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ミレニオの行方

咲が手にしていたのは、ミレニオらしかった。

こんなボロ板がミレニオとはにわかには信じ難い。

このボロ板のために俺は…


ただこれなら博士に見つかってもすぐにはバレないだろう。果実だと思っているはずだし、もっと荘厳な外見を期待しているに違いない。


咲はミレニオの外観に驚いて「伝播しろ」と言われたもののどこに持っていくべきかを聞きそびれたらしい。戻ってモムラキプラートに聞くように言っても、クノーに聞くと言って下山した。


そんなにモムラキプラートが嫌なのか?

むしろ会ってみたくなった。


家に戻ると咲がミレニオを机に並べた。

なんとなしにミレニオを触って、その手をぺろりと舐めてみた。

するとものすごい喉の焼ける痛さ、胸焼けのような吐気に見舞われた。


咲も心配して、水を飲ませてくれるがそれで収まる気配はない。

すると「吐いた方がいいよ」と突然、咲が俺の口に指を突っ込んだ。

「待て待て、せめて言ってから行動に移せ」そう言いたいが嗚咽で言葉にならない。


胃の中が空っぽになって、胃袋まで飛び出すんではないかというくらい吐き出すと咲の手が緩んだ。


咲は時計草に、このままだと俺が昇華すると脅されたらしい。それを伝えてくれたら自分でやったのに…

死にたかったはずなのに、こんなに苦しい思いをしてここで生きようとしていることが我ながら笑えた。


翌日クノーに聞くとさっさと他の天界にミレニオを配れと言うのでナミさんに断って、早速北天界に出発した。


北では俺たちをハルが出迎えた。

そして一服するとすぐさま森へと向かった。


森に着くと咲は、あっという間に木々に攫われた。樹冠に持ち上げられると、どこか目的地へと連れて行かれた。

この前の学びもあるし、咲は風電話に出るから大丈夫だろう、と思ったのは甘かった。

なかなか帰ってこないのでメッセージを残してもなしのつぶてだった。

迎えに行こうとすると木々が邪魔をしてくる。八方塞がりだった。


唯一の救いは森の中で咲が酷い目にあうことはまずないと思えることだったのに、咲からやっときた返事は「死ぬところだった」で、慌てて木々を押し除けて道なき道をハルとともに進んだ。


結局、俺たちは無駄に歩かされて、もといた場所に戻って来ると咲が木と笑って話していた。

安堵と同時に木々への怒りが爆発して咲を思いっきり抱きしめた。


翌日、北天界の特産の毛糸の木を見てから飯を食った。そして咲がミレニオの入ったバッグを店に忘れたので取りに戻るとバッグは消えていた。

まあ、天界には浄化された善人しかこないからなと楽天的に考えていると、案の定、バッグはすぐに見つかった。


でもミレニオだけがなくなっていた。

俺も気が緩んでいた。


誰だ?

ここには善人しかいない。

つまり、善人ではない…ハルが一番怪しいと考えるべきだ。


でもなぜだ?

あれがミレニオ、或いは価値あるものだとなぜ分かった?

俺たちは敢えてミレニオという言葉を使わずに話していたはずだ。

いや待て…一度だけ


でもあの外観だ。

ハルもまだ確信できていないだろう。一緒に探すふりをして、盗ったものがなんなのか確認しようとしてくるに違いない。


咲…俺なら咲を落とす。


確証はなかったが、ハルが怪しいと咲に告げると咲は反論した。

俺だって疑いたくはない。


翌日、咲と街を歩いていると奇妙な昇華を遂げたという男の話を聞いた。


昇華は基本的に数日前には予感があって別れの時間がある。当日もゆっくりと天に昇り見守られながら消えていく。

でもそいつは瞬時に消えたという。


時計草の言葉を信じると、ミレニオには昇華を早める力がある。

だとすると…犯人はすでに消えた奴なのか?


でも消えた奴の持っていたというバッグにミレニオはない。

どこに消えたんだ?



久しぶりの投稿になりました。

ハルが信じたいアンセと咲。

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