美少女のマネージャー
オーディションで、グランプリを獲得した美少女がいた。
とても、とても美しかった。すごく、すごく可愛かった。
でも内気で、特に同世代の女子が苦手だった。
自分を変えるために、応募したオーディション。
そこには、かなりのプレッシャ一があった。
社長の女性は、美少女に甘かった。
出来るだけ、美少女の希望を叶えてあげることにした。
内気な人の一番の壁は、コミュニケーション。
一番接さなくてはならない人は、きっとマネージャー。
マネージャ一も、美少女の希望にそって選ばせることにした。
父子家庭で、中年の男性の方が慣れている。
そんな、少し変わった少女だった。だから、親ほどの年齢の男性を希望した。
女性社長は、悩んだ。チャンスだ。だけど、攻めすぎかもしれない。
悩んだ結果、攻めることを決めた。社長は実の弟を選び、マネージャ一に就かせた。
弟は、かなりの人見知りだった。人見知りを、直させたいと思っていた。だから、迷っていた。
美少女よりも内気。それは、確実なものだった。日本のベストテンには、入るくらいだ。
誰とも喋れない。姉である社長にも、自分からは、喋りかけないほどだった。
女性は、弟のリハビリも兼ねて、マネージャ一にした。かなりの賭けだった。
弟の能力はすごい。何でもできる、万能型。そう呼んでも、いいくらいだ。
今は、ネーミングや執筆のみで、かなり稼ぐ男となっている。とにかく、すごい。そんな感じだ。
人と関わる仕事が、苦手。前に、向き合おうとはした。でも、そこに何度も、体調不良が襲った。
だから、今までずっと避けてきた。でも、美少女となら合いそう。そう社長は、ピンと来たのだ。
今までに友達は、一度も出来たことがない。恋人も、生きてきた45年間、ずっといない。それが、弟である。
常識がある。全てにおいて、技術も一流。
だが、コミュニケーション力が伴わない。それは、本人が一番分かっていた。一生懸命頑張るしかない。弟は、そう決めた。
正式に、マネージャーに決まった。正式に、マネージャーになった。
偉い人の楽屋への、あいさつ回り。グランプリになったから、最初はそれなりに忙しい。
訪れるときに、美少女に落ち着かせてもらった。弟の方が緊張していた。付き添い側なのに、かなり緊張していた。
いつも、美少女に勇気づけてもらってから、人と関わっている。それが、弟だ。
電話が一番苦手だ。顔が見えないから。でも、仕事の電話で、体調不良になることはなかった。
美少女は、社長が持っているマンションに住んでいた。そこには、弟も住んでいた。
料理や掃除は、弟がすることもあった。段々と、その機会は増えてきた。
弟は美少女と、家のなかでも関わることが多かった。仲は、どんどん深まってゆく。
16歳の美少女は、一見子供っぽいところがある。でも、大人っぽくて、社長の弟の方が、かなりの子供だった。
弟と美少女は、さらに仲良くなった。かなりかなり、仲良くなった。
でも弟は、敬語で美少女に『ありがとうございます』と言うのが、口癖になっていた。
女優業が軌道に乗った。人気が出てきた。
恋愛は、禁止されていない。最初から。ずっと、していいことになっている。
もちろん、共演者からは、何十回と口説かれていた。
18歳になったとき、美少女はマネージャ一である弟に、恋心という想いを抱いた。
それは、きちんとマネージャーに、口で伝えていた。
マネージャーである弟は、本当に何でも出来てしまう。
そこに、美少女が恋心を抱くのは、おかしいものではない。
スケジュール管理。移動時間と移動手段の提示。全送迎。モーニングコール。スケジュールメール。
事前確認電話。ギャラ交渉。話題作り。SNS管理。動画の企画と撮影と編集。
悩み相談。話し相手。テレビ局と出版社への売り込み。
オーディション把握。現場同行。関係者挨拶。差し入れ。
NG事項把握。イメージ保持。オフ予定の把握。
季節的商品の所持。小物や便利グッズの所持。絆創膏の所持。
美少女とのツーショット写真の所持。美少女からプレゼントされたハンカチの所持。コンビニで買ったマウスウォッシュの所持。
それらが、マネージャーの弟の仕事だ。




