第13話 それでもどうしても学びたい?
「そういえば魔導師さんは武器とかは持たないんですね。魔法使う人は杖とか持っているものかと思ってました」
「あぁ……基本的には杖とか持つ人は少ないかもしれませんねぇ。棒術とかを修めた人は使うこともあります。割と得意武器をそれぞれ持つことが多いですよ。剣とか使う人もいますし」
「ミルさんは武器使わないんですか?」
「授業でやるから一通りの武器は使えるけど基本は体術のみかな。潜入系の依頼や護衛のときもそっちのほうが便利だからね」
確かに武器を持つほうがリーチは伸びるしより強力なダメージを与えたりと便利なときもある。
が、潜入や追跡は狭い通路を使うことも多く物が増えると不利になる。また貴族などの夜会の護衛などには大きな武器の持ち込みは目立つので出来ない。
なぜか私に回ってくることが多かった依頼でご令嬢の身代わりや侍女に扮しての護衛は素手のほうが便利というかそれしか出来ないと言うこともありそっちばかり得意になってしまったのだ……。
まぁドレスで武器を振り回すご令嬢はいないよねぇ……基本的には。何事にも例外はあるけど。
夕暮れが近づいてきた。そろそろ帰らないと王都に着くのが遅くなりすぎる。帰ってから報告をしたりと考えるとそろそろタイムリミット。
「さてと。そろそろ私は王都に戻りますね。出来るだけ手配は急ぐよう頼んでみますが……」
「いえ、お引止めして申し訳ない。よろしくお伝え下さい。ありがとうございました」
村長さんに挨拶をして帰路に着き……
「ミルさん!待って下さい!」
村の奥から肩から鞄を掛けたメルナが飛び出してくる。何かあったのかと首をかしげている私の前に来てガバ!と頭を下げる。
「ミルさん!私も連れて行ってください!魔法を学びたいんです!」
「……はい?」
予想外の事態。確かにメルナには比較的高い魔力があるし素質はあると思うけど……
思わずフリーズしている間に周りの人たちが集まってくる。
「メルナちゃん、本気で言ってるのかい?」
「はい。ミルさんも魔力があると言ってくれました。それに正しい知識を学んでいつかこの村に帰りたいんです」
「だが……正直魔法を学んでも魔術師や魔導師になれるとは限らないぞ?確か王立魔法学院でも入学に対して卒業まで行くのは三割程度だ。そうだよな?ミル?」
ライルの問いかけではっとフリーズから戻ってくる。
確かに学院の卒業率は三割程度。しかもぱっと見る限りメルナの入学には多分問題がある。
「えーっと。そもそも根本的なところで学院への入学は無理……と思う。一応確認するけどメルナは何歳?」
「え?十二歳……ですけど」
「今年の入学試験はもう終わっててね……。学院の入学試験を受けることが出来るのは十二歳までなのよね。編入は基本的にないしあっても条件は入学試験より厳しくなる」
そもそも卒業までも色々厳しいから卒業率が低いのだ。初級は抜けられても中級・上級で脱落する人が多い。別の道を選んだり個人の師を見つけて辞めていく人もいる。
入学が可能な年齢は七歳から十二歳。そこから初級・中級・上級と進んでいくがそれぞれの級で基本の年数は二年、三年、三年。そして留年の制度もあるが留年可能な年数が級ごとに決まっていてそれを過ぎると容赦なく退学となる。
そんなシステムを軽く説明してからメルナに確認する。
「魔法を学ぶのに一番の近道は学院だと思うわ。王立だから本人の才能とやる気があれば授業料の免除や生活費の補助もある。でも今の所メルナはそれが使えない。それでもどうしても学びたい?」
「……やります。他に方法が全く無いわけじゃないんですよね?個人で師に付く人もいるってことですよね?紹介してもらえれば雑用をしながらでも教えて貰えるなら何でもやります」
個人の師でいいなら心当たりが無くはない……けど……。
「あー……。まぁ雑用をする必要はないけど……。うーん……まぁ帰ってから相談かな……」
『?』
「じゃあひとまずメルナは私預かりということで相談に乗ることにします。何かあれば学院宛に連絡をもらえれば私に繋がりますので」
「そうですか……。ではこの子をよろしくお願いします。メルナもしっかりな」
村の人たちから激励を受けるメルナを連れて帰路に着く。
「じゃあ二人ともちゃんと捕まってて。囁き渉る翠の風。空駆ける翼!」
行きと変わらず飛ばしまくって夜遅くなる前には王都に到着。さて色々手続きが必要そうだけど……。すっ飛ばして早く進められそうな手があるんだから使わないと損だよね。
「ライル。これさっきの村の報告書だけど~。ライルのほうから騎士団に上げといてくれない?処理できるだけ早くってことで」
「パシリかよ!?まぁいいけど。じゃあ俺からの報告ってことで上げとく」
「お願いね~。とりあえず私は相談もあるし学院に戻るけどどうする?」
「んー。俺はこのまま報告に行って帰るかな。何かあれば俺がそっちへ行くから」
「じゃそれでよろしく~」
ひらひらと手を振って城に向かって帰っていくライルを見送ってメルナに向き直る。王都は初めてらしく落ち着き無くきょろきょろと周りを見ている。
「さてと。じゃあひとまず学院に行きましょうか。今後のことも相談しないといけないしね」
「あ、はい。よろしくお願いします!」
学院に関する説明の補足。
各学年で留年可能な年数が限られていると説明ですがどれくらいか書いてなかったですね~。
初級の留年は1年、中級・上級はそれぞれ2年の留年が可能です。
内容的に初級は基礎的な勉強や魔法の理論、マナーなど。
中級は魔法の応用や実践を中心に依頼で使うこともあるので上級のマナーなど。
上級は自分の専門を選んで各教師の研究室に入ることと学院に入る依頼をこなしたりする。という感じです。
わかりにくいところやご意見・ご感想などお待ちしております~。




