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第44話 この世界のバランス

そう……あれは本当につらい事件だった。


「あの頃はさまざまな道具を借りてなんとか普通に魔力の制御が出来るようになって魔術を色々試したりするのに一番夢中だった頃なのよね……」


ちょっと遠い目になりつつ当時のことを思い出す。

同じクラスだった子だったが魔術に秀でた家系に生まれたその子で。魔力の枯渇とかを気にせずがんがん練習を積み重ねていく私を見ては大変焦っていたようで……。そんなことにはさっぱり気が回らない幼かった私や他のクラスメイトはその異変に全く気づかなかった。ある日の授業で終わった後も今日の授業でやったのがーとかだらだらと談笑している中、その子は必死に繰り返し練習をしているのを見ていた。


「ルドナ~。今日はもうそれくらいにしろよー。枯渇したらきついのはお前なんだしもう帰ろうぜー」

「っ!まだ大丈夫だ!俺はっ!まだ枯渇なんてしない!」


そう言ってさらに魔力を練り上げその日の授業で見た氷の壁を作り上げようとしたのが見えた、が。


「……っ!?ぐぁっ……あああぁぁぁぁぁっ!!」


限界を超えて振り絞った最後の魔力を全力で使って魔術を使った瞬間、いわゆる魔力の器が壊れた状態になり周囲の魔力を吸い込み暴走した。本来の自分の力ではない魔力が本人の周りを荒れ狂い自分の力ではないので制御も出来ず気を失っていた。異変に気づいた先生達が飛び込んで暴走した魔力を抑えようとしたがあまりに強い魔力の源(わたし)がいた為、中々暴走は収まらなかった。


「どこから魔力がっ!!っっ!!ミルっ!お前か!」

「へっ?!」

「暴走抑えるのを手伝えそうにないなら練習所から離れろ!」

「お、抑えるってど、どうやって……っ!」


意味がわからずわたわたしてる間に練習所から追い出されてしまった。そんな事件があったり。


自分が体験していない部分はどうしても指導が難しい……。この辺りはリメイなどともっと気軽に相談できるように調整しておかないと、と頭の片隅にメモをする。が、見た感じではメルナの魔力の最大値はまだ増えそうとは思っているのでせっかくやる気があるのでがんばって貰いたいところでもあったりする。


「えっと……がんばり過ぎないようにがんばります……けど。ミルさんはそのクラスメイトの方を失ってしまったからそれを体験として覚えて……?」

「んぁ?」


もごもごとデザートとして買っていた果物を食べていたのでのどに詰まらせそうになった……。


「いやいやいや、勝手にルドナを殺さないで欲しいんだけど?別に魔力の器自体にヒビが入った程度で人間死ぬことはないからね?どういう勘違いか分からないけど。完全に破壊されて失われたらちょっとどうか分からないけどあの時はみんなの対処も早かったしさすがに暴走を抑える専門な人たちがいる場所でそんな事件起こらないからね?」


現在は自分の経験を基にしてルドナは立派に魔術医療院で働いてますよ!


「あ、そうなんですね……。良かったですー。てっきり魔力の器が壊れたらそこでぱったり死んじゃったりするのかと思ってびっくり……。でもよく考えたらそうですよね、そもそも魔法がほとんど使えないような人でも普通に生活してるし魔力に蝕まれて亡くなったとか聞かないですもんね」


気付かれて距離を置かれるのは辛い。


「……あー、まぁ……今のとこはねぇ。その辺は大丈夫じゃないかなぁ。この世界にはその辺を調律する物があるっていうから……」

「そうなんですね!さすがに神話の域かなと図書館で本を読みながらリメイさんに質問しつつ読んではいたんですけどいまいち現実味がないなーって思ってたんですよね。この世界のバランスを取る為に使われるのが人間の魔力だっていうのが。もしそうだったらそれに必要な力なんて一人の人間に支えられるわけないですしねー」

「っ……そう、ね。普通の人にはね」


自分とは違う生き物と思われて恐れられるのが怖い。


「?ミル……さん?えっと、何か間違ってました?」

「ん、間違ってはないけど……メルナは、世界の礎についてとかは読んだの?」


きっと誰でも畏怖したり利用しようとしたり離れて行ってしまう。


「あぁ!見た気はします!って言ってもちゃんと読んだのは童話程度ので詳細な文献みたいなのはまだ難しくてそんなに理解できなかったんですけどね~」

「……やっぱりそんなのになる人たちって想像も付かないしもし会うことがあったら怖いと思う?」


……怖い。自分から見れば何の力もないただの少女が今、普通に考えているのが何かというだけでこんなに恐怖に駆られてしまう。


「え?何でです?」

「え?」

「だって基本的には資料から見れば枯渇状況の限界時にその時代にいる一番魔力の高い保有者が選ばれるってだけですよね?どんな人だったかなんて全く考慮されないってなってたから国や時代によって残された文献の意見も全然違うって言うので色々リメイさんが見せてくれたんですよね。それでどういう視点で見るかによって全く同じ事件でもこんなに違うんだってすごいインパクトでしたよ~」


第三者的な論文だったりで一応結構残ってはいるが割りとそれが起こる時期は一定ではない上に文献に残るのはその時、目撃者が要るということや文献に残る事件となるかどうかも鍵になるのではないかという結論になっている。一般の人で小さな村とかだと行方不明で消えてる人やら冒険者で冒険中に失踪なんて結構いたりする。それが事故で消えたのか礎として選ばれて連れて行かれたのかなんて分からない。そんなことも実際あると仮定されている、という話をしたりしてその日は就寝となった。



ちょっとだけシリアス風味なのが入ったりした。

新しいキャラの名前は出てきたのですが実はあんまりキャラの見た目は考えてなかったです!

キャラ紹介はもうしばらく考えさせてくださいorz

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