変人と友達
あるところに変わり者の男がおりました。
変わり者と言われる者は、大抵隠れた能力者であるがためにかなりの確率で、歴史に名を残すようなところがあるように思いますが、この男、本当にただの変わり者。
僕は良く、変わり者だと言われます。
なぜそう言われるのかと考えました。
考えた結果、そういう人たちが変わり者だからなのだと思いました。
僕は自分が変わり者なんて少しも思いません。
皆が見ようとしないものを見て、変だと言われるなら、僕は逆に鼻高で、心は高揚する。
そんな彼らに、僕は慈悲の目を向けてあげよう。
と、そんな変わった人達に囲まれて日々生活をしているわけですが、僕には特別な友達がいますので、邪魔をされないことは大変幸福を感じるわけです。
そう従順な小さな生き物。
僕の周りに常に浮遊しながらそばにいる彼らは、普通は人の目にはうつりません。
だから誰にも知られることはないのです。
安心です。
感覚や数式では表現されているのかもしれませんが、目に見えないものを信じて扱うのはとても困難なものです。
でも、僕には見える。
僕は宇宙を旅する旅人ですが、旅をしている時彼らに出会いました。
それは、僕がある星に行った時でした。
目的地とする場所にあと少しとなったとき、そこには隔たる見えない壁がありました。
そんなの、調査書には書いてなかった。
遠回りしようにもどこを通ったら良いのかわかりません。
僕は大変困りました。
「どうしよう。向こう側に行きたいのに、見えない壁が邪魔をする。向こう側に行きたい。行きたい。…」
そんな憤りを含んだ爆発しそうな思いを抱え、ひたすら向こう側に行くことを考えました。
そんな僕を、側でじっと見ていた奴らがいました。
彼らはいたずら好きでもあるのです。
僕はずっとどうすれば向こう側に行けるのずっと考えていました。
こうすればいけるんじゃないか、など、向こう側になんとか行くことだけを考えていました。
でも、現実では行けるはずもありません。
そんなことはわかっていながらも、僕はおかしくなっていたのかもしれません。
無駄だと言えるような考えを、ずっとしていました。
すると、なんでしょう。
なんとなく、なんとなくですが、自分が思うように通れるような気がしてきました。
不思議な感覚でした。
そんな時、微かに目の前が歪んだ気がしました
「行けそうだ!」
心は狂っていたのかもしれない。
常軌を逸していた。
でも、とてもはっきりと"通れる"と思いました。
何者かが、背中を押すような感じさへしました。
通れるはずのない透明な壁でしたが、悩んで考えた末に、出来ると思い込んだその経緯の結果が、無事に通ることができました。
不思議なことです。全くもって不思議であるはずのことですが、その時の僕には"絶対目的地に辿り着けると思っていたよ"と心の底から疑うことなく、思えました。
こうして僕は無事に、目的地に到着することができました。
目的の達成は別として、通れない壁を通れたことは依然、何かのイタズラとしか思えません。
その時が、本当に最初の出会いでありますが、そこから何か月かして、人の目に見えないほど、非常に細かい大群であり、空間を常に楽しそうに彷徨っている彼らが、僕の目にうつってくるのです。
友達というよりは、パートナーです。
彼らは人の思いをよんで行動するのが大好きです。
面白いほどに彼らは、見えないところから見える物へと作り上げていきます。
僕は彼らのおかげで、旅というものがより楽しくなりました。
彼らがいれば、宇宙船以外は特に何もいらないのです。
彼らのいない宇宙旅行は、僕には考えられなくなっていました。
僕は変人でありません。
現在に生きる、既に未来の船乗りであり、旅人なのです。




