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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第三章 クランのわちゃわちゃ
42/110

第三回イベントット

長いー。

『第三回イベント開催!』


 5月の最後、またイベントの告知が来た。

 だが、今回は戦闘系のイベントではなく、祭りを開催するらしい。

 夏祭りならぬ、梅雨祭りということだ。

 なんか5月は体感一週間くらいで終わったが、絶対会長に剣舞をやらされたせいだと思う。


『あと、クランで出店できるんだ。なんと売上は後から十倍化されるから頑張ってね』


 ザ・フィッシュの告知が終わって、とりあえず《海馬組》メンバーに召集をかけた。

 意外と早く使うな、この円卓の会議室。

 リーダーである俺は、真っ先に着いて、一番扉から遠い席に座ってヤク〇装備を全て装着し、Eヴァの司令官みたいに腕を組んだ。


「なにやってんの?」

「碇ゲ〇ドウの真似。あと2分で【マグロ】に戻るところだった」

「誰?」


 ちょっとダメージを受けつつ、ホワイドボードペンを円卓テーブルに滑らせ、ファニーに渡した。


「店でなにするかアンケートとるんだ。案があったら書いてくれ」

「分かった」


「ダーリーン!」

「お前は案書かなくていいよ。どうせロクな案でない」

「そんなこと言わないで、私に任せなさい」


「イベントだぜ!熱いぜ!」

「はい、案よろしく」


 その他いろいろあって、俺、ガンツ、ファニー、アンペル、シェンラさん、ミワ、ギコー、ラチック、Rexの9人が集まった。

 出店する店案は……


・オレンジ屋

・逆刃刀ショップ

・黄金の世界

・超激辛焼きそば

・歌舞伎

・押し発表会  ext…


「……まともな案がオレンジ屋と歌舞伎くらいしかないんだガ」

「これは酷い……歌舞伎はまともなのか?」

「それだけ言うなら、自分の案を出しなさい」


 ラチックに睨まれて、ペンを渡された。

 出店か。このメンバーで、一番稼げそうな店といえば……。

 俺のペンがスルスル動いて、


・キャバクラ


「殺しましょう」

「いや、動きをとめるんダ。町の中でも殺せるゾ」


 マジで殺しに来るの止めて。


「いや、うちの女子組って全員可愛いというか、美しいというかだから、一番稼ごうと思ったらこうなるだろ」

「……0.3里くらいはあるかもしれないわね」

「じゃあ、こういうのはどうでしょう?」


 シェンラさんがホワイトボードに意見を書き始めて、


・アイドル


「これにしようぜ」

「お前は妹のアイドル姿を見たいだけだろ」

「お亡くなりになって下さい」

「……(残り29)」


 でも、結構いいのかもしれない。

 流石にキャバクラは自分でもどうかと思ったが、アイドルなら全年齢対象だし、接客業でもない。


「反対の人いる?いねえよなあ!」

「ダーリン以外に見られたくない」

「……お前は他の男なんて見えないだろ?俺に見せるためだと思って、よろしく頼む」

「分かったよダーリン♡」


 なんか最近ヤンデレの扱いが上手になってきているのが悲しいが、まあいいとしよう。


「じゃあ動画サイトとかで、良い感じの振付を……」

「私に任せて」


 シェンラさんの目を見ると、いつもフワフワしてる彼女の目が燃えていた。


「姉さんは高校までダンスをやっていたからね。最近はできていなかったみたいだから燃えてるみたい」

「なら、任せるか」

「3日待っててね」


「じゃあ、俺たちはグッズ作りかな」

「俺は衣装」

「……お前作れるの?」

「統、ファニーの採寸だけはよく知っている……(死)」


 お前、悪口言われたかもしれないって衝撃だけで死ねるの?

 まあ、俺も生徒会の衣装づくりで会長に散々鍛えられてるし、できるだけハンドメイドでつくるか。





 数時間後、衣装作成用の素材をとりに、俺、ガンツ、ギコーの男三人でグレ壱の海中原っぱに行った。

 情報によると、ここには羊魚が出現するらしく、マイ〇ラのみたいに羊毛がゲットできるらしい。

 最初の町のモンスターだけあって、加速なしでもワンパンできる。

 けど、


「あんまりドロップしてくんねえな」

「そりゃアニキが倒したら粉々になるから」

「ちょ、助けてくれ」


 ガンツは多数の羊魚に囲まれていて、既に何回か死んでいる。


「やっぱ大群相手に弱いよなぁ」

「それはお前もあんま変わんねえだろ」


 軽口をたたきつつ、ちょうどいいから[八九三 キャスィーツ]の効果を試してみることにした。

 右ポケットから白い棒付き飴を咥えて……ステータスが上昇した気がする。

 そのまま加速して、ガンツを取り囲んでいる羊を一掃する。


 ……あんまり強くなれてない気がする。

 実は俺、生徒会とか生徒会とか、あとは生徒会などのせいで時間がなく、ガンツよりも7くらいレベルが低いし、最近はMPにも振っているから、ステータスは結構低い。

 それを補えるのは魅力的だが、他の効果を持っている相手とは、結局差ができてしまう。

 できればもう一つくらい鱗器が欲しいけど、鱗器の作成は、1つめは[特能ウロコ]一枚、2つ目は二枚……という風に増えていくため、次は二枚もいるから……簡単には作れない。

 まあ、順繰り(じゅんぐ)やっていくか。




「ん、大体集まったかな」

「ああ、こんだけあれば全員分作れるだろ。あとはキラキラするやつが欲しいけど、それは買うしかない」


 その後、手芸ができないギコーにその他必要なライトとか、当日の場所取りとかを任せて、俺とラチックで拠点にてデザインを考える。


「とりあえずモノホンアイドルの衣装を参考にして、」

「色分けましょうか?」

「そうだな、イメージカラーで変えるか」

「……私のだけには赤色を入れといて」

「いや、ある程度の統一感は保っておきたいし、イメージカラー以外は同じにしておこう」

「そうね……」


 三日で大体のデザインを掴み、ガンツが採寸もせずにファニーの衣装だけすぐに完成させた。


「こんなもんか?」

「……ああ、これを他の人に合わせていこう」


 生徒会第五の刺客(ヤバい時のお手伝い要因)なだけはあるな。

 ファニー以外の衣装は作れないガンツを小物要員に回して、ほぼ一人で五人分の衣装を制作していく。

 衣装のデザインは、不本意ながらも《海馬組》のコンセプトはヤ〇ザということで、振袖や帯で和装感を演出していく。


「はい1、2、3。ファニー遅れてるよ。ミワは早い」


 シェンラさんも振付を考え終わって、女子組でダンスの練習をしていた。

 ちなみに歌は「どうせオタクが多いんだから、アニソンにしよウ」とのことで、ガンツ監修のアイドルっぽいアニソンを題材にしている。


 着々を準備が整っていて、あと一週間でイベントが始まること以外は完璧だ。





「ギャーーー―――――(断末魔)」


 ダメだ、衣装作りが終わらない。

 今イベント2日前なのだが、まだラチックとRexの衣装が手つかず。

 5日で2着なのに、あと2日……いや、リハーサルから手直しまで考えると、期限は実質今日までだ。

 手慣れた手付きで学校にズル休み連絡を入れたが、これは……援軍を頼みにいくしかない。


「ってことで、手伝える人いません?」

「俺はできるけど、お前の10分の1くらいしかできないぞ」

「まだダンス組は無理かなぁ」


 結果、ガンツのみ。


「……あれだ。NPCに外注しよう」


「他のクランに……」

「今日は定休日だから」

「イケメンの依頼は受けないって決めてんだ」


 ちょっと最後の理由だけはよく分からないが、何だかんだで援軍は得られませんでした。




「メ~ダ~カ~の学校は~布の~中♪」

「出来上がってやがる」


 何故か男二人で衣装を塗っていたが……足りないなぁ。

 もう夜の9時だが、全く間に合っていない。


「流石に少し休憩しろ。さっきからミスも増えてるだろ」

「……そうだな」



 縁側で、鹿威しのポンッという音を聞き流しながら、うちわを扇いでいた。

 どう考えても処理能力が足りていない。

 その時、後ろに誰かが立っていた。


「何だ、ガンツ」

「残念、俺だよ」


 後ろに立っているのはアニキ(ギコー)らしい。

 こいつの雑用もそこそこ多かった気がするが、ちゃんと自己完結したのだろう。


「お疲れ様」

「互いにな」


 アニキが隣に座って、俺と同じ方向を向いた。

 

「そんなにヤバいのか?」

「ああ、まだRexのやつが丸々残ってる」


 一番プロポーションがいいやつが残ってしまっている。

 つまり、最も難しいのを残してしまった。


「そろそろ戻るよ」

「……手伝おうか?」

「無理しなくてもいいんだぞ」

「実は、結構得意なんだ」


 何かを決心したようなアニキが、真っ直ぐこちらを見据えていた。


「じゃあ、頼む」

「おう、任せとけ」


 手をコツンしておいた。




 ウィーー---ン


「……(唖然、それでも無意識に動く手)」


 アニキ、めちゃくちゃ手芸上手かった。

 今ガンガンにミシンを動かしている。

 ここ半年で、俺もかなり鍛えられていたが、アニキも同じくらい上手だった。


 これなら……いける。




「ファー。終わったぜぇぇぇぇ」

「「イエー」」


 今午前8時、限界突破した男三人で、なんとかRexの衣装を仕上げ、死んだ。

 あ、あとは着るのを見たら……終わりだ。


「渡しに行こー」

「「イエー」」




「完成したぜい!」


 練習室(余ってた部屋)に、みんなの衣装を持って行った。

 キャアキャア言いながら自分用の衣装を装備する女子組をみて、達成感を得つつ、


「どう?ダーリン♡」

「似合ってるよ」


 ヤンデレのケアを忘れないプロフェッショナルになっている。

 他のメンバーの顔が険しくなっているのだが……徹夜明けだから。

 やべ、マジでキツくなってきた。ゲーム内で寝てもいいが、朝ごはんも食ってないからログアウトしておきたい。


「なあ」


 アニキが話しかけてきた。


「どうした?」

「……聞かないのか?なんで早く手伝わなかったとか」


「間に合ったからいいんだよ。結果良ければどうでもいい」


 そのままログアウトして、結局何も食わずに寝た。


次回、アイドルライブ。語彙力問題で作者死す。

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