第14話 で、誘拐は犯罪だぞ
「あれ?お嬢ちゃん、妹でもつれて来たのか?」
学院の門に近づくと門番のおじ……おにーさんが話しかけてくる。えー、姉妹に見えるほどは似てないと思うんだけどなぁ。
「いえ、今日受けた依頼でちょっとあって預かった子です。相談事があるので通行証発行お願いします」
「はいよー。期間はどうする?」
「うーん、ひとまず三日間くらいで」
詰め所にある引き出しからカードサイズの用紙を取り出しながら聞かれて少し考えて答える。
さくさくと必要な所を記入したり判子を押したりしながら尋ねてくる。
「了解。お嬢ちゃん名前を教えてくれ」
「あ、メルナ・クラウルです」
仕上がった通行証を受け取って研究棟へ向かう。てくてくと歩きながらざっくりと施設の説明をする。
「真ん中のが一般棟で初級、中級の授業が行われる場所ね。右手に見えるのがダンスホールとかがある教養ホール」
「ダンスホールなんてあるんですか……」
「貴族教養・マナー・ダンスとかの授業もあるのよ。そういうところに行く仕事もあるからね」
「なるほど~」
学院は円形の塀に囲まれていて近所迷惑防止もあって魔法での保護が掛けられている。そして敷地の半分は実践用のグラウンドになっている。
建物としては授業が行われる一般棟、ダンスホール、教員や研究員が使っている研究棟の三つ。ざっと説明をしながら研究棟に向かう。
「で、これから用事がある私の師に当たる人の部屋だけどここの一番上の階なのよね」
「一番……上、ですか……。えーっと、これ何階まであるんでしょう」
「十二階くらいまであるんじゃないかしらね。まぁ歩くとだるいから飛ぶわよ」
メルナの手を取り風の魔法で最上階へ到着。
「せーんせーい。ただいまー。ちょっと相談がー」
「思ったより遅かったな。で、誘拐は犯罪だぞ、ミル」
「誘拐じゃないっ!報告書先に飛ばしたでしょ!」
「まぁわかってるが」
くっ……この熊親父が!
改めてメルナを紹介する。
「ルイーズの村のメルナ。報告書にも書いたけど魔力はあって素質はあるけど知識とかがない。で、魔法を学びたいってことなんだけど」
「後一年早ければなぁ……まぁ言ってもしょうがないが」
ばりばりと頭を掻きながらダルディナー先生はぼやく。ぱっと見てもメルナの魔力は高い。きちんと学べば優秀な魔導師にもなれるだろう。
「で、俺の所にお前が連れてきたということはもう決めているんだろう?」
「えぇ。承認をお願いしようかと」
「承認……?えっと、魔法を教えてくれる人を紹介してもらえるというわけじゃないんですか?」
やり取りを聞いたメルナが首をかしげて聞いてくる。
「お前、帰ってくる道中で説明しなかったのか」
「えー、ほら、風を使ってたから調整で集中してたしね?」
「嘘をつけ!魔霊に「お願いね☆」とか言って昼寝の間に移動するやつが!」
そんなこともやったことがあったかな。
……てへ?
「まぁ……ちょっと色々考えたりとかで。決めたつもり……ですけど影響とか考えて先生が止めるなら諦めようって思って……」
「だがお前は大丈夫と思ったんだろう。それで引き受けると」
「えぇ。承認してもらえるならやりますよ。何かあっても守ると決めたんです」
「ならいい」
「えぇっと……?」
師弟のやり取りに置いてけぼりになるメルナが声をあげた。振り返り向き合う私とメルナの横に立ち先生が魔法を立ち上げる。
「王立魔法学院所属ダルディナーの名においてミルラウ・ランゼルムとメルナ・クラウルを師弟と承認する」
先生の声にあわせて魔方陣が現れる。緩やかに描かれる魔法陣は赤紫色をしていたがやがて私が魔力を注ぐことによって白く輝く魔方陣になる。
「メルナ、ちょっと眩しいから目を閉じておいて」
「えっ?あ、はい」
カッ!
魔力を注ぎ終える瞬間に魔方陣が光って消える。先生の手に残った魔方陣の刻まれたプレートを覗き込む。
「さすがにミルの魔力が入るとくっきりだな」
小さなプレートには虹色に輝く縮小された魔法陣が刻まれている。虹色……目立つなぁ。
「わぁ……綺麗な色。これ、なんですか?」
「個人で師弟を取る場合、第三者の承認が必要になるのよ。色々な不正というか悪用を防ぐ為にね」
「師弟を取ったと言って雑用ばかりさせていつまでも魔法を教えなかったり嫌がることを強要したりというのがな。昔は多かったのもあって改訂されたんだ」
「なるほど~……って、あれ?師弟の承認……?」
プレートをアクセサリーに加工すべく鼻歌交じりに奥に向かう先生を見送りながらメルナにっこりと笑いかける。
「よろしくね。初めてのお弟子さん?」
「は?え!?えええぇぇぇぇーーー!?」
説明は事前にね!(ぉ




