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雨上がり、2人の帰り道。  作者: 佐々木 栞
雨上がりの帰り道

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1/3

雨

今日は雨が降っていた。

予報では1日雨だったけど止んだらしい。

わたしは雨が苦手だから助かった。


溜まっていた仕事を片付けていたらこんな時間になってしまった。社内には数人の社員しか残っていない。


会社のエントランスから外に出る。

まだ湿った空気が残っていた。

この時間に駅まで歩きっていうのもしんどい。


...疲れたなぁ。

緊張がとけたのかどっと疲れが出た。

何か甘いものが飲みたい。

あいにく手持ちの飲み物がきれてしまっている。

わたしは周りに自販機がないか探した。

いつもとは違う帰り道を選んだ。

回り道だけどこれだけ遅くなったらもう関係ない。


しばらく歩くと自販機も見つけたが、

そこには黒いスーツを着た一人の女性が立っていた。

瀬戸先輩だった。


社内では有名な人だ。

綺麗で、仕事もできて、どこか近寄りがたい。

そんな話をよく聞く。

工藤先輩の同期で、上田くんが憧れている先輩でもある。


でもわたしはそういう印象をあまり持っていなかった。

前に見かけた時、

優しそうに見えたからだ。


普段なら話しかけない。

この日は気付けば、わたしは声をかけていた。


「おつかれさまです」


「...おつかれさまです」


「先輩、まだ帰ってなかったんですか」


「...うん」


わたしはどの飲み物が良いか吟味する。

こういうときに即決できないのが悪い癖。

ご飯を食べに行く時も最後の最後まで悩み抜いてしまう。

わたしが選んでいる最中に

瀬戸先輩は飲み終えたのか早々に帰っていった。

わたしは飲み物を選びながら、

そういえば瀬戸先輩と話したのって数回しかないけどわたしのこと覚えてたかな?

…仕事終わりのテンションで声をかけちゃったの、間違いだったかも。

若干の不安を覚えながら私の手はアイスティーを選んでいた。


アイスティーを片手に帰り道を歩く。

ほのかに甘い。

その甘さに少し癒される。

学生時代は誰かと帰るのが当たり前だった。

社会人になると1人で帰ることが当たり前になった。

最初は寂しかったけど社会に出て2年も経つと慣れていった。

ただ通勤の時間と会社から家まで帰る時間の億劫さは今でも慣れない。

どうしても時間の無駄に感じてしまう。

せめて話し相手でもいてくれたら大分違うんだけど。

あまりにも慣れないので最近、会社の近くに引っ越そうかと本気で悩んでいる。


夜ご飯はコンビニのお弁当でいいかな。

...作る気力ないや。

夜のコンビニは誘惑が多い。

食べすぎないように気をつけなくちゃ。

でもアイスが食べたい気分。

今日頑張ったしアイスならいいよね。

明日も頑張らなきゃだし。


ひとり、帰り道を歩く。

雨上がりの帰り道はいつもより寂しさが増した。


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