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プロローグ

平等という枠組みの中にある世界が、こんなにも理不尽に感じるようになったのは、いつからだろう。

たぶん、劇的な何かが起きたわけじゃない。

 信号待ちで隣に並んだ高級車のエンジン音を聞いた時とか、コンビニのゴミ箱にまだ食べられる弁当が捨てられているのを見た時。そういう、なんてことのない瞬間の積み重ねが、僕の中を少しずつ「毒」で犯していく。


今の政治不信だってそうだ。

権力は、本来なら世界をより良く改善するためにあるべきものだ。それがないと、何もかもが止まってしまう。

 だけど、その力を手にした人間が、力そのものに飲み込まれていくのを、元検事の僕は嫌というほど見てきた。それが、今の僕にとっての最大の恐怖でもある。


だから、僕はここにいる。

 半間のクローゼットの中だ。


この狭く暗い空間だけが、僕と理不尽な世界を隔ててくれる。

 僕はここから、外の世界で「正義」を気取って石を投げる連中の、その薄汚い「日常」を解体しに行く。

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