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恐怖症恐怖症
嫌いな兄。
すごく嫌いな兄。
その兄が、最近ひとり暮らしを始めた。
都会の都会で。
誘われたので、嫌々訪ねた。
本当に嫌々。
だって、嫌いだから。
外の道路で躊躇し。
階段中腹で躊躇し。
兄の部屋の扉前で、やや長い躊躇をした。
そこに、あの人が現れた。
こちらだけ、存じている人。
夢に毎日、出てくるだけの男性。
もうその人のまま。
そんな男性が、兄の隣の部屋に住んでいた。
その男性は、夢の中では怯えていた。
人に関する、あらゆる恐怖症を持っていた。
そんな感じだった。
だから、エブリデイハイテンションガールの私でも、話し掛けることを躊躇った。
漫画家で、誰とも喋らない男性。
そんな男性と女子高生は、普通だったら現実世界で交わらない。
でもなんか、仲良くなれる気がした。
その男性が、そっくりそのまま夢のままならば。
すぐに、その男性は去っていった。
でも、頭の中は夢男でいっぱいだった。
♪ピンポーン
普通に、兄の部屋のチャイムを鳴らせていた。
兄の部屋の扉が、ゆっくりと開いた。
いつもの元気な兄じゃない。
魂を抜かれたように、しなしなだった。
「ねえ。恐怖症のかたまりみたいな人いなかった? 怖くてあの人」
「そんな怖い人なの?」
「よく分からないけど、負のオーラがハンパないから」
「そう」
なんだか、兄との距離が少しだけ、縮められそうな気がしてきた。




