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(ヴィルヘルムの話)


「エリザベート嬢とのダンスはとても楽しかった…。

エリザベート嬢のあの笑顔が忘れられない…。

可愛すぎるだろ…?」


とアルベルトとサーラに告白したのはエリザベートが婚約破棄されたパーティで彼女が両親と帰宅した後だ。


「ヴィル、婚約するなら早めがいい。彼女は王国でも歴史ある侯爵家の令嬢だ。ライバルは多いぞ?」

「まあ、リズの婚約話にはわたくしが待ったをかけましてよ?あの子はわたくしが独占しますわ。」

「それに彼女はお前の初恋の相手だろ?」

「ああ。」

「あら?そうでしたの?それは初耳ですわ。」

「でも彼女はあの時に出会った相手がお前だとは知らないのだろ?」

「あの時は魔法アイテムも使って正体を隠していたから、彼女が気が付かないのも無理はない。」

「まあサーラと共に帝国へ来るのだから、皇家が彼女の盾となるのも吝かではない。」

「その時は頼む。」

「お前とエリザベート嬢が一緒になればサーラも喜ぶ。」

「リズが幸せになるのは嬉しいですが、ヴィルヘルム様に独占されるのは…。」

「サーラ様、彼女と想いを通わせた暁には独占を控えてくださいね?」

「約束はできないけれど、あの子の幸せを願っているから、控えるつもりですわ。」


帝国で仕事をしている間は彼女のことがわからないから焦りもしたが、しっかりと外堀を埋めさせてもらった。

彼女の父親であるランドン侯爵には早い段階で話をしていた。最初は婚約には難色を示していたが真摯に向き合い「娘の意思を尊重してください。」と言質を貰い、説得に成功した。侯爵夫人はパーティの時から俺の気持ちに気づいていたらしいので反対されなかった。

彼女の兄には手紙を認め、侯爵に渡してもらうように伝えておいた。

次に彼女に会うまでには完璧に外堀を埋めることには成功した。


王国でサーラの輿入れを祝うパーティでジュードがエリザベートを抱きしめているのを見た瞬間に頭に血が登って冷静さを失いかけ、「エリザベート嬢を慕うひとりの男としてジュード殿下に彼女を託すことはできません。」なんてセリフを吐き彼女に気持ちがバレてしまった。だが、恥ずかしくて若干有耶無耶にしてしまった。

彼女にしっかりと想いを告げるのは帝国へついて落ち着いてからにしようと思っていたのに…。

しかも、外堀を埋めていることを第二王子(アラン)に気づかれていたなんて。普段なら悟られることは少ないのに、焦っているのだと反省もした。


王国を出発した直後…。


「帝国内に俺が婚約したという噂が?」

「影からの報告だ。バーナ侯爵がヴィルヘルムと令嬢の婚約が内定しそうだと吹聴していて、それに乗っかった形で令嬢も婚約すると茶会で吹聴しているとな。」

「ちっ!相変わらず厄介な奴らだ!母上の生家でなければ潰してたぞ!?」

「落ち着け。公爵家も皇家もお前の婚約に関して聞かれたら否定しているから安心しろ。

お前が初恋を拗らせているのを陛下も公爵も知っているし、エリザベート嬢が来ることを楽しみにしてくれているのだから。」

「ああ、すまない…。」

「ま、そういうことだからエリザベート嬢にちゃんと話しておいたほうがいいだろうと思うぞ。」


そんなアルベルトと会話の後にエリザベートに過去硝子玉を渡した時の話をして、想いを告げて両想いになることができた。

そこからは時間さえあれば彼女に愛を囁き続けた。

正直、初恋が叶って浮かれていた。もう、彼女以外の人間にどう思われても気にしないと考える状態だった。

彼女が俺の名前を呼ぶだけで幸福。

俺が愛を囁けば顔を真っ赤にして返事をする彼女を見るだけで心が満たされる。

彼女といれるだけでも幸せだった。


………


帝国へ来てから彼女は治癒魔法でさまざまな人を治し癒やして、交友関係も拡げ充実した日々を送った。

毒殺未遂に巻き込まれた時には生きた心地がしなかったが、彼女は師匠が治してくれた。

そんな婚約期間を経て、俺とエリザベートは婚姻した。

そして今、彼女は俺の腕の中で眠っている。


「エリー、愛している…。」

「…、…、…、」


もちろん眠っているから返事はなく、規則正しい寝息がきこえる。

「俺、こんなに幸せでいいのかな?」と小さい声で呟くと彼女が俺の胸に顔を埋めてきて。

確認するもやはり彼女は眠っている。


「おやすみ、俺のエリザベート。」


彼女の頭上に口づけを落として俺も眠りについた。


………


俺もエリーも昼過ぎに目が覚めた。


「エリー、おはよう。」

「お、おはよう。ヴィル。」


急にこの状況に恥ずかしくなったのか彼女は俺に背を向けたが、それは俺には逆効果だった。

彼女を強引に抱き寄せて絹の様な肌に口づけを落とす。


「ヴィ、ヴィル!?」

「君が無防備に背を晒すのが悪い。」


彼女の静止を振り切って肌を重ねる。この幸せに満ちた表情の彼女を知っているのは自分だけだという優越感にも似た感情を隠して、彼女に愛を囁き続けた。

これにて番外編(っても2話しかありませんが…)完結です。


お読みいただきありがとうございました。


辻褄合わないこと多かったかと思いますがご容赦を…。

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