第一話 スリップして異世界へ
原付バイク無くなってしまうんですよね、乗ったことないくせに書いてみました。宜しくお願いします
今日は給料日……
珍しく仕事が早く終わったので、魚が美味しいと評判の地元のスーパーで大好物の鯵、鯖、鰯、のヒカリモノの切り身を買い漁り、マイエコバックに詰め込んだ帰り道にそれは起こった。
スーパーの駐車場で、原付バイクの荷台にエコバック入れようとしたが、既に荷台の中は、通勤鞄と雨具などでいっぱいだった。
原付バイクを運転しながらの肩掛けエコバックは危険だ。
家まで五分と少々だけど……仕方ない、荷台に無理矢理エコバックを括りつけて原付バイクを発進させた。
そうして自宅マンションの近くまで帰って来て、曲がり角を左折した時に突然原付がふらつき、横滑りを起こした。
「っひ!?」
まるでスローモーションのように原付が倒れてスリップし、その勢いのまま滑って行き、目の前にはグレー色の外壁が迫っていた。
壁にぶつかる!!
この後に来るであろう衝撃に身構えた。しかし、何故かドスンと下へ着地した。……下へ着地?
正直、坂道でバウンドして地面に着地したくらいの衝撃しか感じなかった。
壁に当たったような、そんな痛みは一切なかった。
ゆっくりと目を開けると、体は倒れもせずに原付に跨ったままの状態だった。
「……え?ここ、どこ?」
目の前に見えるのは、家の近所の交差点ではない。舗装されていない土の一本道の畦道が見える。
どう考えてもおかしいぞ?
近所にこんな農道みたいな所はないはずだ。ただスリップしただけで、こんな道に飛ばされるはずがない。
周りに目を向けてみた。
森のような木々が覆い茂っている。農道ってこんな感じだったっけ?
恐る恐る自分の背後を振り返って見た。
やはり、畦道が一本続いている。遠くに行くと木々が鬱蒼としていて仄暗い。
こんな場所、近所に無いよ?おかしい、絶対おかしい。
手に力が入った。
その時に、原付バイクのグリップを握り締めていることに気が付いた。
私の原付!
慌てて手元を見て、原付のメーターに目を向けて驚きで仰け反った。
「無い……」
ガソリンメーターと速度メーターが無くなってる。私の原付ってこんなタッチパネルみたいなツルンとしたモニターついてたっけ?
あれ?キーの差込口が無い?えぇ?今、エンジン、かかってるよね?
さっきからハテナマークばかり浮かんでいる。
『ピィーーーー!!』
「ひえっ!?」
急に甲高い音が聞こえてきた。音は原付から聞こえてくる。
もしかしたら壊れたのか、警告音かも?
慌ててメーターがあった場所辺りを覗き込んでみた。
やはり速度計等があるはずの場所は、ツルンとしたモニターしかない。
その、つるんとしたタッチパネルモニターの中央部分に『未確認物体接近中、数は十体』と、出ていた。
なんだこれ?
しかも読んでいる最中に、モニターの表示が突然変わった。
『未確認物体接近中、距離三十メートル。捕捉確認、スキャン中……バルバウルフと判明』
「!」
ちょっとこれ!SFロボアニメものでよく見る、敵が近づいてくる、お知らせじゃないのか?
『ビッビッビッ』
明らかに警告音?の音が大きくなり音色が変わってきた。
接近中って……ヤバいんじゃないか?
「逃げたほうがいいのかな」
独り言を呟いた瞬間、またタッチパネルモニターの表示が変わった。
地図表示になり、赤く点滅しながら動いているマークが表示されて、右上の端に『回避ルートを表示しますか?』と出ている。
これは……車の渋滞回避ルートの表示みたいだけど。
『接近中、接近中、距離五メートル!警告、緊急回避』
「え?」
ギュオンッッッ……!!
原付が、エンジンを吹かして急発進をした!?
勝手にアクセルとハンドルが動いてる!?
「ぎゃぎぁぁぁ」
『緊急回避中、緊急回避中、安全圏まで移動中』
爆音を響かせ、森の中に突っ込んで行く私と原付。
「あたっあたっ!ひぃぃ!」
原付は上手く木に当たらず避けながら、森の中をとんでもないスピードで走っている。
法定速度、超えちゃってるよ!!!!
目の端に、原付に近づいてこようと走っている生き物が見えた。
チラ見した感じでは、野生の犬っぽい。
ああそうか、バルバウルフ……狼のことか。
「っっ!?って、それどころじゃなーーーいい!どこまで行くのよぉ!?」
バルバウルフとやらは、はるか後ろの方に見えなくなったけど、私の原付さんはまだフルスロットルで森を爆走中です。
法定速度は守りましょう




