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第三十二話 1913.8-1913.9 戦車

戦車を作り始めます。





1913年8月、俺が不在の間会社の車両部門は遊んでいたのかというと勿論そんな事は無くて、装甲車や汎用車両の生産は続けていたし、英国内の使われて居ない工場を買収してレオが開発したトラックを大量生産したりしていた。

特にトラックは、民間向けに販売された物が評判も良好で、英軍からも軍仕様の物の大量発注を受けた。

この部門だけですでに従業員は二千五百人を超えており、更に増員中なのだ。



それは兎も角、現在生産中の装甲車は第一次世界大戦用と考えれば十分な性能ではあるが、対戦車ライフルなど対戦車兵器か出てくる事を考えると少し心もとない。

あくまで装甲車は装甲車であって戦車では無いからだ。


やはりそれなりの装甲と機動力、火力を備えた本格的な戦車が必要だ。



そこで俺が考えた戦車は、車体装甲が前面が25mm、側面が20mm、背面が15mmで、前面装甲板は傾斜させる。


砲塔装甲は防盾が35mm、前面装甲が30mm、側面と後面は25mmの厚さを持ち、対戦車ライフルが貫通しないレベルにする。

そしてリングを大きく取り、将来的には三人乗りにも対応するバスケット式砲塔には、主砲の57mm砲と航空機用の機銃を同軸機銃として搭載し、砲塔上には12.7mm機銃を対空機銃として装備出来るようにする。出来れば対空機銃には砲塔内から操作できるような機構を付けたい。


主砲は、南部大佐が開発している対地支援用の57mm低圧砲を想定しているが、フランスオチキス社が開発し、イギリスや我が皇国も含め広く使われている艦載砲である6ポンド速射砲も搭載可能にする。


砲塔は、二段ギア式でハンドルを手で回転させて旋回する。砲が大型化する迄は人力で充分だろう。


勿論、ペリスコープ、ベンチレーターを完備し、排莢口も設置する。


車体や砲塔側面に大型の扉が付いている形は、強度的に問題があるのは考慮外とした。脱出はあくまで上部ハッチから行うべきだ。


エンジンは、一先ずは装甲車でも使っている自社製V型8気筒100馬力のガソリンエンジンを二基使用して200馬力を確保するが、これも将来的にはV型12気筒の高出力エンジンを一基搭載に改めたいところだ。


サスペンションはコイルスプリング式独立懸架。この辺りの特許はクリスティー式も含め予め取ってあるから後から訴えられることは無いだろう。


乗員は戦車長、砲手、ドライバーの三人、或いは戦車長、砲手、装填手、ドライバーの四人を想定している。

車体前面機銃は、装甲の強度面を考えて装備していない。


勿論、装甲は溶接接合でリベットは使わない。


この戦車の外見を具体的な例で挙げるなら、M24やM41軽戦車に似た戦車だ。



戦車の図面は既に完成しており、後は技術屋に正式な設計図にしてもらって試作品の製作に取り掛かる事になる。




製図というと、俺の感覚だとパソコンでCADソフトを使用して行うものだが、この時代だと製図台、或いはドラフターだ。

1901年にアメリカでドラフターが発売され、あっという間に世界に広まったらしい。


ドラフターの性能で作業効率がかなり変わるらしいから、俺の会社の製図室には最新の高品位なドラフターを揃えてある。


製図作業は長時間前屈姿勢で作業する為、腰痛や痔は職業病ともいえるのだが、それを改善するために、無いなら作ってしまえと前世の知識を活かして、膝乗せ台があるバランスチェア的な新型の椅子を作って導入した。


この椅子は最初は戸惑うのだが、慣れてしまえば以前より更に集中でき、明らかに体が楽で作業効率が上がると評判が良い。


新型椅子一つの値段は、それ以前の丸椅子の十倍では利かないが、社員の作業効率を高めればその分生産性が上がるからすぐに元が取れるだろう。




俺のオフィスにもドラフターなど製図用具が一式置かれてあるのだが、それを使って色々と図面を作成する。


その一環で、この時代で実現可能かどうかは分からないが、前世では実物をバラしたこともあるV-2-34ディーゼルエンジンの図面を引いてみた。今のところ戦車や装甲車のエンジンはガソリンエンジンばかりだが、やはり軍用にはディーゼルエンジンが必要だ。


このエンジンを作るには、新しいアルミ合金をうちの冶金部門が実現可能かどうかにもよるのだが、実現不能でも参考程度にはなるのではないだろうか。




その図面を、一先ずローレッジの下でエンジン関係の仕事をして貰っていた日野少佐に丸投げする事にした。


本人は将来的には飛行機の開発をやってみたいそうだがエンジン開発にも興味がある様で、この新型ディーゼルエンジンを開発できれば皇国の将来に大きく役立つ、そういう仕事だ、と話したところ大いに奮起してくれた


日本の戦車というとやはりディーゼルエンジンだからな。


それにこのディーゼルエンジンは、派生まで含めれば恐らく世界でもっとも大量に作られたエンジンだ。



まずは15トン程度の戦車です。

ちなみにひし形MK-1は28トンです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] T-34戦車等に搭載していたディーゼルエンジンはV-2-32ではなくてV-2-34ではなかったでしょうか?
[一言] 無線技術がまだ貧弱ですし、車外電話とかも付けた方が良いんじゃないでしょうか?
[一言] 戦車のデザインの歴史が前倒しすぎるw イギリス陸軍の兵器の質がWW1までに、 高い高い… 次回も楽しみです。
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