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双子のループ
こういうお店は初めてだ。
少しの緊張を覚える。
暗い空の下で、キラキラに輝く光の数々。
誘われて来たはいいが、目が泳ぐ。
「初めまして。チヤコです」
とてもとても美人だった。
このお店は特に指名をするわけではなく、フレンドリーに飲むスタイルだ。
「初めまして。チャコです」
同じ顔だった。
同じ顔が両側にいて、同じ顔に両側から挟まれた。
「双子なんです」
思った通りだった。
どちらも美人で、甲乙付けがたい。
すぐに、チヤコさんとチャコさんはいなくなり、別のテーブルに移動した。
女の子のいない寂しい酒を飲んでいると、チヤコさんかチャコさんのどちらかが来た。
そして数分間、他愛もない話で盛り上がると、今いる方ではない双子のどちらかがやってきて、ずっといた方の双子のどちらかが去っていった。
話し始めてすぐに、その女性も誰かに呼ばれて寂しさに包まれた。
数分後、またどちらかが現れて、笑顔でお酒を作ってくれた。
そして、またいなくなり、数分後またどちらかが現れた。
ループしているのか、ひとりの方が少し多めなのか分からない。
どっちがどっちなのだろう。
ドレスが同じで全く分からない。
ここには癒されに来たはずだ。
ここには休息を取りに来たはずだ。
なのに、今が一番脳を使っている気がする。




