26.バトル!
私は、金魚の糞に、
「じゃあ、アンタ等の本拠地に案内して!」
と命じた。
まあ、別に辞書機能を使えば、コイツ等の本拠地を探せるんだけどね。
それから、アンには、この村に残ってもらうことにした。さすがに敵の本拠地に連れて行くのはリスキーだからね。
金魚の糞は、
「東に三百キロです」
と言って来たけど、さて、これは本当なのかなぁ。
なので、当然、私も脅しをかける。
「もし、それが嘘だったら、その地にアンタを置いて私は単身でここに戻るだけだよ。それが、どう言う意味か分かるよね?」
つまり、その次の瞬間、コイツの首が飛ぶってわけだ。
すると、
「ゴメンなさい! 西に三百キロです!」
泣きながら訂正してきたよ。
思い切り小者だね。
と言うわけで、
「転移!」
金魚の糞を連れて三百キロの距離を一気に転移した。
次の瞬間、私達は目的地に到着。
やっぱり、転移魔法は有難いね。
目の前にはペンタゴンのような建物が……。
「それが、僕達の秘密基地です」
うーん……。
これだけ目立っていたら、秘密も何もないと思うけど……。
たしかに建物の中から魔力を感じる。
多分、コイツ等の本拠地で間違いないだろう。
と言うわけで、
「案内ありがとう。転移!」
私は、金魚の糞をその場に置き去りにして、転移魔法でペンタゴンもどきの中へと瞬間移動した。
当然、金魚の糞の首は、次の瞬間、宙を舞った。
そもそもコイツは、E村を窮地に追い込んだ野盗のメンバーだからね。私としては、コイツを生かしておく義理は無いよ。
さて、ペンタゴンもどきの中に侵入すると、いきなり目の前に大男が!
驚いた私は、つい勢いで、
「死ね!」
首ちょんぱ魔法を発動してしまった。
大男の頭部が派手に宙を舞った。
やっちゃった……。
ええと……。
こんなことよりも先に、ここでやるべきことは、
「レーダー!」
ここのボスと思われるヤツを探すことだ。そいつさえ落とせば、あとは力ずくで何とかなると思う。
このずっと先の部屋に強大な魔力源をキャッチ!
多分、そいつが、ここのボスだ。
と言うわけで、私は、ボス部屋に向けて歩き出した。
「侵入者だ!」
「死ねぇ!」
既に私が入り込んだことを敵は察知している模様。
それで、次々と大男やら魔法を使う輩が私に攻撃してきた。
大男は巨大な剣を振り回し、魔法使いは火の魔法や雷魔法と言った攻撃魔法を私に向けて次々と放って来た。
でも、この程度じゃ私に怪我一つ負わせることは出来ないよ。
私は、
「シールド!」
魔法の楯で攻撃から身を守りながら、
「火炎出ろ!」
強烈な火炎魔法を放って、通路にいる邪魔者達を次々と焼き払って行った。
私が歩いた後には、野盗共の焼死体が累々と……。
うーん。まさに、このイカれた世界で、救世主にでもなった気分!
まあ、今の私は救世主と言うよりも破壊神だけどね。
そして、そのまま私は一直線に突き進み、ボスの部屋へと到着。
私は、
「開け!」
魔法でドアをぶち破った。
だって、自動ドアになっていないんだもん!
その中は、小体育館くらいの空間が広がっていた。
個人の部屋としては、かなり大きめだね。
部屋には一人の女性がいた。
しかも、瘦身美女。
こう言ったシチュエーションなら、如何にも極悪人ってツラをした男性とか漆黒のオーラに包まれた美女とかが登場するパターンかなって思っていたんだけど、一応、私の期待を裏切らない範囲でいてくれたよ。
その女性が、
「アンタ誰?」
って私に聞いて来た。まあ、普通はそうだろうね。
「私はラヤ。この世界を犯す病原体を始末するために女神様の手によって送り込まれた抗生物質。そう言うアンタは?」
「大神官エロイカ。ラヤと言ったね」
「ええ」
「中二病って言われない?」
「十分、私は中二病よ! そもそも中二だもん!」
「そうなんだ」
「でも、中二病なんて単語をどうして知ってるの? もしかして日本人じゃない?」
「良く分かったわね。私はアルセニコン様の手によって召喚された者。日本にいた頃の名前は……忘れたわ」
昔の名前を言いたくないってことは、多分、私と同じで過去と決別したいってパターンだろうね。
もしかすると、召喚された際に私と同じで転性したとか、もしくは元々ブスだったのを美人にしてもらったとか、そんな類だろう。
「そうなんだ」
「アナタも日本から?」
「ええ。私もアナタと同じで日本にいた頃の名前は忘れたけどね」
本当は忘れていないけど。
ただ、思い出したくは無い。
「へー。もしかすると、私達、気が合うかもね?」
「どうかしら? で、アルセニコンって?」
「この世界の大魔術師よ。アルセニコン様の力で異世界転移した私は、アルセニコン様に強大な魔力を授けられ、その力を駆使して大神官まで一気に上り詰めたの。でも、宇宙からの侵略者が現れた……。宇宙戦争は終息したけど、この世界の秩序は崩れ、暴力が制する時代に突入した。ならば、そのゴタゴタに乗じて、この世界を支配してやろうと思っただけ。せっかく強大な力を得たんだからね」
「支配ねぇ。そっちこそ中二病に罹患してない?」
「してると思う。でも、こんなチャンスは二度とないから」
一応、自覚はあるんだ。
チートな力を持った途端に、意味不明な選民思想に脳みそが支配されちゃうって輩が多いけど……私もそうだったけど……そこまで重症じゃ無いのかもね。
だからと言って放置は出来ないけどさ。
「なら、私は分不相応に支配者を希望する者を排除するだけ」
「だったら私は、中二病治療の抗生物質を葬り去るだけね!」
エロイカが、私に向けてファイヤーアローを放って来た。
いきなりですか?
私は、
「バリヤー!」
この攻撃を防いだけど、結構強力だね、この火の矢って。
なら、一気に首ちょんぱ魔法で片づけるか?
それじゃダメだ。今まで、コイツの部下達がやってきたことを考えるなら、コイツには死すら生温い。
うーん。私って思い切り中二病的表現してるな。
『死すら生温い』なんて凄い表現だよ。
なら、コイツに見せる地獄は一つ!
と言うわけで、
「落雷!」
私は、一先ず雷魔法でエロイカを攻撃した。
当然、向こうも、
「シールド!」
こっちの魔法攻撃に防御魔法で対処する。
さらに私は、
「ファイヤーバレット!」
エロイカに火の魔法で攻撃したけど、
「シールド強化!」
彼女の防御は固い。
しかも、彼女は、
「氷柱!」
先が鋭く尖った氷の柱を、私目掛けて何本も打ち込んで来た。
「転移!」
私は、エロイカの背後に回って氷柱を回避。
でも、
「トリフィオ!」
エロイカの背中から粘液だらけの巨大な触手が生えてきた。
これは、人を捕らえるレベルの巨大モウセンゴケってところだ。
私は、その触手に捕まった。
その粘液は、獲物を捕らえるだけではなくて、消火液としても機能しているらしく、私の服がドンドン溶かされて行く。
Hな植物だなぁ。
ただ、このままでは身体まで消化されてしまう。
なので、
「エクスプローション!」
私は、全身から魔力を大放出した。
まるで、自分を中心に暴発するが如くね。
その威力でエロイカから生える巨大食虫植物を粉々に吹き飛ばした。
「やるわね」
「そっちこそ」
「なら、これはどう? ミスト!」
今度は、エロイカの魔法で部屋全体が濃い水蒸気で覆われた。
まるで霧がかかっているようだ。全身がほのかに濡れてくる。
さらに、
「サンダーボルト!」
エロイカが雷魔法を放って来た。
私の身体を濡らして、効率良く感電させようって考えなのだろう。
でも、
「ストレージ!」
私は、異次元空間の扉を開いて、そのエネルギーを異次元の部屋に溜めた。
そして、そのエネルギーを、
「リターン!」
エロイカ目掛けて撃ち込んだ。
「キャー!」
完璧に命中!
これでエロイカはしばらく動けないだろう。
さらに私は、
「フリーズ!」
エロイカの身体を硬直させて動けなくすると同時に、
「スリープ!」
彼女に睡眠魔法を放った。
これで、しばらく彼女は目覚めることは無い。
まるで、昔アニメで見た超能力バトルみたいだったよ。
こう言うのを、まだ続けなきゃならないのかなぁ。
あんまり嬉しくないな。
さて、こいつ……エロイカをどうするかだけど……。
毒魔法を使っていたヤツと似たような刑でイイよね?
なので、
「不死&永遠の眠り&悪夢!」
エロイカには、不死魔法と永遠の眠りを与えてあげた。
悪いけど、これで生きている間は二度と起きることは無い……って不死なんだから永遠に目覚めずに眠るだけだ。
しかも、ずっと悪夢を見続けてもらう。ひたすら拷問を受け続ける夢だ。
腕がもがれ、足は切断され、しかも、しばらくすると元に戻っている。すると、再び切断され……。そんな感じのことが夢の中で何回も繰り返される。
いずれ、精神崩壊を起こすだろう。
多分だけど、毒魔法使いもエロイカも、女神グエホイ様がお許しになられれば、きっと途中で死なせてもらえるよ。
それまで、ひたすら耐えてくれ。
一先ずこれで、ようやくだけど、この世界に来て一つ目の仕事に終止符を打てた。
実は、この世界に送り込まれた時に女神グエホイ様の声が聞こえて、三つの仕事を依頼されたんだ。その一つが、アルセニコンによって召喚された魔術師を倒すこと。
コイツが、悪党側に回った魔術師達の総元だからね。
でも、女神様から依頼された仕事は、あと二つ。
それを達成するまで、私は破壊神ラヤのままで居続けなければならないんだよね。
本来、私は平和主義なんだけどなぁ。
早く破壊神を卒業したいんだけど……。




