第49話 窓口に採用される条件
依頼書を張り付けた掲示板を見たときに素早くばりばり剥がしていた依頼書を束ねて脇に追いやりながらにっこりとマリーさん……
「ごめんねえ、ミルちゃん。うちの妹のミスのせいだから今出てるあのゴミみたいな依頼達はぜえぇ~んぶ綺麗えぇーーーに引っ込ませて出し直しさせるからねぇ。気にせずにやりたいの選んじゃってね。スミレ姫ちゃんの為の物のを好きにやっていいから気にしないでねぇー」
「いや、あのその……メリーさんも久々に私と話してテンション上がってただけですし……そのまま雑談みたいに話しちゃった私も悪かったですからそんなにあの……」
「えっと、スミレ姫はやめてほしいんですけどぉー……」
「関係ないわよーミルちゃん?私たちギルドの特に窓口に採用されるにはね?瞬間的にでも周囲との遮音が可能なスキルを持ってることが実は必須なのよね。これは公式にも言われるから隠してないのー。だからこうやって窓口で会話していて外部に漏らせない情報になりそうなら即座に見えなくても遮音が可能なの」
話をしながら途中で何気ない動作で遮音を発動させるマリーさん。そういわれてみれば確かに休止を依頼して依頼を受けられないことにしてる時でもたまーに王都には遊びに来たり買い物に来ていた……。そして確かに前回メリーさんと話している時にそんな魔法の発動や流れは感じられなかった。
「それなのにそれを怠ったメリーは無意識であれ興奮で忘れていたにしてもミルちゃんがギルドの仕事を受ける立場に戻ったことを知らせたことになるの。そうじゃなくてもミルは色々有名だから……。結構ギルドにも連絡とか通知多いのよ?
学院から以外にも国家関連の人から御貴族たちも……。街に戻ってきたら教えてほしい。とか遊びに来るよう伝えてほしい、とか依頼が出たら内容を教えてほしいとか…。メルちゃん愛されてるわねぇ」
「まじですか……。むしろ堤防になってもらってほんとすみません……。故郷に引っ込んでるとはいえ日々絶対やるべきみたいな感じで過ごしてたわけでもないので……」
思わず私がわたわたと謝罪しているとマリーさんが瞬きをしてから苦笑した。
「ミルちゃん……。うっかりしたこと言ったらメリーの不利になるかもとか思ってるのかもだけどぶっちゃけ今のとこ意味ないからね?」
「うーん、でもメリーさんも今回ちょっと興奮しすぎてうまくスキルが使えなかったとかミスっただけで優秀な人には違いないだろうからここから居なくなっても個人的には微妙なんですよー……。マリーさんとはまた違う魅力でギルドに来るみんなをまとめてますから……」
底抜けに明るくてちょっとドジっ子でそれでも仕事はきっちり何とかやり終えるメリーさん。そして双子の姉でしっとり落ち着きがあって相談をすれば厳しい意見もはっきりというマリーさん。
雰囲気は対照的な二人だけどどちらも人を見る目は確かでここを拠点にする冒険者の人たちは迷ったときは二人に相談することがほとんど。
二人とも相談をすれば受けるか迷っている仕事の目的や報酬に関してとことん納得がいくまで付き合って相談に乗ってくれるとあって結構好評だったり。両方に相談して異なる視点からの意見を基にパーティで議論し結果を考え絆が深まったというところもあれば解散したパーティもある……。解散になったパーティでよくあるのはお互いの理想や目的が実際には違っていて話し合いの結果での解決策だったりする。
限界を目指したい人もいれば平穏を目標にする人もいる。ギルドにいれば様々な人に出会う。冒険をしていれば生命の危機を感じるときもあってそれを機会に色々考えるパーティもある。
それぞれどんな時にも身内の議論で行き詰った時、意見がまとまらない時にギルド員に意見を聞くことはあるがメリーさん・マリーさんの姉妹の意見はいつでも適確と評判である。
とかいうことをうだうだ悩みながら話していたらマリーさんが苦笑したまま言った。
「いやーそれも分かってるしそれもまたギルドの思惑だからメリーには正直処分らしき処分は出ないからほんと気にしなくていいのよ?」
え……はぃ?……?
「ここに限らずなんだかんだでギルドの職員はそれぞれの分野で足りないことが多いからそんなに簡単にクビにはならないわよー?まぁちょっと問題があった箇所の注意を受けたり再研修になったり減給処分があったりはするかもだけどねー」
「な、なるほど……。」
確かに受付の担当の人たちもそれなりに依頼に関係する植物やモンスターに対して知識があったり深くは知らなくてもその場での確認能力は高いしコミュニケーションをとったりする能力が高かったり……
何気ない感じでサービスを受けていたけどよく考えたらやっぱり能力高い人たちなんだなとか再確認。




