過去一の謎回
意味が分からなくなって、頭が痛くなったらブラウザバック推奨です。
昔々、ある所にお爺さんとお婆さんが住んでいました。
お爺さんは山で鳥を射り、お婆さんは川で魚を取って生計を立てていました。
「ファニー婆さん、もっとくっついてもいいんだよ」
「キモい死ね」
……最近は熟年離婚が増えております。
さて、そんなある日、お婆さんが川で魚を取っていると、上流から大きな桃が流れてきました。
「……なんか不味そうだし取らないどこ」
「ちょ、話が進まないから取って!」
「気味が悪いなぁ……やっぱり取らないどこ」
「どうしろって言うんだよ!?」
婆さん(ファニー)が桃を持たずに帰ろうとしていると、お爺さん(ガンツ)から電話が掛かってきました。
『今日は不作だったから、多めに取ってきてくれ』
「えー、しょうがないなぁ」
こうして、お爺さんのファインプレーでお婆さんは桃を持って帰ることにしました。
大きな大きな桃を背負い、ぬいぐるみを伸ばして飛び回ります。
すぐに木造建築の一に付きました。
「ただいま」
「お帰り愛しの婆さん。その桃はなんだい?」
「なんか上流から流れてきた。毒見に食べてみて」
そう言って、お婆さんが包丁で桃を真っ二つに割ると……
「お、おぎゃあ」
「キツ!」
「おい止めろ!こっちも恥ずかしいんだよ!」
余りに辛辣なお婆さんのせいで死にかけましたが、中からは日本語を流暢に話す赤ん坊でした。
これまた気味が悪く、お婆さんはもう一度包丁を振りかぶります。
「バイバイ」
「軽くジェノサイドしないで!」
「ホント進まないから止めて!」
二人の必死の説得で、お婆さんは一先ず包丁を置きます。
「ほ、ほら俺たち子どもがいないし、この子を育てないか?」
「……何かやだなぁ。やっぱイグノとガンツ交代しようよ」
「もういいじゃん。さっさとやろうぜ。ほら、名前付けて」
「じゃ、イグ太郎で」
こうして、お爺さんとお婆さんはイグ太郎を育てることになりました。
それから、十数年が経ちました。
心が綺麗なお爺さんとお婆さんに育てられたイグ太郎は、とても素直でいい子に育ちました。
そんなある日、イグ太郎は鬼が近隣の村を荒らしているという噂を聞きました。
いい子のイグ太郎は、もちろんそれを見逃せません。
「ジジイ、母さん、ちょっくら鬼退治に行ってくる!」
「……何で俺はジジイになってるんだ?」
「だって、BBAって呼んだら殴られるし。ジジイは……まあジジイだから」
「そうそう。姉さんって呼んでもいいよ」
「……とにかく、鬼退治に行くんだ!」
お爺さんとお婆さんは止めようとしましたが、イグ太郎の決心は硬い様です。
何回も殴られましたが、DVで訴えると脅して、なんとか行ける様になりました。
そして、出発の日。
家宝の真剣グングニルを腰に携え、頭に鉢巻をし、戦う準備は万端です。
「じゃあ、行ってきます」
「イグ太郎……せめてこれを持って行きなさい」
そう言って、お婆さんは……お団子の形をした特級呪物を持たせました。
お婆さんは、料理が一周回って得意なので、このお団子には濃硫酸レベルの威力があります。
きっと鬼に投げつけるためにくれたのでしょう。
「お腹が減ったらこれを食べなさい」
「……うん、行ってきます!」
どうやら、餓死は辛いので、中毒死にしてくれみたいです。
これも一つの優しさなのでしょう。
さて、イグ太郎が鬼の根城である鬼が島に向かっていると……草原に犬がいました。
無視して進もうとしていると、その犬は付いてきます。
「何だお前?」
「ワンワン!」
「おい、舐めんな!」
最初から好感度MAXの犬は、イグ太郎の頬を舐めてきました。
どうしてこんなに執着するのでしょうか?
「俺は鬼退治しなきゃいけないんだ。どっか行け!」
「ワン!」
「え?一緒に行きたい?……嫌だけど」
「ワン!」
「だから舐めんな!」
余りにもウザく纏わりついてくるので、イグ太郎は渋々同行を認め、その犬にミワと名付けました。
ミワは喜び、さらに懐かれて、イグ太郎は後悔しました。
ちなみに、イグ太郎は猫派です。
鬼ヶ島に向かって、森を一人と一匹で進んで行くと、猿が現れました。
「ウッキー♪」
「無視無視」
「ワン」
イグ太郎はスルーしようとしましたが、ミワと猿の波長が合ったらしく、これまた付いてきました。
犬猿の仲とは何だったのでしょうか?
もうなんか面倒になったイグ太郎は、猿にシェンラと名付けて、同行を認めました。
そして、これまた草原を一人と二匹で進んでいると、キジが現れました。
「……キジー」
「あ、犬と猿は鳴き声が分かりやすいけど、キジは分かんないから『キジー』って鳴くやつだ」
「ワン」
「ウキー」
「キジー!」
と、いうことで、そのキジにアンペルと名付けて、一人と三匹で鬼ヶ島に向かいます。
「行くぞー!」
イグ太郎は靴を脱いで、海を泳いで鬼ヶ島を目指しました。
荒波がイグ太郎を襲いますが、得意なクロールで波に逆らいます。
「ウッキー」
「文句言うなよ。イカダの作り方なんて分かんねえもん」
「ワン」
実際、ミワは犬かきで泳いでるし……なんか泳げない猿はキジに運ばれてる。
20分も泳いでいると、陸地が見えてきた。
「よし、鬼討伐開始!」
「ワン」「ウッキー」「キジー」
イグ太郎は、真剣グングニルを抜き、鬼の首を斬った。
なんかギコーとRexとマドカに似ている鬼を倒し、鬼の棟梁を探す。
……奥の方に行くと、なんか特別そうな鬼がいた。
背後から追いかけて来る鬼をミワ達が阻み、イグ太郎は一対一でヤバそうな鬼と対峙する。
「……お前が、鬼の棟梁か?」
「そうよ。ラチックと呼びなさい」
「そうかい。俺はイグ太郎だ」
律儀にも名乗ってくれたラチックに向かって、真剣グングニルを構えた。
凄い緊張感で額に汗が流れた。
「行くぞ」
「来い」
イグ太郎は真剣グングニルを振りかぶり……瞬間、棍棒が腹に直撃し、壁に吹っ飛ばされた。
こいつ、強い。
「……お前弱くないか?」
「ふ……ここに来る前に『剣の構え』って本を読み込んだ」
「構えだけ見て警戒して損した」
「それでも部下を倒すには十分だったけど」
「貴様!」
激昂して近づいてきたラチックに……お婆さんのお団子を食べさせた。
婆さんの怨念が籠った団子は、ラチックを苦しめ……討伐に成功した。
マジで何だよこれ。
短編を書いているような気分だった。