第三十五話 異世界アルバイト! デュアルボード! ドラゴンレースで世界1位を目指せ!終
デュアルボード
ドラゴンレース3日目
本日も快晴なり!
距離にして俺は世界を半周した。ドラゴンのスピードはもう本当にすごい。
俺は朝ごはんを食べた後、龍舎へ向かう。
ちなみに朝ごはんはこの国に入った時に支払った40000ドランの中に入っているので安心だ。
残るレースもあと2日! なのに順位は……
「61位か」
89人が参加している中で絶望的である。残るチェックポイントについた頃には1位のベテラン勢とは天と地の差がついてしまうだろう。
どうにかして策を練らなければ……
「メイズ、今日も頑張ろう……」
俺はパラメータ調整機を作動させた。
◆メイズ
体力880
最高スピード220km
最大走行時間8時間
必要休眠時間8時間
1日に必要な食事量20kg
大会参加経験数3回
ゴール回数2回
最高順位79位
昨日と特にパラメータは変わらない……。そりゃあそうだろうなぁ。このままでは勝てない……。やはりレンタルドラゴンだから、上位を目指すのは無理か。
例えば経験回数が10回を超える龍だったらなあ……
ピカ!
◆メイズ
体力880
最高スピード220km
最大走行時間8時間
必要休眠時間8時間
1日に必要な食事量20kg
大会参加経験数10回
ゴール回数10回
最高順位79位
やった!
なんとパラメータにある体験参加回数とゴール回数の数字が変わっていた。
これって……も、もしかして!
能力値のステータスには限界があるから変更ができない、しかしゴール回数などのやれば可能な数字は変更ができる、変更ができるならステータスをあげられるという安易なイメージだったが大成功だった。
俺は昨日調整した体力、最高スピード、最大走行時間をカンストできるかどうか実験してみた。
ピカ!
◆メイズ
体力1120(最大)
最高スピード270km(最大)
最大走行時間11時間(最大)
必要休眠時間8時間
1日に必要な食事量20kg
大会参加経験数10回
ゴール回数10回
最高順位79位
なんと、ステータスがアップした! やっぱり! メイズのゴール回数を調整した事でベテラン龍へとなっだのだ。ベテランになればもちろんステータスの最大値も上がるんた!
「メイズ、出発だ!」
先ほどメイズに暗い声をかけていた俺は知らない。高らかに声をかけた!
ブアアアア!
空を飛ぶ!
昨日より速度が全然違う!
風を受けるスピードが全然違う!
凄まじいスピードで俺はコースを突き進む。
パラメータがベテラン龍になったせいか、どんどん前方の龍を追い抜いていき飛行を続けて3時間もすれば……
51位
47位
33位
上位が見えてきた。といっても、
1位の人は既に第3チェックポイント付近についているのだろう
俺は再びパラメータを確認する。
◆メイズ
体力1120(最大)
最高スピード270km(最大)
最大走行時間11時間(最大)
必要休眠時間8時間
1日に必要な食事量20kg
大会参加経験数10回
ゴール回数10回
最高順位79位
俺は一つの考えが浮かんだ。
実現可能な数字なら……
ピカ!
◆メイズ
体力1120
最高スピード270km
最大走行時間11時間
必要休眠時間8時間
1日に必要な食事量20kg
大会参加経験数100回
ゴール回数100回
最高順位1位
メイズを大ベテランで優勝経験がある龍にしてみる。
本当にできるかどうかはわからないが、実現自体は可能なので無事に変更ができた
「最大の文字が消えたぞ! そりゃ!」
そして、ステータスを上げてみる。
ピカ!
◆メイズ
体力8000(最大)
最高スピード700km(最大)
最大走行時間36時間(最大)
必要休眠時間8時間
1日に必要な食事量20kg
大会参加経験数100回
ゴール回数100回
最高順位1位
や、やった!
これなら優勝間違えない!!
俺は天才だ!
「メイズ、フルバーストだ! このままゴールまで突き進もうぜ!」
俺はメイズに高らかな声をかけて速度を上げさせる。
280km、300km、400kmを超えた頃……
「ぐああああ! いてええええ!」
風圧と衝撃がとんでもないことになる、屈強な龍にとっては関係ないが人間にとっては耐え難い衝撃が俺の体にのしかかる。飛行機などは前方に風除けの機体があるから大丈夫だが、俺はドラゴンに乗っているだけ、とんでもない衝撃が俺の身体を傷みつける。
「まって、メイズ……減速だ……」
ギイイイ
この調子で時速700kmで飛行すれば優勝が見えてくるのは間違えないが、俺の体がゴールに来た時に耐えられない。すこし速度を落とそう。
メイズが280kmまで速度を落とした
「流石にあの速さに俺は耐えきれない……」
ピピ!
『いえ、将大。チャンスよ! 速度を上げなさい!』
ダリアさんが脳内に話しかけてくる。
「いやいや、ダリアさん! おれ、死んじゃいますよ! 殺す気ですか?」
『違くて! あなたの左手の小指に付いている指輪はなんなのかしら?』
「ど、どういうことですか!」
『その指輪の機能! 忘れたの!?』
「この指輪……? ちょっと考えさせてください!」
この指輪は地獄でのアルバイトで手に入れた(本当は返すはずだった)指輪である。この機能はたしか……
ーー回想ーー
地獄アルバイトにて
『はい! 急な有り合わせなもので申し訳ありませんが、こちらは他の社員さん同じで痛みを無効化、暑さも無効で怪我をしても超回復します。でも他のリストバンドとは異なり効果が若干弱いので、触ったり安全通路から外に出るのは禁止です。体験禁止です。だから安心して下さい!』
ーーーーーー
「そうか、安全指輪だ! この指輪は痛みを無効化して、怪我をしても超回復するんだ。」
『そうよ、だから時速700kmでもあなたは飛行することが可能よ』
「で、でも時速400kmで俺は衝撃で痛くて痛くて……」
『アデアラの話をちゃんと思い出して』
「そ、そう言われても……うーん」
ーー回想ーー
でも他のリストバンドとは異なり効果が若干弱いので……
ーーーーーー
もしかして……ダリアさん……
『そうよ、痛みは若干残るけどあなたの体は超回復するのよ。だから惜しまず700km出しなさい。そして優勝して天界に戻ってきなさい!」
「そ、そんなあ」
『それとも何? あんた一生ここで過ごすつもり? ミミが一生女神見習いで良いの?』
そうだ、ミミがを女神にさせるんだ。こんな痛みはミミのゴス! に比べたら大したことない!
(ということにしておこう。)
ミミのゴス! は俺の骨を直接振動させるんだ。
俺はこんなところで諦めない! というかそう思わないと一生このデュアルボードで暮らすことになる。
「メイズ! 全速全開だ! このままゴールまで飛ぶぞ!」
そういうとメイズは速度を上げ始めた。
『じゃ、そういうことで頑張りなさい』
ピピ
ダリアさんとの通信が切れる。
メイズはどんどん速度を上げていく、時速300km、400km……500km
「ぐ、ぐあああ!」
痛みも尋常ではない。普通の人間ならばこの速さだと潰れてしまうだろう。しかし、地獄でもらった安全指輪のおかげで超回復しているのである。
時速600km……650km……700km
「ぐわああああああ!」
地獄のような痛みが俺を襲う。
この前の地獄体験アルバイトが生温く感じてしまう。
(いや、あれはある意味地獄だったっけ?)
「ぐ、ぐ……」
俺の叫び声も消え失せるほどのスピードでメイズは飛行する。次々と上位人を圧倒し、追い抜き、追い抜いて……。
◇◇◇
夕暮れ時
「おめでとうございます! 第88回! 優勝は新人の将大さんです! なんと前回優勝者より半日早くゴールしました!」
「あ、ありがとうございます」
おれはヨレヨレの体で優勝台に立っていた。
「すげーよ兄ちゃん!」
「くそう! だからコイツに賭けておけば良かったんだよ!」
会場からは賞賛やら野次が次々と飛んでくる。
「初出場、レンタルドラゴン使って優勝するなんて信じられません! 勝つ秘策は何だったのでしょうか!?」
大会の実況をしていたビビアンが俺にインタビューをしてくる。
「あ……あの、このドラゴン、すごく速くて……死んだ気持ちで飛行してたら到着してしまいました」
「な、何でしょう。すごく適当なコメントなのにすごく説得力が感じられてしまう。これが1位の風格なのでしょうか!?」
「「うぉおおお! よくやった! にいちゃん!」」
「それでは優勝した将大さんには守護の指輪をプレゼントします! この指輪をつけていると衝撃や風圧が完全無効になります! 次回のドラゴンレースでお使いください!」
「アデアラさんの指輪の強化版かよ……先に欲しかった……」
そしてビビアンから100万ドランを返してもらった。
ピピ! ミッション完了!
キカンシマス!
脳内にミッション完了の音がした。
数十秒後に俺は天界に戻ってきた
◇ ◇ ◇
天界 快晴や
「ふう……なんとか優勝してきたぜ……」
「お……おかえり」
ダリアさんが俺を出迎えてくれた。なんだろう、ダリアさんはいつもよりピリピリしている? 俺、通信の時に何か言ったのか?
「ダリアさんがくれたパラメータ調整器! 凄すぎたぜ」
「あんた、本当に時速700kmで7時間空を飛び続けるなんて大したものね」
「あ、あの指輪がなかったら死んでいたよ」
俺は左手の小指にされている安全指輪を見ながらつぶやいた。
「でも、これはアデアラに返さないとダメよ。こいつを返さない限り、アデアラは異世界を駆け抜けてあなたを追ってくるから」
そうだ、この指輪はうっかり持ってきた指輪だ。これはちゃんと返そう。
ってあれ? これを返してしまったらミミのゴス! に耐え切れないんじゃ……
「そ、そうですね……」
俺は微妙な気持ちでダリアさんに回答した。
「さあ、今回の課題が終わったからイセパットに登録するわよ!」
ダリアさんがイセパットにぽちぽちと登録を始めた。
トウロクカンリョウ!
どれどれ、今回はどんな転生先になるんだ?
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題名:「転生前の俺! いったい何をしたんだ! ライバルは自分! 2度目の優勝を目指します!」
内容:宅配業者へと就職して働いている転生者。彼の任務はドラゴンにのり世界中に宅配便を『爆速達』する事であった。守護の指輪は彼を風圧と衝撃から守るものだから、他の宅配便よりも早く配達する事が出来た。
いつもの通り宅配をしていると大行商人のスパニエルから「もう一度レースに参加してみませんか?」と言われる。いろんな人から大期待された俺はドラゴンレースに出場することにした。
しかし、結果は大敗退であった。
「あれれ? お前の実力ってこんなものか?」
「ちくしょう! 転生前の俺の実力はわからないが、俺は俺の手で優勝してみせる!」
彼の地獄のドラゴンレースの特訓が始まった。
キャッチフレーズは「俺、優勝したら。あいつと結婚するんだ」
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「お、俺がチートアイテムを使ったから、次の転生者……大変そうだなぁ。あと、最後のキャッチフレーズは明らかに死亡フラグですって」
俺がイセパットに書かれた内容を読みつぶやいた。
「チートアイテムは一長一短だからね。ちなみにパラメータ調整器は取り外し済みだから、あの世界でメイズというレンタルドラゴンのパラメータは通常に戻っているわ。彼らには努力をして優勝できることを祈っているわ」
「そ、そうですね」
俺は転生前の世界を作ることが仕事、転生した後は彼に頑張ってもらおう。
◇ ◇ ◇
時刻も夕方
「はい、今日のアルバイト代よ」
俺はダリアさんから日給をもらう。日給8万エリカ……これが俺の今回の報酬だ。死ぬ思いをしてまで手に入れたお金はなんというか特別な気持ちになる……ってあれ?
「ダリアさん……ちょっと多いみたいなんですが、もらってもいいの?」
そういうとダリアさんは当たり前のようにつぶやく。
「あんた馬鹿ね、デュアルボードで使わなかったお金をエリカに変換してあげたのよ」
「そうなんですか!」
なんと! 俺があの世界で使った分のお金を天界のお金に交換してくれたのだ! たしか25000ドラン余っていたから……天界のレートに直すと5000エリカ多い!
「やった! ありがとうございます!」
俺はダリアさんに礼を言う。
「じゃ、行くわよ。」
「へ?」
「だから、あんたの優勝祝いをするから夕食に出かけるわよって言ってるの! お店だってもう予約したんだから、察しなさいよそれくらい!」
「き、気づくわけないじゃん!」
「私くらいしかあんたの優勝したことを知らないんだからね! それに……ほかにも言いたいことがあるし!」
ダリアさんは少し顔を赤くして俺に言い放つ。いったいどうしたんだ、今日のダリアさん。
「ちょ! 私が祝ってあげるんだからうれしくないの!?」
どんどんダリアさんの顔が赤くなる。
「も、嬉しいです!」
「ふん、じゃ食事代として料金はあんたが持つのよ!」
「え……ええ!」
な、なんと俺の優勝祝いで食事に行くことになった! 俺のお金で!
「ファミレスで構わないわ。さあ、行くわよ!」
ぐい!
「ちょ、ちょっと!」
ダリアさんは俺の腕を引っ張る。
彼女は嬉しそうに俺を引っ張り近くのレストランに向かったのだ。
まあ、何はともあれ優勝祝い! たくさん食うぞー!
◇◇◇
同じ時間帯、ミミと将大の家
「将大さんー! ただいまです! 今日も私のお店が大繁盛ですべて売り切れで帰ってきましたー! ってまだバイト中ですよね……あ! そうだ! せっかく早く帰れて来たんだからちょっと凝った料理を作っちゃいましょうー!」
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次回! 俺! 修羅場なり!




