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49.凶悪魔法発動!

 大熊魔獣が、私達の存在に気が付いた。

 当然、魔獣は私達の方に一歩一歩、大きな足音を立てて近付いてくる。

 そりゃあ、獲物と判断しているだろうからね。


 でも、ゴメンね。

 少なくとも私は狩る側だよ。

 それに、この魔法を試しておきたかったんだ。

 有難く、その実験体にさせてもらうよ。


「死ねぇ!」


 私がそう唱えた瞬間、魔獣の首が切断されて宙を舞った。

 首ちょんぱ魔法は、ここでも健在だ!


 そして、その首は、私を連れて来てくれた男性のすぐ右側に落ちて転がった。

 これを目の当たりにして、その男性は、その場に座り込んで失禁しちゃったよ。さすがに衝撃的過ぎたようだ。


「ええと、大丈夫ですか?」

「さすがに、こんな失態を見せて恥ずかしい」

「それが普通だと思いますよ。気にしないでください」

「いや、恥ずかしい限りだ。それにしても、いったい何をやったんだ?」

「魔法で首を刎ねただけですよ」

「はっ?……」

「人には発動できませんから、安心してください」

「さすがに人には発動しないでくれ。ただ、これだけの魔獣が相手じゃ、S級戦士だって苦労するぞ。それを一瞬だなんて」


 そう言いながら、その男性は思い切りビビった表情を見せていた。

 たしかに第三者から見れば恐怖でしかないだろう。


「自分でも恐ろしい魔法だって思ってますよ。では、狩った証拠を持ってギルドに戻りましょうか?」

「しかし、この巨体を持って帰るのは大変じゃないか?」

「証拠なら首だけでも良いと思います。それに、証拠があった方が、みなさんも安心するでしょう?」

「た……たしかにな」

「胴体部分は、別の人に取りに来ていただいても構いませんし」

「それも、そうだな。ただ、頭だけでも重いぞ」

「大丈夫です」


 私は、そう言いながら、魔獣の頭をアイテムボックスの中に収納した

 これを見て、その男性は、

「収納魔法も使えるのか?」

 って驚いていたよ。


「ええと、これはアイテムボックスですけど」

「いずれにしても、収納できる魔法には違いない。本当に、嬢ちゃんは何者なんだ?」

「私はラヤ。治癒魔法使いです」

「こんな凶悪魔法を使う治癒術師(ヒーラー)が何処にいる?」

「ここにいるもん!」

「たしかに、そうだけど……。じゃあ、戻るぞ」

「でも、その前に着替えてください。さすがに、その状態では」

「そうは言っても、着替えなんて無いし」

「任せてください。出ろ!」


 私は、その男性が来ているのと瓜二つの服を、物質創製魔法で作り出した。

 あと、身体を拭くタオルも併せてね。

 下半身が、まともに濡れちゃっていたからさ。

 ただ、この魔法にも、その男性も驚きの色を隠せないでいた。


「物質創製魔法も使えるのか! こんな凄い女性は初めてだ。俺はフラン。是非、俺達のパーティに入ってくれないか?」

「パーティ?」

「さっき怪我を治してもらった女性の他に二人の仲間がいる」

「ええと、私は他にやる仕事があるので、今はお断りします」

「じゃあ、俺の嫁さんになってくれ!」

「えっ?」

「こんな、好物件を目の前にして放っておくほど馬鹿じゃないんでね」

「それも、今はちょっと……。やるべきことを終えてから考えさせてください」

「そ……そうか。ただ、やるべきことってなんなんだ?」

「今は言えません」


 って言うか、アキのお母さんが、私に何を要求したいのか、キチンと教えてくれないから知らないんだよね。

 別に医院を開きたいって言えばイイのかも知れないけど、それだけだと、

『結婚しても医院はできるだろう?』

 って言われてしまうだろうからなぁ。


 なので、下手なことは言わない方が身のためだろう。

 でも、まあ、好意を持ってくれたことは素直に嬉しいよ。



「早く着替えてください。それから、タオルも出しましたので濡れたところは拭いてくださいね。じゃあ、向こうを向いていますので」

「ああ、分かった」


 そして、フランは着替え始めたんだけど……。

 ただ、何か足りないような気がするんだよね。違和感ていうか。

 何だろ?


 …

 …

 …


 それから一~二分くらいしたところで彼が私に声をかけて来た。


「ラヤちゃん。ちょっとイイ?」

「何でしょう?」

「こっち向いてもらえるかな?」

「はい?」


 そう言われて私が振り返ると、何故かフランは下半身だけ裸だった。

 ナニも少し反応しかけてない?


「何する気ですか?」

「ええと、ラヤちゃんは治癒魔法が使えるんでしょ。だったら、これを内緒で治療できないかなぁって思ってさ」


 そう言いながら彼が指さしていたのは自分のムスコだった。

 たしかに皮が被ってるね。


 ってことは、

『こっち向いて』

 って聞こえたのは、

『こっち剥いて』

 だったのかな?


 それはともかく、なんだか、トモティ世界でアナトリー第一王子とかウィルキンソン子爵の息子のドミトリーの治療を行った時のことを思い出したよ。

 まあ、フランは、あの二人とは違って仮性みたいだけど。


「できますけど」

「治療代は払うからさ。お願い!」

「一万Venですが、よろしいでしょうか?」

「分かった。頼む」

「でも、ちょっと反応しかけてません?」

「それは、ラヤちゃんに見せているかと思うと、ちょっと……」

「見せて喜ぶって、ちょっと変態じゃありません?」

「いや、別に俺は正常だよ」

「別に構いませんけど。では、行きますよ。不要部位除去!」


 私が、そう唱えた次の瞬間、フランの息子は、無事にタートルネックを脱ぎました。

 めでたしめでたし。



「おおっ! 本当に治せるんだ!」

「まあ、然程難しくはありませんので」

「でも、一瞬だもんな。ありがとう!」


 姿形が進化して、フランは大喜びだった。

 それこそ、自分で自分のムスコをマジマジと見ながら、半分うっとりしていたよ。


「じゃあ、早く服を着てくださいね」

「わ……分かった」

 そして、フランは急いで服を身に着けたんだけど……、それを見て私は違和感の正体に気付いた。


「ああっ!」

「どうかしたのか?」

「服に血がついていない!」

「そりゃあ、新しくラヤちゃんに出してもらったものだから当たり前だろ!」

「これだと、着替えたのがバレバレ」

「まあ、途中で宿に寄って着替えてきたことにすればイイだろ。まあ、細かいことは気にするな」

「……(イイのかな?)」

「ただ、脱いだ服とタオルは、どうしようかな?」

「私がアイテムボックスの中で預かっておきます」

「そうしてくれると有難い」


 と言うことで、私は、

「出ろ!」

 物質創製魔法で大きなビニール袋を出すと、フランが脱いだ服とタオルを、そのビニール袋に入れて、それごとアイテムボックスの中に収納した。

 さすがに、失禁して濡れたモノを、そのままアイテムボックスに入れたくは無いからね。

 これで、準備OK!


「じゃあ、ラヤちゃん。行くぞ亅

「お願いします」

「転移!」


 こうして、私は大熊魔獣の討伐を終えてギルドへと戻った。


 …

 …

 …


 転移終了。

 先ず、私達が無傷で戻って来たことに、みんな驚いていたよ。


「無事だったのか?」

「生きて帰って来れるなんて」

「魔獣は、退治したのか?」


 すると、フランが、

「魔獣はラヤちゃんが退治した。証拠もあるぜ。ほら、ラヤちゃん。出して」

 って言いながら鼻高々になっていたよ。


 なんでフランが自慢気な顔をしているんだろう?

 別にイイけど。



 私は、アイテムボックスの中から魔獣の首を出した。

 その頭部の大きさから、何となく全体像は想像できるだろう。正直、普通の熊の大きさじゃないよね?

 さすがに、これを見て、多くの人々は表情が凍り付いていたよ。

 まあ、それが普通かも。


 そんな中、

「ラヤちゃんって言ったね」

 フユミが私に声をかけて来た。


「はい」

「さっきの治癒魔法をこの目で見させてもらって確信したよ。たしかにラヤちゃんは、女神様が私に遣わしてくださった最終兵器だね」

「最終兵器って、なんか物騒な表現じゃないですか?」

「でも、あの魔獣を仕留めたのなら、立派な最終兵器じゃない?」

「ま……まあ……」

「実力のほどは分かったわ。さっきは悪態ついてゴメンなさいね。実は、面倒な問題をいくつか抱えていて。それを手伝ってもらうって言っても、並のレベルじゃムリだって思っていたから」

「どんな問題ですか?」

「一つは接触感染するヤツ。もう一つは、水に触れたら感染するの」

「水……でですか?」


 何だろう、それ?

 飲んだらじゃなくて触れたらでしょ?

 聞いたこと無いけど。


「そう……。私は女神様から病気にならない特殊な身体を与えられているから感染しないけどね。多分、ラヤちゃんもそうでしょ?」

「はい」

「それじゃあ、明日って大丈夫かしら?」

「明日は、家の査定があって」

「もう家を建てたの?」

「はい。昨日、建てました。町の南側の外れにある荒れ地にですけど」

「それって、この道を南下したところ?」

「はい」

「でも、先週、あの辺に行ったけど、家を建てているのなんて見てないわよ?」

「ですから魔法で、昨日の午後に、さささっと」

「はぁ?」


 なんか、フユミが私に懐疑的な視線を送ってきたよ。

 そりゃあ、そうか。魔法で家が建つなんて、普通は思わないもんね。

 でも、事実なんだから仕方が無いじゃん!


「なので、明日は役所の方とのやり取りとかありますので、明後日なら」

「じゃあ、明後日の午後一時に、このギルドの前に来てもらえる?」

「分かりました」

「それじゃ、当日は宜しくね」

「こちらこそ」


 これで一応、フユミには、私の治癒魔法が認めてもらえたみたいだね。そう言いう意味では、この魔獣にも感謝すべきかな?

 一先ず、私はフユミに会釈すると、一旦、ホテルに戻った。



 それで、ホテルに着いたんだけど、何か忘れているような……。

 あっ!

 フランの服を返すの忘れていたよ。

 それに、お漏らししたままの状態だよ、これ。

 ただ、そのまま返すのも何だし……。


 と言うわけで、私はアイテムボックスの中からフランの服とタオルの入ったビニール袋を取り出すと、その服とタオルを浴室で洗ったよ。

 しかも、洗濯機なんて便利なものが無いからね。

 手洗いだったよ。

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