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14/202

閑話1:誤解を生ませた経緯!

 ここは、ブロッキニア王国の城内。

 ブロッキニア王国第二王子であるイリヤ王子は、温厚で物分かりの良い性格をしており、しかもイケメン。社交界の憧れの的。

 貴族の娘達の多くは、当然の如く彼を狙っていた。


 ところが、その彼にも意中の女性が現れた。

 その相手こそ、脳腫瘍で苦しんでいた彼を完治させてくれた治癒魔法使い……カワイイ系美少女導師のラヤである。



 ある朝のこと。

 それは、朝食を終えた少し後のことだった。

「イリヤ。お前のカノジョはとんでもない女だな」


 イリヤ王子に、そう言ったのは第一王子であるアナトリー王子。

 この王国の王太子……後の国王陛下である。



 ちなみに、まだイリヤ王子はラヤとは正式に付き合っていない。

 飽くまでもイリヤ王子が一方的にラヤにアプローチしているに等しい状態である。


 別に、ラヤ自身はイリヤ王子を受け入れたくないわけではないが、ラヤとしては、今は女神様との約束……一万人の治療達成が第一優先。

 恋愛は二の次と決意していたためであった。


「兄さん、それって、どう言うこと?」

「カワイイ顔しているけどさ。その陰で、どれだけ多くの男を知っているのかなぁって思ってさ」

「えっ?」

「あの娘、俺のイチモツを見ても平然とした顔をしていたし」

「はっ? それって、見せたのか?」

「見せたけど?」

「それって、何をしたんだ。返答次第では許さないぞ!」

「許すも許さないも、まだ婚約しているわけでもないだろう。まだ、正式にお前の女になったってわけじゃないし、あの娘はフリーだろう?」

「それは……」

「あの娘、反応しかけた俺のモノをキチンと剥いてくれて」

「!!!」

「もう、何人(の患者)を相手にしているか分からないね、あれは。男の(患者の)ナニを見慣れているって感じだったよ」

「ちょっと、兄さん。何言ってるのさ?」

「だから、何人もの男性を(患者として)相手にしているってことだよ。それに、俺だってドミトリーに聞いて、試しに彼女にお願いしたんだけどさ」

「ドミトリー?」

「ウィルキンソン子爵のとこの」

「あいつか……。でも、彼には婚約者がいたんじゃない?」

「いるよ。ただ、あの娘のお陰で色々人生観が変わったって言ってたな。婚約者との関係も含めて」

「!!!」

「なので、もうドミトリーは、あの娘のことがお気に入りのようだ」

「……」


 まあ、アナトリー王子は、決して間違ったことを言っていない。

 ドミトリーは真正包茎で、それが恥ずかしくて、これまで一度も婚約者の前で裸になることは無かった……と言うかできなかった。


 しかも、苦痛を伴う構造だったっぽい。

 言うまでもなく、婚前交渉ができずにいた。

 いや、このままでは結婚した後も営みが無事になされるかどうか分からない。



 神は死には苦痛を、性には快楽を与えたとされている。もし、これを逆にしたら人間は子を成さずに自ら望んで死んで行くだろう。


 なので、死が苦痛で性が快楽なのは当然の措置と言えよう。

 しかし、人生の快楽として与えられたはずのモノが苦痛になるなんて……それは正直、最悪でしかない!



 地球でもルイ十六世が似たような状態だったとされているが……まあ、それは通説であって真実は、単に性への目覚めが遅かっただけとも言われている。


 しかし、ドミトリーは性への目覚めが遅いわけではない。

 正直、笑ってなどいられない深刻な問題だったのだ。



 それが、ラヤに治療してもらって救われた。

 言ってしまえば、女性の前で脱ぐのが恥ずかしくなくなったし、苦痛もなくなった。

 それだけ男性として自信が持てるようになったし、喜んで突き進んで行けるようになったと言えるだろう。

 まさしく、婚約者との関係も含めて人生観が変わったのだ。


 当然、ドミトリーはラヤに感謝している。

 父親も母親も妹も救ってもらったし、特に妹の場合は、ラヤに出会えなければ亡くなっていたであろう。


 そういった意味では、ラヤはドミトリーのお気に入りである。

 ただし、それイコール、必ずしも恋愛対象と言うわけではない。



 その一連の話を、アナトリー王子はドミトリーから聞かされていた。

 それで、

『なら自分も包茎手術をしてもらおう!』

 と決意し、ラヤのところを訪れた。



 実は、アナトリー王子も、その件で悩んでいたのだ。

 それこそ彼は、世継ぎを残さなくてはならない立場である。Hできません、自信がありませんでは済まされないのだ。



 診察中に、カワイイ系美少女に見られて興奮したのか、アナトリー王子のモノは少し反応してしまったが、無事、余計な部分の除去に成功。

 これで男性として自信が持てるようになったし、苦痛もない。


 これから本気で相手探しができる。

 精神的な余裕も出てきたし、性への喜びを感じられるようになるだろう。


 ただ、誤解しないで欲しい。

 飽くまでも余計なモノの除去に『成功』したのであって、アナトリー王子は決してラヤとは『性交』などしていない。


 だが、アナトリー王子としては、

「(兄である俺を差し置いて、あんなカワイクて綺麗な娘とお近づきになりやがって! 少しは波風を立たせでもしないと面白くない!)」

 と思っていたのは事実である。



 厳密には、まだラヤとイリヤ王子は付き合っていないのだが……、ただ、二人が突き合い出す……じゃなかった、付き合いだすのは時間の問題だろう。

 それで、アナトリー王子は、敢えてイリヤ王子に誤解させるような言い方をしていたのだ。『成功』ではなく『性交』したかのように……。


「ちょっと、兄さん。それって……」

「ああ。俺もドミトリーのもラヤに前に陳列したってことだ。チンだけに」

「嘘だろ?」

「いや、ホントだって。でも、マジで気持ちイイもんだな」


 それは……今まで覆っていた苦痛部分が無くなったのだから、機能的に気持ち良いモノになって当然である。

 しかし、イリヤ王子は、アナトリー王子がラヤと気持ちイイことをしたと勘違いした。

 まあ、勘違いして当然だろう。アナトリー王子は、敢えて勘違いされるのを狙って言っているのだから。


「なんならドミトリーに聞いてみるか? まあ、そんなことしなくても本人に直接聞けば分かると思うけど」

「くっ……」


 普段は優しい笑顔に溢れているイリヤ王子の顔が、般若の面のような恐ろしい表情に変わった。

 それはそうだろう。自分のカノジョと思っていたラヤが、彼の脳内では他の男性とHしまくっている女に変わったのだから。

 自分は、させてもらえていないのに……。



「エレーナ!」

 城内を走って転移魔法使いであるエレーナを探すイリヤ王子。一刻の猶予も許さないとでも言いたげだ。


「エレーナ、いるか!」

「はい。イリヤ王子」

「これからブロメリオイデス教会に行く」

「今からですか?」

「そうだ。大至急だ!」

「しかし……」


 そうは言っても、まだラヤ達が診療を始める前の時間帯。

 こんなタイミングで行っても迷惑なだけでは?

 それに、王子だって自分だって仕事がある。


 そう思って、エレーナは、

「昼の休憩時間まで待たれては如何でしょう? それに、王子にも午前中に数か所、視察するところがあったはずですし」

 と王子に申し上げてみたが、

「そんなものは後回しだ!」

 と軽く一蹴された。



 それに、そもそも普段のイリヤ王子とは完全に表情が違う。温厚な性格ゆえに、一旦スイッチが入ると反動が大きいのだろうか?

 これは、何を言っても聞き入れてくれそうにない。

 エレーナは、状況を察した。


「分かりました」

「じゃあ、今すぐ頼む」

「はい。では、行きます。転移!」


 そして、イリヤ王子は怒りを露わにした表情でラヤのところに乗り込むのだった。


 …

 …

 …


 その数分後、イリヤ王子は、それが誤解だと言うことを……、いや、ワザと誤解させるような言い回しをされ、アナトリー王子に遊ばれていたことを知ることになる。


「(兄のクソ野郎……)」


 ただ、同時に彼は、ラヤとの婚約を急ぐ決心をした。

 一刻も早く、ラヤに他の男が手を出せない状態にしなければならないと……。

イチモツと書いた方がチ〇コと書くよりも下品に感じるのは私だけでしょうか?

それで敢えてイチモツと書きました。

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