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ヴィジターキラー  作者: 反物質
第3章 「異世界転生したので錬成スキルで裏社会を牛耳る件について」秋山利人
33/110

3-8(第三章終了)

 ギルドの「監獄棟」にて。

「出ろ」

 ギルドの獄卒の号令で、受刑者の男達がぞろぞろと広場に集まる。彼らは先日トーヤ達に捉えられた盗賊達だ。

「お前達に朗報だ」

 獄卒のリーダー格の男性が、書類を見ながら話を始める。

「ついさっき、“城塞都市オーレッツェーの建造物から、人々を病に冒す呪いが掛けられている。そのため急遽当素材で構成された建造物を解体、速やかに立て替えを行う”という連絡が入った」

「!?」

 受刑者達が、にわかにどよめく。

「情報によると、これらの素材は町のほぼすべてで使われていたようで、これら全てを建て替えるということは、非常に莫大な人員が必要となる。・・・・・・そこでだ」

 男性は剣を抜くと、それを頭上に掲げた。

「お前達の大半が“建築業”を生業としていたと聞く!我々が手配した“輸送機”に乗り、速やかに目的地にて建設作業に従事すること!!一定の成果を上げたものは、釈放してやろう!!せいぜいあがくがいい!!」

「「「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」」」

 挑発的ともとれる男性の言葉に、しかし盗賊達・・・・・・否、大工達は、そろって雄叫びを上げた。








 ある町のオフィスにて。

「部長!!石材10t注文が入りました!!」

「よし、“ギガドラス探鉱”に依頼だ!!」

「部長!もうギガドラス探鉱のキャパシティは満杯です!!」

「だったら、“ハイパードリル”に連絡だ!飛び込みだから、慎重にな!!」

「部長!そんな折に“ハイパードリル”から営業が来ています!」

「オーケー、だったら俺が直に言ってくる!!」

「部長!!空から大量の鉄鉱石が!」

「お前は今から課長じゃあ!!」

「ひぃいいいいいいいいい!!」





ある鉱山にて。

「掘れ!!どんどん掘るのだ!!」

「再開山祝いじゃぁああああ!!」

「親方!人手が足りません!!」

「親方!!冒険者達が“探索ついでに採掘をしたい”と!!」

「だったらクエスト発行じゃぁ!!“たん掘れ鉄鉱石”!!鉄鉱石500キロ納品じゃあ!!」

「「「一掘り行くぞ!!」」」







「・・・・・・・・・・なんか、どえらいことになっちまったな」

「うん。こんなにみんな困ってたんだね」

 トーヤとネロは呆然としながら、慌ただしく門を人が、馬が、貨物が、出入りするのを見届けていた。

「トーヤさーん!!」

「マナか」

 大変びっくりした様子で、トーヤの元にマナが駆け寄ってくる。

「な、何なんですか?!これは!!なんでこんなことになってるんですか?!」

「そりゃあ、そうなるよな」

 どことなくさみしい雰囲気がしていた町が一変、非常に賑やかに変貌しているのだ。それは困惑するのも必至だろう。

「この町の経済は、秋山が回していたわけだ。大工も、鍜治屋も、運び屋さえも仕事を奪われていたわけだ。その秋山を討伐しただろ?そうしたおかげで奴が独占していたサービスが動き出したわけだ。しかもアイツが建てた建物は“呪い”をまき散らす代物だった。だから建物を新たに建て替える必要が出てきた。建物の材料が必要だし、建物を建てる労働力もいる。だからいろんなところから人が来るようになったし、物も届くようになった。・・・・・・・本来の姿に戻った、って方が正しいけどな」

「う、うーん・・・・・・よくわからないですけど・・・・・・」

「まあ、ややこしいよな」

 いまいちよくわかっていないマナは、首をかしげていた。そんな彼女の頭を、トーヤはなでてやった。

「・・・・・だけど、今この町がこういう風に動いているのは、お前のおかげだ」

「え・・・・・・・?」

 突然優しくされたマナは、何をされたのか一瞬解らずに困惑する。

「エミリアから聞いたぞ。お前が町長を含め、必至に説得してくれたおかげでこんな風にみんなが動いて、自分たちで考えて、そして町を作り直すように再出発したんだ。奴らは“異世界の呪い”から、抜け出すことができたんだ」

「え、えへへ・・・・・・・」

 マナは恥ずかしそうにうつむいた。

 考えてみれば、あれだけ「加護」で頑丈に作られた建物が、今は一般人の手でも解体できるようになっている。これも利人が死んだためか。だとしたら、「転生者の加護」は同時に「転生者の呪い」とも言えるのは皮肉な物だ。

「隊長。これから我々はどうするか?」

「そうだな。しばらくは町長と会談を重ねてある程度目途を立たせ、復興の軌道になってきたら___________」

 トーヤがエミリアに指示を出してきた、そのとき。





「お前・・・・・・・“氷河﨑(ヒョウガサキ)”か?」

 突然、青い鎧に身を包んだ少年が話しかけてきた。




「!!」

「え・・・・・誰?」

 エミリアは少年の顔を見るなり、目を見開いた。マナも突然の出来事に驚いている。そんな彼女らをよそに、少年はトーヤに詰め寄る。

「やっぱりだ!!俺だよ、“立川護タテカワマモル”だよ!!ずっと今までこんなことをしてきたのか?!」

 その少年の表情は悲痛な物で、嬉しいような、悲しいような、笑っているような、泣いているような、複雑な表情をしていた。

「なあ、もうこんな汚れ仕事なんか、もうやめよう?この町にはもう俺のほかに何人かしか残ってないけど・・・・・・お前をいじめてた奴はみんなどっか行ったからさ。だから、今度こそ一緒に_____」

 と、必至に問いかけてきていた少年に対し、




パァン!!とトーヤは思いっきり平手打ちをした。




「・・・・・・・・・・・・!!」

「キャッ・・・・!?」

 トーヤの行動に、マナは思わず悲鳴を上げる。これまで彼が戦うところを見てきたが、いずれも彼は手に武器を持っていたり、足技を駆使するなどしていたため、予想外の反応に理解が追いつかなかった。ビンタされた護は、その場にぺたりと女の子のように倒れ込んだ。

「貴方誰ですか?私に馴れ馴れしく話しかけないでください」

 これまでに見せたこともない様な冷たい表情で、トーヤは護を見下していた。

「あまり勝手なことをすると、法に抵触して貴方を処罰せざるを得ません。そうならないように、せいぜい気をつけることですね」

 突き放すように切り捨てると、トーヤはスタスタとその場を立ち去った。

「エミリア、マナ。詳しい話は後でやろう」

 とだけ告げて、顔も見ずに「練兵宿舎跡地」方へ歩いていく。あまりにもドライな態度に、マナは動揺を隠せなかった。

「うう・・・・・・氷河﨑ぃ・・・・・・うう・・・・・・・」

 護はその場に泣き崩れて、聞いたこともない名前を口にしていた。

「・・・・・・・・・・エミリアさん」

 マナはここ最近感じ続けていた疑問を、ついに打ち明けた。

「あの人は・・・・・・トーヤさんは、何者なんですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 エミリアはしばらくの間、ばつの悪い顔をしていた。やがて意を決したかのように深呼吸すると、話を切り出した。

「・・・・・・・いつかはこの話をすることになると思っていた」

 何やら意味深な前置きをした彼女は、重々しく口を開く。














()()()は“氷河﨑(ヒョウガサキ)凍耶(トウヤ)”・・・・・・かつて2年前に異世界から召喚された“元”転生者だ」

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