞が彼女を鍛えると言い出したので任せることに。

また、イクスとリーンもこれについて行く事となった。

サクラの武器は日本刀らしいので輝が指導すれば上達も早いだろう。さらに回復もできるのでパーティーを組むうえでは安心できる。


しかしそこで龍斗と美雪から待ったがかかった。


「ちょっとすまんが一つ頼みを聞いてほしいのだ。」

そう言って龍斗はサトル達のもとに近づいてくる。


「先日、俺たちの武器の浄化をドワーフにして貰った事は覚えているな。しかし、美雪の杖と舞さんの弓の浄化は出来なかった。」

それを聞いて皆思い出したように二人へと目を向ける。

あの時は全員それなりにお酒を飲んでいたのでつい今まで忘れていた。


「そう言えば、そうでした。たしかその時、エルフがどうのと言っていたような・・・。」

サトルは思い出そうと顎に手を当ててあの時の会話の記憶を探る。


「ははは。まあ、あの時は皆かなり飲んでいたからな。記憶があいまいなのも仕方がない。それで、本題だがこれから二人の武器の浄化に向かおうと思う。お前たちはどうする?」


龍斗はあの時に酒を飲ませた張本人の一人だがそんな事は笑い飛ばして皆にこれからの予定を確認した。


「それと、出来ればサクラには付いて来てほしいのだ。」

龍斗はサクラに視線を向けて告げた後、理由を話し始めた。


「彼らはウィンディーネとシルフの眷属に当たるらしいのだが世界樹信仰をしていてな。

しかも性格がかなり気難しい。」


そう言って龍斗は苦笑した。


「毎回かなり交渉に時間がかかるのだがサクラがいればすんなり話が進むと思うのだ。」


それを聞いて全員がサクラを見る。

しかし、理由を知らないサトル達はいまいち理由が分からなかった。

するとサクラが龍斗の話を補足する。


「それは私が世界樹の加護を持っているからですか?」

それを聞いて周りのメンバーも納得したり驚いたりしている。


「そうだ、彼らは森と共に生きている種族だからな。そのため彼らにとっては世界樹という存在は神にも等しいのだ。」


「それなら同行は構いませんが、皆さんはどうですか。」

サクラは今パーティーを組んだばかりの為他のメンバーにも確認を取る。

するとサクラのパーティーメンバーは全員了承した。

当然、同じように舞が行くのでサトルのパーティーメンバーも全員行く事となった。


「それなら今から向かうが行く前にサトルの家に行って相談してみよう。もしかしたら精霊達から何か頼まれるかもしれないからな。」


そう言ってまずは一行は会社を出てサトルの家に向かう。


サトル達が家につくと、ちょうど庭では精霊たちがお茶会をしている最中だった。

サトルは彼女たちに近寄り声をかけた。


「今日は外でお茶会ですか?」

すると、精霊達はサトルへと視線を集めた。


「どうしたの、先程仕事に出たはずだけど?」

飛鳥は昼にもならないうちにみんな帰って来たので疑問に首を傾げる。

そして悟はこれからエルフの所に行く事や、何日か家を空ける事を伝えた。


「分かったわ。あなた達が帰って来るまでここはしっかり護っておく。ただ一つ仕事を頼まれてくれないかな?」

そして飛鳥は弥生に視線を向け説明を任せた。


「実はエルフの村には世界樹の子株があるのだけど私が一度枯れてしまったから力が弱まっているかもしれないの。」


そう言って懐から小さな種を取り出す。


「もし、あちらの子株に何かがあったらこの種を彼らに渡してあげて。」

そして弥生は取り出した種をサトルへ渡した。


「これはここの世界樹とは違う物ですか?」

サトルは手にある種を見つめて問いかけた。

もし、これがここの世界樹と同じものなら先日の騒動に意味があったのか疑問がわいたためだ。

その事に気付いたのか弥生はさらに説明を続ける。


「それは、あくまで私からあちらへ力を送るための中継アンテナみたいなものなの。

だからもし私に何かがあったら一緒に枯れてしまうのよ。」


それを聞いてサトル達は納得して種をアイテムボックスにしまった。


「どうもあそこは私に近かったのがイケないのか、なんだか繋がりがおかしいの。もしかしてら枯れかけているのかもしれないわ。」

弥生は真剣な顔でサトル達を見つめる。

「その場合はどうなるのですか?」

「彼らの森にも影響が出ている可能性が高いから早く対処しないと彼らの森が枯れてしまうわ。だから急いでくれると助かるわ。」


それを聞いて一行は表情を引き締めて急いで向かおうとした。

しかし、それをシルフが止める。

「ちょっと待って、急ぎなら私がゲートを開いてあげるわ。ダンジョンの前までだけどそれで充分よね。」

サトル達は時間の短縮が出来るためシルフに頭を下げて礼をいい、シルフの傍に向かう。


そして、一行はシルフの転移で目的地、富士の樹海へと出発していった。

サトル達がゲートを潜った先、そこには鬱蒼と茂る森と「門」があった。

そして、先日のドワーフの件があったためか警備が厳重になっている。

彼らはいきなり現れたサトル達を警戒し武器を手にこちらへと質問を飛ばす。


「お前たちは何者だ?ここは政府の許可がない者の立ち入りは認められていない。」


その言葉を聞いて龍斗は懐から書類を取り出し警備の物に見える様に広げて前に出る。


「俺達は彼らに武器のメンテナンスを依頼しに来た。許可証もここにある。おそらく伝達も来ていると思うから確認してくれ。」


すると警備の物が腰のアイテムボックスから書類を取り出し確認をし始めた。

さらに龍斗の持つ書類を確認し問題がない事が分かるとやっと緊張が解けた。


「すまないな、先日別のダンジョンで不祥事があってな。」

そう言って書類を確認していた男は苦笑いしながら謝罪を口にする。


「いや、ここも重要な場所だからなこれ位でちょうどいいだろう。沖縄では苦労したからな。」


龍斗は小声で男に告げて自分たちの存在を匂わせる。


「あなた達が・・・」


その言葉に事情を知っているこの男は龍斗達に確認しようとする。

しかし、龍斗は自分の口の前に人差し指を当てて何も言うなとジェスチャーをした。

警備の男はそれを見て沈黙する。


「もしかしたらここもターゲットになるかもしれん。頼んだぞ。」


それだけ言って龍斗は「門」へと向かう。

サトル達もそれに続いて歩き出した。

先程の男は龍斗に対して敬礼し、事件解決の礼を無言で表現した。


そして龍斗達が「門」へ入るとそこはまたもや森の中だった。

しかし、先ほどの樹海と違い木々に元気がなくなっていた。

サクラは木に近づいて手で触れて様子を確認する。


「先日、凄く弱ってる精霊にあった事があります。その時の感じに似ていますね。」

そう言ってサクラは木から手を放してサトル達の元へと戻る。


「そうか、弥生の予想が悪い方で当たっているのかもしれない、龍斗さん急ぎましょう。」

サトルは今の言葉を聞いて龍斗へと声をかける。


「そうだな。急いで向かおう。彼らの村はこっちだ。」

そして、龍斗は先頭に立って森を進んで行く。

足元を見れば獣道のようなものが真直ぐ伸びておりその先には周りの木より倍はありそうな木が森から突き出していた。


「龍斗さん、目的地はあの木ですか?」

サトルは家の世界樹に似た木を視線に納めながら確認する。


「そうだ、もしはぐれた場合はあの木を目指せ。あそこが目的地だ。」


そして、一行はしばらく進むと突然木の上から何者かが矢を放ってきた。

その矢は龍斗の足元に突き刺さり一行は歩みを止める。

そしてほとんどのメンバーは樹上へと視線を向けた。

するとそこには、複数のエルフと思われる人物が全員弓を構えてサトル達を狙っていた。


エルフは皆、緑に統一された服を着ており、足にはブーツ。

鎧は皮のような音の立ちにくい物で急所を護る程度の物を付けている。武装は弓矢を構え腰にはナイフを下げているようだ。

肌は雪のように白く、髪は揃って金髪をオールバックにして後ろで縛っている。


「お前たち、何をしに来た?」

そのエルフは神経質にこちらを怒鳴りつけるように大声で叫ぶ。


「俺たちは武器の手入れを依頼しに来た。」

しかし、龍斗は逆に落ち着いた態度でそのエルフへと答え鋭い視線をエルフへと向ける。


「今はそんな余裕はない。今すぐ帰れ。」

「それは世界樹の子株に異常が出たからか?」

それを聞いてエルフたちは一瞬目を見開いたが弓にさらに力を入れて龍斗に鏃を向けた。


「何故その事を知っている?もしやお前たちの仕業か?」


そう言った男の目には殺意が宿る。

そして、手元を滑らした一人のエルフが、誤って龍斗に攻撃を仕掛けてしまった。

その矢は弓から放たれたとは思えない速度で龍斗の額へと飛んでいく。

しかし、龍斗はそれよりも早く左手を動かし、その矢を掴んで止めた。

龍斗は矢を掴んだまま手を下ろしてエルフたちを見つめる。

そして、彼らに警告を告げる。


「俺は温厚な男だが命を狙われて許せるほど優しくはない。次にこんな事をした場合はお前たちにもそれ相応の罰を受けてもらう。」


それを聞いた周りのエルフは額に大量の脂汗を浮かべる。


「それと、隠れている物が5人いるな。敵意がないなら早く出てこい。さもないと死ぬぞ。」


それを聞いて地面の藪に潜伏していた5人はその言葉を無視した。

森の民である自分たちを森の中で補足しきる事は人間には無理だろうと相手を侮ったためだ。

しかし、彼らは次の瞬間、意識を刈り取られ地面に倒れ伏す。

事前に気配を察知していた輝と栞が気配を消し、彼らの背後に周り込んでいたのだ。

2人は龍斗の忠告を無視した5人を敵とみなし即座に気絶させた。

殺されなかったのは今後の事を考えたからだ。

輝と栞は5人を抱えて龍斗達に合流する。

それを見た樹上のエルフは激昂して叫ぶ。


「貴様らよくも仲間をーーー。」


そしてエルフたちが一斉に弓を放とうとした時、彼らの後方から停止の声が掛かる。


「止めないかバカ者め。実力の違いが分からないのか。」


そう言って後方から別のエルフが歩いてきた。


「久しぶりだな龍斗、美雪。人間は100年ほどで老いて死ぬと聞いたが元気そうで何よりだ。たしか前回会ったのは30年ほど前だったか?」

「そうだな。まだ覚えてくれていて助かったぞ。」

その新たに現れたエルフは2人の知り合いのようだ。

3人は笑顔で昔話をしている。


「私たちは相手の魔力を感じる事にたけているからな。姿が少し変わったくらいでは見間違えたりせんよ。それで、今日はどうしたのだ?」

「まずはお前をみんなに紹介させてくれ。」

そう言って二人はサトル達の前まで歩み寄る。

「彼女はユナ、俺たちの古い知り合いだ。」


龍斗に紹介されたユナは他の物と同じように緑の服を着ているが鎧は胸を覆うブレストプレートを装備し、弓矢は持たず腰にレイピアを下げている。

髪は他の者と違いプラチナのように輝く銀髪をしており、日の光を浴びて美しく輝いていた。


だが、龍斗が紹介をしていると、再び先ほどのエルフが叫ぶ。

「お気をくけください。この者たちは世界樹の子株に異常が起きた事を知っています。」


それを聞いてユナは龍斗へと視線を向ける。

しかしその瞳には信頼があり、何か重要な情報をもってここに訪れたのだろうと龍斗へと問いかける事にした。


「精霊王から何か聞いてきたのか?」


その言葉を聞いて他のエルフ達はざわめき始める。


「いや、そちらではない。」

それを聞いた時、ユナは落胆に耳がしおれさせる。

しかし、龍斗の次のセリフを聞いてその耳は天に届きそうなほど突きあがった。


「世界樹の精霊本人から依頼されてきた。」


この言葉を聞いて周りの動揺は更に大きくなりそれと同時にざわめきも大きくなっていく。

「皆、静まれ。」

ユナは後ろに鋭い視線を向けて仲間たちを黙らせた。

そしてエルフたちが静まったのを確認して再び龍斗に視線を戻す。

「すまなかったな。それで、それはホントか龍斗。」

ユナは龍斗に近寄り、その肩を掴み確認した。

「ああ、本当だ。彼女は今の事態を予想して俺たちに対処法を授けてここに送り出してくれた。」


そう言って龍斗はサトルへと視線を向けた。

サトルは頷くとアイテムボックスから種を取り出して龍斗へと渡す。


「これが彼女から託された種だ。」

龍斗はその種をユナに見せるとその手に握らせた。

彼女はその種を両手で握り締めて涙を流した。


「よかった。これでこの森も救われる。我らは世界樹から見放されていなかったのだ。」

そして彼女は即座に行動を開始した。


「お前たち、彼らを村まで丁重に案内しろ。」

「畏まりました。」

「私はすぐに村長の所へと向かう」

そう言って彼女は走って行ってしまった。


そして先ほど叫んでいた男が近づいてきた。


「すまなかった。俺の早とちりでお前たちには迷惑をかけた。」

男は素直に俺たちに謝罪をした。

男の顔には先程迄の焦りもなくなっている。

恐らく、この異常事態に気が立っていたのだろう。


「気にするな。こちらに怪我人は出ていない。それに、森がこれでは焦るのも仕方がないだろう。」


龍斗は彼の肩に手をやり慰めの言葉を告げる。


「俺の名前はゼファーだ。何かあったら声をかけてくれ。」

そう言ってゼファーは笑いかけた。

「その時は頼らせてもらう。」


そして一行はエルフの村へと向かっていった。

読んでいただきありがとうございます。

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