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第20話 詐欺師

事態は意外な程あっさり解決した。


妹の悲鳴を聞きつけたその部屋の住人がすぐに駆け付け、地上30メートルの高さでロープにぶら下がったままの上の部屋の住人と言い争いになったそうだ。

元々武器は持っていなかったそうで、耐えがたい空腹に追い詰められ、何とかしようと思っての行動だったらしい。


取り敢えず、そのままロープで自分の部屋に戻ってもらい、更にはロープにそれなりの量の食料をくくり付けてやったとの事で、余りの甘さにため息すら出た。



とにかく妹が無事で良かった。


ただ、今回は運が良かっただけだ。


発見が早かったために、相手が宙吊りという圧倒的優位な状態で対応出来た。

これがもしベランダに降りていたら。

武器を持っていたら。

妹1人だったら。


すでに想像できる最悪が、刻一刻と近付いているのを感じる。

妹もすぐにそれを理解し、これからやるべき事を話し合った。




まず、妹には時間稼ぎをしてもらう。

僕の妹は、ああ見えてデータ分析能力に長けている。

僕が新しく取ったデータを少しごまかした上で調整してもらい、矛盾の無い様にして拡散するのだ。

その内容は、


"ゾンビになってから1週間で動けなくなる"


これはあくまで僕の希望的観測でしか無い。

信じない人も多いと思うが、データに矛盾が無ければ、きっとあの連中がお墨付きを付けて拡散してくれるだろう。

少し心苦しいが、人々の殺し合いを抑止するにはこれしか方法が無い。



そして僕だが、

覚悟を決めなくてはいけなくなった。

命をかける覚悟を。


でもあの親子の時の様に命を捨てるつもりは無い。

必ず生きて、次に繋げる。


簡単な事では無い。

でも方法は考えてある。

家の中の物だけでは万全とはいかないが、そのための準備もして来た。


これから最終準備を進めれば、あと数時間で整うだろう。


コンビニ前の動けなくなった奴ら1体の回収。



今夜決行だ。



人の空腹感のピークはだいたい2日目くらいだそうです。


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