第三十四話 異世界アルバイト! デュアルボード! ドラゴンレースで世界1位を目指せ⑥
デュアルボード
ドラゴンレース2日目
「良い目覚めだ! ダリアさんとの通信中だったけど死んだように眠ってしまった」
俺は仮設テントから出た後、腕をぐうっと伸びをした。
体調も好調!
お金は残75000ドランあるけど節約して使わないと!
昨日ダリアさんからもらったチート救援物資のパラメータ調整機もあるし! これを使えば目指すは優勝だ!
俺は朝食を10000ドランでレストランで済ませた後、パートナーのメイズがいる龍舎へと向かった。
朝は早いが参加者の一部は既に第二チェックポイントへ向かっているはずだ。俺は龍方磁石に表示されている順位を確認する……
「51位か……」
順位が下がっている、数組はもうすでにこのチェックポイントを出発したようだ。
だが序盤のドラゴンレース、この順位は当てにならない。
なんせ大会はあと3日もある! 前半飛ばしすぎた龍は体力を落とし、順位を落とす者も多いだろう。このドラゴンレースはいかにドラゴンの体力を維持しながら最高速で飛行できるかがこの大会で試されるのだ!
……と、これがドラゴンレースの定石である。
しかし、俺にはダリアさんからもらったパラメータ調整機をもらった。
「メイズ! 今日もよろしくな!」
ギイイイイ!
1日目だから早めに休んだせいか、彼の体調も良さそうだ
「えーっと、この調整機をドラゴンの背中にセットして……うわあ! なんかドラゴンのステータスが脳裏に表示されたぞ」
◆メイズ
体力500
最高スピード150km
最大走行時間7時間
必要休眠時間8時間
1日に必要な食事量20kg
大会参加経験数3回
ゴール回数2回
最高順位79位
よし、体力、最高スピード、最大走行時間をずらして優勝してやる!
さあ、どうやってパラメータをいじるんだろう?
例えば最高スピードを200にしてみたいな……
と思った瞬間!
ピカ!
一瞬パラメータが光るとそこに記されている表示が……
◆メイズ
体力500
最高スピード200km
最大走行時間7時間
必要休眠時間8時間
1日に必要な食事量20kg
大会参加経験数3回
ゴール回数2回
最高順位79位
おお、最高スピードが変わった! こういうチートアイテムは思うだけで良いのか! じゃあ時速1000kmにしてみたい!
俺が再びイメージをしてみると……
ピカ!
◆メイズ
体力500
最高スピード220km(最大)
最大走行時間7時間
必要休眠時間8時間
1日に必要な食事量20kg
大会参加経験数3回
ゴール回数2回
最高順位79位
「あらら」
そこには1000ではなく、時速220kmと表記されていた。なるほど、パラメータの最大にはドラゴン個体の限界があるんだ。
そしたら体力と走行時間も変更してみよう。
俺は最大のパラメータをイメージする。
◆メイズ
体力880(最大)
最高スピード220km(最大)
最大走行時間8時間(最大)
必要休眠時間8時間
1日に必要な食事量20kg
大会参加経験数3回
ゴール回数2回
最高順位79位
うーむ、さすがレンタルドラゴン。
どれだけ努力してもそこまでの変化はないな。
しかしそれでも、ステータスが上がるのは良いことだ。
とりあえず俺はこのステータスでメイズに乗り込んだ!
「メイズ! 出発だ!」
ギイイイイ!!
◇ ◇ ◇
夕暮れ時
「第二チェックポイントへようこそ! 私はこの国1番行商人スパニエルと申します! ドラゴンレース2日目もお疲れ様でございました! ささ! こちらへどうぞ!」
「……あ、ありがとうございます」
(くそう! チートアイテムを使って一日中飛行してもチェックポイントに着くのがギリギリだった……初心者の俺とレンタルドラゴンじゃあこれが限界なのだろうか……)
龍方磁石の順位も52位だった。
「ちなみにここの宿泊料は入国料、ドラゴンの食事とお兄さんの食事合わせて特価40000ドランです! ちなみに朝ごはん付きです!」
(た、高え!)
大会参加者は最初に10万ドランもらっているが、大会4日間で10万ドランだ。節約しなければならない……が……この世界で野宿するわけにもいかず俺は代金を支払うことにした。
昨日使ったのが25000ドラン、朝ごはんで10000ドラン、ここで40000ドランで合計75000ドランだ。残り2日のレースで25000ドランしか使えない。
(仕方がない、3日目はチェックポイントを通過してどこかの安い村でご飯を調達することにしよう。寝場所もできればもっと安い場所を探そう)
大商人スパニエルさんのお付きの人の案内で食堂に案内された。
「ささ! 選手さん! うちの郷土料理を食べていってください! ニンニクと豚肉のスタミナ炒めです! ペーストしたジャガイモと一緒に食べてくださいね!」
「おお、なんと美味そうだ! これはスタミナが付くぞー!」
俺は夢中で目の前に広がる食事を食べきった。うまい! うますぎる!
◆ ◆ ◆
料理を食べた後、本日の宿屋へ向かう。このチェックポイントでは仮設テントではなく宿屋だ。温かい毛布、ふわふわなベッドが用意されていた。
そしてちゃっかりルームサービスで酒やつまみを売っていた。
買わないよ! お金ないんだもん!
このドラゴンレースでもらったお金も残り25000ドラン、大切に使わなければ……
俺はベットに腰掛けながら明日のレースを考える。現在俺の順位は52位で残りの日数は2日。この間にチェックポイントを通り1日目に出発した冒険者ギルドの大広場へゴールしなければならない。
優勝しなければ、俺はこの世界から天界に戻ることができない。
次のレースは1年後、優勝出来なかったら2年後……。
いや、ドラゴンレースの上位人はみんなベテランだ、最悪のケース、俺もベテランになる期間が必要なのかもしれない……。
ミミ、ダリアさん……ごめんなさい。
もしかしたら俺は一生もどってこれないのかもしれない。そして、いつかおじいちゃんになって死んでしまうかもしれない……。
俺はダリアさんとの記憶を思い出す……楽しかったこと、辛かったこと、沢山あったなあ……もう、天界には戻って来れないのかなあ……。
『ちなみに、その世界で死んでしまってもこっちの世界にちゃんと戻ってくれるから安心してね』
!!!
俺はダリアさんと初めて会った時の会話をふと思い出した!
そうだ! 死ねば俺は天界に戻れるんだ……いやいや!
『ち! な! み! に! 死ぬ時の苦痛はちゃんと味わってもらうから、せいぜい死なないように頑張りなさいよ』
ダリアさんの一言が俺の脳裏を貫いた。
死ぬ時の感覚を味わった後に天界に戻されるんだ。それはそれで嫌だよな。死にたくないし、それにこのドラゴンレースで俺はゴールしたい、優勝したいし……。自分で死ぬのは俺が優勝出来なかった時の最終手段にしよう。死ぬ気で頑張る! そういう気持ちが龍にも伝わると思うんだ。
そう思い俺は明日へのかすかな希望を持ちながら目を瞑った。




