25.お・も・て・な・し!
「井戸に毒を入れられたんですね?」
この私の問いに、E村の村長さんが答えてくれた。
「そうです。実は、野盗の軍勢が現れまして、食料と若い女を出せと言われて、断りましたら井戸に毒を投げ入れられました。毒は一週間で消えるとのことでしたけど……」
そう言うことか。
さすがに一週間も水なしでいたら死んでしまう。
野盗のヤツラは、毒が消えた頃に再びここに来て、そのまま井戸ごと、この地を奪おうって考えていたんだろう。
でも、今まで遭遇してきたタイプの野盗……、つまり、大男一人&チョンマゲ男百人じゃ、そんな作戦、まず立てないよね?
そもそも、作戦なんか立てずに、行き当たりばったりで行くよね。
当然、暴力一筋だよね?
あっ! もしかして!
「その野盗は、どんな連中でした?」
「全部で五十人くらいで、半分が筋肉隆々の大男で暴力担当。残り半分が魔法使いって感じでした」
やっぱり、今までの連中とは違うってことだ。
さて、どうしようか?
まず、井戸の復帰だけど、方法としては三通り。
一つ目は、魔法で井戸の時間だけ一週間先に進ませて毒を消す。
二つ目は、浄化魔法で毒消しをする。
三つめは、魔法で毒を分離してビンの中に納める。そして、その毒を入れた魔法使いに飲ませてやる!
心情的には三番目の方法だね。
でも、それよりも、もっと恐ろしい目に遭わせあげたほうが村の人達も喜ぶかな?
と言うわけで、破壊神ラヤとして最高のおもてなしをすることにしてあげよう!
でも、その前に、
「浄化!」
私は、村の井戸を浄化した。
使えるようにしないとね。
それにしても、この村の人達は、よく井戸の水を飲まないで耐えていたって思う。それって、マジで凄いよ。
普通は、
『もう、毒入りでもイイや!』
って、耐えきれなくなって飲んじゃうものなのに。
私は、
「皆さんの体調を確認しますので、並んでください!」
村人達を順に診断して行くことにした。
相当参っているっぽいもんね。
でも、まあ、診断の結果、基本的に村人達は軽度の脱水のみで済んでいたっぽい。
水なし状態にされてから発見されるまでの期間が比較的短かったんだろう。
これなら、みんな割と早く復活できるよ。
あと、この時、私は村の近く……十キロ圏内に強大な魔力を感じ取っていた。
多分、井戸に毒を投げ込んだ野盗達がいるんだろう。
私は、アンに、
「今日は、この村に泊まりましょう」
と提案。
言うまでもなくアンも、
「当然!」
と同意してくれた。
きっと、今夜あたり来るって気がしたんだ。
野盗共を一掃してやる!
絶対に許すもんか!
その夜、私とアンが予想した通り、野盗連中が村に押しかけて来た。
人数は五十人くらい。
構成は、魔法が使えない大男が半分。こいつらは暴力担当だね。
もう半分からは魔力を感じる。何らかの魔法を使う者達だ。
その中に一人、とんでもない魔力を持っている輩がいた。別格なヤツ。
多分、この軍勢を束ねるヤツだろう。
逆に、ショボい魔法使いと思われるヤツも一人いた。
多分、強い連中にくっついているだけの金魚の糞だね。
チョンマゲ男達じゃない野盗を見るのは、これが初めてだ!
なんか新鮮!
魔法を使うと思われる一人が、
「どうだ。食料と女を出す気になったか!」
と言って来た。
そいつのステータス画面を確認すると、
特性:毒魔法
と書かれていた。
多分、こいつが井戸に毒を投げ入れたヤツだ。
私は、
「バリヤー!」
この村の全ての家に透明バリヤーを張った。
理由は二つ。
一つ目は、野盗達が村人達の家に入れないようにすること。
そして、二つ目は、万が一にも村人達が外に出て来られないようにすること。出て来られて討ち死にされても困るからね。
そして、
「転移!」
私は単身、野盗の前に姿を現した。
野盗共は、
「何だ、お前は!」
出てきたのが、まだ子供だと思ったんだろう。完全に見下した態度を取っていた。
でも、
「フリーズ!」
魔法発動!
私はヤツ等の身体を硬直させて動けなくした。
一応、呼吸は出来るようにしてあげたけど、言葉を出すことは出来ない。
これで、コイツ等を殴るも蹴るも自由自在……のはずだったんだけど、
「俺には効かん!」
とんでもない魔力を持っている輩が防御魔法を発動していた。
まあ、防御できたのは彼自身の身体だけで、他の野盗達の身体は、基本的に硬直して動けなくなっていたみたいだけどね。
それで、そのとんでもない魔力を持っているヤツ……こいつのことは、『トンデモ君』と呼ぶけど、そのトンデモ君が、
「吸収!」
私に向けて魔力吸収の魔法を放って来た。
でも、これってマジ?
信じられないけど、私の身体からドンドン魔力が抜かれて、そのトンデモ君の身体の中に吸収されて行ったんだ。
対するトンデモ君は、
「これはスゴイ! 身体の中にエネルギーが満ち溢れて行く!」
私の強大な魔力を吸収しながら、驚くこと半分、喜ぶこと半分ってリアクションをしていたよ。
ヤバい。スゴい吸引力だ。
一気に半分近い魔力を吸われたよ。
でも、魔力を吸収しても魔法を横取りするわけじゃなさそうだね。
なら、
「死ねぇぇぇ!」
私は、魔力が枯渇する前に伝家の宝刀『首ちょんぱ魔法』を発動した。
この魔法は、ドラゴンでさえ防ぐことは不可能な特殊魔法として与えられたモノ。
トンデモ君は、これを、
「防御!」
防ごうとはしたけどね。
でも、ムダなあがきってヤツだよ。
その防御魔法を突き破り、首ちょんぱ魔法が、見事、トンデモ君の首を捕らえた。だって、この魔法は防御できない強制力付きなんだから!
そして、
「ブチッ!」
と音を立ててトンデモ君の首が宙を舞った。
頭部を失った身体からは、噴水のように真っ赤な血が噴き出していた。
ノーソラム共和国にいた頃には、見慣れていた光景だったなぁ。
さらに私は、
「再吸収!」
トンデモ君に横取りされた魔力を吸収。
って言うか、トンデモ君が元々持っていた分も利子として貰い受け、一応、私の魔力は、それなりに増量することになった。
一番面倒なヤツは始末した。
ここから私は、
「死ね!」
首ちょんぱ魔法を発動!
毒魔法使いと金魚の糞以外の首を全部刎ねてやる!
ただ、今回はワザとスローペースにした。しかもランダムに、毎分一人のペースで首が飛んで行くんだ。
どうせ、逃げたくても逃げられないしね。
私の魔法で動けなくしたままだからさ。
それから、敢えてペースダウンしたのは、コイツ等……特に毒魔法の使い手に、思い切り恐怖を味わってもらうためだよ。
頭が切り離された身体からは、真っ赤な血が激しく噴出していた。
五十分弱が過ぎ、残ったのは毒魔法使いと金魚の糞だけになった。
この二人は、今までずっと、
『次に首が飛ばされるのは自分?』
って恐怖を味わい続け、顔面蒼白していた。
もし、身体が動かせたらブルブル震えていたんだろうな。
死体の山ができたけど、さすがに置きっぱなしじゃ村人達が困る。
なので、
「転移!」
コイツ等の死体をマントル層まで送り届けてやった。
これで村人達も不快な思いをしなくて済むだろう。
さぁてと。
この毒魔法使いを、どう料理してやろうか?
最悪な目に合わせないと気が済まない。って言うか、私の気が済んでも、この村人達の気が済まないはず。
なので、私は、
「不死!」
先ず、コイツに不死魔法をかけた。
もっとも、不死になるだけで、老化は進むし怪我はする。病気にもなる。
つまり、ただ死なないだけ。
不老じゃないし、治癒能力促進も無いわけだから、受けた側からすれば最低な不死魔法と言えるだろう。
しかも、全身硬直は継続。
そのままの状態で身体だけ不死になるってことだ。
それも、飲食無しでね。
不自然だけど、これが魔法の力だよ。
一応、三百年後に全身硬直魔法は解除されるようにしておいたけど、それまで動けない状態で老化だけは普通に進行して行く。
本当は、三百年に渡ってコイツの胃の中に、コイツが井戸の中に投げ入れたのと同じ毒を毎日十グラム程度、新たに産生されるとか、呼吸を止めて三百年に渡って窒息の苦しみを味わってもらうとかも考えたけど、それだとちょっとヤリ過ぎかな?
でも、次にコイツが動き出せるようになるのは三百数十歳。
もう、人生最悪って感じだろうね。
動けるようになったと同時に老衰かな?
でも、不死だから老衰を起こしても死なないか。マジ最低だね、これ。
こんなことして自分が怖いわぁ。
それでも村人達の気が晴れるかどうかは分からないけどね。
さて、あとは金魚の糞か。
一先ず、
「解除!」
こいつの全身硬直魔法を解除した。
でもね、逃げることは出来ないよ!
何故なら、
「首ちょんぱ魔法特殊バージョン!」
私が新たに考えた首ちょんぱ魔法をかけたからだ。
この魔法は、私との距離が十メートル以上になると首ちょんぱ魔法が自動的に発動すると言うモノ。
つまり、逃げれば、その時点で首が飛ぶってわけ。
もし、コイツが私の言うことを聞かなければ、私は、コイツを放置して転移するだけ。その時点で、コイツの首は飛ぶ。
なので、これでコイツは私の奴隷。
って、性奴隷じゃないからね!
誤解しないでよね!
そんなことには興味ないんだからね!




