76話 移動スキル検証①
さか中との交流が1〜2時間あったのかな? さか中の人達は一旦、ウッドランドへと帰った。
あっちにも魔法移動持ちはいるけど、ひとりだけだった。なので、千谷君たちが送っていった。
お互いにブックマークはしてあるので、今後はいつでも行き来できる。
さか中から話を聞いたイチクミの女子が、ウッドランドへ行きたがった。
「だって、あの使者エルフさんみたいなのがそこらじゅうに居るんでしょ?」
「見たいねえ」
「夢の国じゃん? 美形エルフ国! きゃああああ」
男子はなんか白い目で見てた。
そう言えば、一緒のチームになった地主さんのスキルは鑑定なんだって。
女子3人は、亜空間倉庫と生産の狩と生産採取。佐々木先生が生産の育成だっけ?タガセンと一緒のやつ。董明さんとやないさんもそのスキルを持っているから、佐々木先生はうちの班に入れられたみたい。
さか中はスキルがひとりひとつなんだって。宝箱をひとつしか発見出来なかったから。
僕らろく中を凄く羨ましがっていたけど、僕はひとつの方が集中して出来るからいいなって思う。
僕は鑑定、倉庫、生産(採取)、それと生産(狩)×3の全部で6個のスキルを持っている。
最近は部屋内待機が多いので、スキルの使いようがない。室内の鑑定も同じ物しかないのでもうやらなくなってしまった。
さか中が引き上げた午後、僕らはクラスの間で話し合いをしている。
タガセンは日向君に指示を出して、またすぐに居なくなっていた。
「タガセンは宰相とウッドランドに飛ぶみたいだ」
「あ、じゃあ俺達が送っていくのか?」
千谷君船橋君が手をあげた。
「いや。さか中の、公務員染谷が迎えに来るとさ。向こうで色々と話があるみたいだ。さか中の1組は担任が居ないからなぁ」
「ああ、佐々木ちゃんか。社会科だっけ、あの先生ずっと泣いてたな」
「向こうの生徒のスキル指導や魔物について情報収集をしてくるって。俺達はコスタル行きの計画を復習しておけって」
「了解」
「そういやさ、魔法移動の検証結果ってどうだったの?」
「それな。やはり見えなくてもスキルにはレベルがあると思える結果だった。さか中の公務員染谷はウッドランドとブリンクランドの往復が2往復班で飛べなくなった」
「いちいち公務員染谷っての面倒くさいな。染公でよくない?」
「じゃ、もうひとりは?」
「地主の染谷だから……ジヌ染」
「おう。ジヌ染と染公な」
「本人達には後日了解をとる」
「他にもややこしいのいたな」
「ポチャ次郎君が絶対に書けない難しい漢字。戸邉君と、渡邉君」
「ああ、いたいた。どうする? あっちじゃどう呼ばれているんだ?」
「難しい戸邉と、面倒くさい渡邉だったかな?」
「いや、そっちの呼び方の方がめんどいぞ」
「どちらも同じ漢字ね。邉という漢字」
董明さんがノートに大きく書いてくれた。
…………見た事ない字ぃ。絶対書けない自信がある。
「うわ、これ、俺も書けないぞ」
太郎君や他にも何人かが僕と同類だったのでホッとした。
「じゃあ、むずトベと、むずナベな」
そもそも顔も覚えていないから、誰がその面倒で難しい人物かもわからない。今後も接触は避けよう。
午前中にうちのチームに来た女子3人の名前も覚えてない。地主さん、あ、ジヌ染君だけはかろうじて顔を覚えた。けど、明日も覚えていられるかは定かではない。
そうだ!ジヌ染君の眉間にホクロがあった! 流石は地主さんっぽいとか思った。
ジヌ染君は眉間にホクロ、ジヌ染君は眉間にホクロ。うん、覚えた。
「話が逸れた。魔法移動についての検証だけど、染公は2往復半だったけど、船橋や百野達は5往復してもまだいけそうだった」
「そうなんだ」
「うちの魔法移動全員が同じ条件で試したわけじゃないけど、少なくとも5往復は可能。先に何度か飛んでいた千谷でも5往復いけた」
「人数にも寄るかも。ひとりだと5往復は軽いけど、10人前後を連れてだとどうかな」
「うむ。そこでタガセンからの指示①。5人、10人、15人、24人(本人含む)で何回飛べるか、検証をしておけって。移動先はウッドランドの国境近くで」
「あら、あっちの屋敷までは行かないのね」
「ええー。美形の国を見たいぃ」
「街中のエルフとか森の中のエルフとか堪能したいのにぃ」
「いや、他国の召喚時人がウロウロしたら色々とまずいだろ、だから、なるべく目立たない場所でって言ってた」
「なるほど」
「漆原以外の魔法移動スキラーはブリンクランド〜ウッドランド間でスキル検証。漆原は縮地スキラーとコスタル方面への縮地開始な」
スキラーって言い方、格好いいな。僕だと何になるかな?
鑑定スキラーとか生産スキラー? 倉庫スキラー……は、イマイチかな。
「今回は、初回の計画書どおりに商人ロードをコスタル方面へ縮地していってもらう。ウッドランドの時同様、1時間ごとに戻って休憩」
「縮地チームがいないんじゃ、24人検証は出来ないぞ?」
「それは最後にする。コスタルも今日中には着かないだろ? タガセンもウッドランドとの話し合いで留守にしているしな」
「俺らは出来るとこまで進めておくのか」
「そっ。ブリンクランド〜ウッドランド間の検証も千谷と百野の2名だけにしてくれ」
「なんで千谷と百野だけ?」
「タガセンからの指示。男女間に魔力の差があるのか。うちのクラスは同じスキル持ちはだいたい似た訓練をしているだろ? だから同性間の差は些末のうちと考えるってさ。ただ、男女の差はどうか確認しておけって」
「ああ、確かに。男女だと体力的にどうしても差は出ちゃうもんね。それは否定出来ないわ」
「ただ、肉体的な体力とこの世界のスキルの魔力が関係してくるのかは不明。だから、今回そこを確認しておけってさ」
男女関係なく、男男間でもスキルに差は出ている。
日向君の高速鑑定と僕の高速鑑定(出来るだけ)は、全然違う。とは言え、鑑定スキルは魔力を使わないみたいだから、検証はしなくていいのかな。
「他にも魔力が必要かなスキルは検証しとくか?」
「そうだな。だが、魔法移動スキルの検証が最優先だ。 千谷、船橋、百野、ファリタ、鈴山田、漆原は、他のスキルは使用しないでおく事」
「おう」
「わかった」
「では。俺らはタガセン留守の間、出来るだけコスタルに近づいておこう!」
「ただし、皆、怪我はするなよ。魔物、獣も要注意」
「そうだな。検証中であっても、何かを見かけたら安全第一で即帰還だぞ」
「はーい」
「おう!」
「じゃ、縮地チーム、行くぞ」
城之内君、剛力君、井伊君、竜崎さん、久遠さん、漆原さんの縮地チームが部屋から出て行った。
残った僕らも全員で城庭へ向かう。城庭からウッドランド国境手前までを検証するんだって。




