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おねえさんはエコバックを肩に原付で異世界を爆走中  作者: 浦 かすみ


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第十五話 振り被ったら……当たった!




 疲れた……異世界人ってこんなに歩くの?正直、バイクに乗る為に、スニーカー履いてて良かったよ。


 ヒールのある靴なら、もう歩けなくなってると思う距離を歩いて、歩いて……何時間か経った。


 私の歩く速度が遅くなりかけたら、リライさんはさりげなく地図を見る為に止まってくれる。


 リライさんが気を使って、ゆっくりと歩いてくれているのが分かるし、休憩も多くとってくれるのも分かる。


 気遣いが素晴らしい。


「よし、川が近くにあるから今日はそこで野営にしよう」


「はい!」

 

 本当、リライさんと出会えてて良かったよ。原付バイク様と私だけじゃ、移動は楽かもしれないけど野生動物と戦う、解体のやり方等々……何も知らないまま都会に行って、大失態をしでかしてそうだもの。


 リライさんと共に獣道に入って暫く歩くと、川のせせらぎが聞こえてきた。


 疲れていたけど水音が聞こえて、歩みが速くなる。


「川だ!」


 嬉しくなって駆け出した時だった。


 本当、たまたまね?たまたまだけど、木の枝(武器)を振り回して走り出したんだよね。その時に川辺にあった丸太の影から、大きいネズミ?みたいな生き物が飛び出して来たんだよ。


『警告!!オーバオットと急接近!距離一メートル!』

 

 原付バイク様の警告音が既に遅いくらい、私とネズミさんが近づいちゃったのね。


「ぎゃっ!?」


 何度も言うけど、たまたまね?振り回していた木の枝(武器)がネズミさんに当たったんだよね。


 ピギィ!!……とかの叫び声を上げて、オーバオットのネズミさんは吹っ飛んでいった。


「オーバオット!?」


 リライさんが追撃しようと、剣を抜いたけどそれよりも早く原付バイク様が、またススーッとやって来てオーバオットに体当たりしちゃったんだ。


 リライさんは再びバイク様に吹っ飛ばされてしまった、オーバオットの姿にビックリして固まっている。


 リライさんには原付バイク様は見えないもんね……何も無いのにいきなり、ふっ飛ばされたように見えるよね。


『オーバオット、スキャン中……死亡確認』


 いや、アンタが体当たりしたから亡くなってるさ!……とは、原付バイク様には言えないままに、リライさんを顧みた。


 リライさんはオーバオットに近づいて行くと、剣先で突いている。


 私の木の枝に当たって倒れた後、もう一回はねられもんねぇ。どう考えてもおかしいもんね。


 リライさんは突くのをやめると、オーバオットの首を絞めている。血抜きしているみたいだ。


 力なくだら〜んとしている、オーバオットの鑑定をしてみた。


『オーバオット∶地中で生活する獣。攻撃的で動きは素早い。食用不可、皮と骨は買取可』


「ハヅキは怪我はない?」


「は、はい!大丈夫です!」


 リライさんは川辺に移動すると、ナデータの血抜きや内臓処理を始めた。


 何か気まずい……リライさんに近づくと後ろから解体作業を覗き込んだ。


 原付バイク様の存在をリライさんに教えるのは、正直怖い。


 異世界小説のテンプレでもある、異世界から持ち込んだ文明の利器が無双する!!みたいな状態になりそうだ。


 あれって、こちらの世界の常識を塗り替えてしまうくらい危険な事だと思うんだ。


「ハヅキ、この近くでロホカ草はみつからないかな?」


 リライさんは解体したナデータのもも肉を、深めのお鍋に放り込んでいる。


「ナデータとロホカ草の煮込み、美味しいんだよ?」


 リライさんは、いつもと変わらない穏やかな顔で尋ねてきた。


「……探してみますね!」


 決めた!悩んでいたって仕方ない。リライさんに聞かれたら、話せる範囲で話してみよう。信じてくれるかは分からないけど、話してみよう。


 私は川辺から離れた草むら辺りを『鑑定』してみた。


 立体パネルが立ち上がっているのが何箇所かある。その一つに近づいて見ると、『プーフー草∶解毒剤の主原料。独特の苦味のあるがニンニクに似ている。採取方法∶根が食用可、葉が解毒剤の原料。深く掘って根元から採る』と出ていた。


 おおっ!?探しているのとは違うけど、これは使える。


 プーフー草を掘り出し、保冷エコバッグ様に入れると次の立体パネル先に向かった。


 次のパネルは、麻痺回復薬の原料のロホカ草と出ていた。見た目は白菜みたいな葉野菜だった。食用で肉類と煮込むと美味しいと表示されていた。


 私は嬉しくなって木の枝で掘り出そうと、木の枝を大きく振りかぶった。


 また、ね?本当に、またやっちゃったのよ?


『警告!オーバオット急接近!』


 原付バイク様の音声より早く、私が振り下ろした木の枝の先に、オーバオットが地面の下から飛び出してきたんだよ。


「!?」


 当然すぐには止まれない。ただ恐怖のあまりに木の枝をめちゃくちゃに振り回してしまったのが、当たったんだろう。


 ピギィ!?という断末魔?のようなものが聞こえて、オーバオットは綺麗な弧を描いて跳んで行ってしまった。


『オーバオットのスキャン中……死亡確認』


 原付バイク様ありがと……でももう少し早く知らせて欲しい。


 正直、生き物の死骸に触るのは怖いけどオーバオットを回収して、ロホカ草と共にリライさんに渡した。


 ロホカ草はかなりレアな薬草らしく、リライさんは

すごく喜んでくれた。 


 ナデータとロホカ草の煮込み、大変美味しゅうございました。


 

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