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第22話 つまりぶっちゃけて言えば

色とりどりのフルーツタルトや香ばしい香りのクッキー。めちゃくちゃ美味しそう。先に席に着いたミリュエル様はお茶を淹れてもらいくつろいでいる。爽やかなお茶の香りが漂い明るい窓辺によく似合う。


「お兄様、早くいらして下さいな!今日のお茶は私のお気に入りなんですのよ。……まぁ庶民の魔導師様には分からないものかもしれませんけど」

「えーっと……。いい香りのお茶だね……僕は詳しくないから銘柄とか分からないけど」

「リルティグレイのお茶ですね。柑橘の香りが特徴的で愛好者も多い着香茶ですよ。香りがつけてある中でも爽やかなので男性にも飲みやすいのではないでしょうか?」

「へぇ~。確かにこれはいいねー。甘い物をさっぱりさせてくれそうだ」


当てられて悔しそうな姉姫は無言になってお茶を飲んでいる。分からないと思ったんだろうなぁ。癖があるので分かりやすいお茶だけど一般で好んで飲む人は少なめである。


「ミル様はお茶にも詳しいんですのね。特にこのお茶は癖があるのであまり民間では飲まれないと聞いているのですが……」

「えぇ、まぁ……授業の一環と個人的な趣味というか経験からですね……」


確かに授業でも貴族社会関連の物でさらっとは習うが実際の貴族で個人的趣味によって詳しいリメイに徹底的にスパルタ授業をされた恐ろしい記憶が……。

ずらりと並んだ紅茶の缶と湯気を立てるティーカップ……。ひたすらお茶を飲み銘柄を当てるまでねちねちとこれも分からないの!?と嫌味を言われ当てたと思ったらそのお茶に関する薀蓄を語られ……。そんな特訓は私が全ての銘柄が判別出来るようになり薀蓄を覚えるまで続いた。まさにあれは地獄の日々、と思い出して遠い目になる。


「それにちょっと変わった名前のお茶だね。他のものは地名からだろうってわかるんだけどね」

「そうですね。このお茶だけはちょっと名前の由来が違いますから。リルトの爵位を持っていた貴族でグレイという方がこのお茶を作ったのが由来となっています。リルトのグレイということでリルティグレイと名付けられたそうですよ。発祥がそういったものなので貴族に好まれるのもあるのでしょうね」


へぇーとかほぉーとか感心しているが仏頂面をしている姫もフォローしないわけには行かないだろう……


「強い癖がありますし合わせるお茶請けも難しいお茶なのですよ。センスがよろしいですね、ミリュエル様」

「と、当然ですわ!これくらいは嗜みですわよ」

「王宮の図書館に勤めている司書が私の同期ですがお茶に関しては彼女が教師ですから話が合われるかもしれませんね。よろしければ声を掛けてやってくださいね」


何となく性格も似てるとこがあるから話が合うんじゃないかと思ったりした。言いませんけど!ぽつぽつとリネイル様とリシュネラ様が話題を振りながらお茶会が進む。


「じゃあミリー、リーシュ。そろそろ仕事に戻るからね。ミル殿も明日からよろしくね」

「まぁ……もう行ってしまわれますの?」

「えぇ、お兄様もお仕事頑張ってくださいませ」


席を立つリネイル様に合わせて私も席を立つ。


「今日はご挨拶だけですから私もそろそろ失礼させて頂きますね。基本の教材は今まで使っていたものを確認させて頂いてそちらで進めますね。魔法に関しては歴史の授業後に引き続いてという予定だったとのことでまだ何も聞いたことがないとのことでしたが……。時間もありますし他の授業と並行して始めたいと思います。せっかくですから実演を交えて進めさせて頂きますね」

「まぁ!魔法を使えるようになるなんて楽しみですわ!」


基本の歴史や礼儀作法、教養などが教材としては用意されていて今までも二人一緒に授業を受けていたらしい。しかしどうしても授業がうまく行かず教師となっていた人たちが音を上げるという事態。皆それぞれ王宮の仕事もある人たちだし忙しくそれぞれに合った授業が出来ていないとかそういう問題だけでもなく。部屋から出て並んで歩きながら話を聞いてみると……


「つまりぶっちゃけて言えばクビになるのが怖くて方針変換を王様に言い出せなかった、と」

「まぁぶっちゃけて言えばそういうことになるね。その点ミル殿ならアレとかあるし時間が長めに取れるから短期間の基礎作りをメインにしてもらって後の事も方針をそれぞれに出してもらえばいいかなってね」

「はぁ……一応受けた以上は仕事ですから何とかしますが。正直に姫がわがままです、とか言っても王様相手なら通る気がしますけどね~」

「僕もそう思うけどね」


リネイル様と分かれて教師をやってくれていた人たちを訪ねて回って今までの事を聞いてどこまで話したか言うことを聞いて回る。歴史と魔法は元宮廷魔導師長、礼儀作法は侍女長、教養は宰相の奥方、ダンスは義姉上こと王太子妃が担当していたとのことでずいぶん豪華。でも正直みんな忙しい人たちばかりで時間もないのは当然。皆さん気にかかっていたようでよろしく頼まれました。がんばりますよー。

お茶に関する所は作者の趣味丸出しです(何

実在の紅茶「アールグレイ」がモチーフとなっています。

アール=伯爵 グレイ=名前 ということでグレイ伯爵というお茶なんですね。紅茶の事典か何かで昔読んでおもしろいなー!と思っていたのです。

チラッと小話的に最近出番のないメルナの事とかも書いておきたいところ…。出てきてないけど頑張ってるんですよ!

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