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ギルドを追放された支援魔法士は悪魔※とギルドを創る  作者: るちぇ。
第3章:神よ、頼むから大人しくして下さい
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神よ、帰っていいですか?

 真っ白な光に照らされた道をルークとアイリスは歩く。


――オーラと言えばいいのか、空気と言えばいいのか


 とにかく、超常の力が渦巻いている感覚をルークは覚えていた。


「大丈夫か、アイリス?」


 だからこそ心配した。


 というのも、メフィストによると、魔族がこの空間に入ると浄化されてしまうらしい。


「あぁ……何てことだ」


 その頬は朱色に染まり、息が荒くなっている。


――やっぱり、ハーフでもきついのか


「幸せだ」


 大丈夫らしい。


「旦那様と2人きり……それも、誰にも邪魔されることなく2人きり! 幸せ過ぎて、頭がおかしくなってしまいそうだっ!」


――頭は元からおかしいだろ


 内心で突っ込みつつ、ルークは歩を進めた。


「なぁ、旦那様。ここなら人目もはばからず子作りもできるんじゃないだろうか?」

「はばかれ。神様が見ている」

「祝福されそうではないか」

「追い出されるだろ」


 途中、アイリスが暴走しないよう努めて冷静に対応しながら、着いた先は――


「こ、ここは……」


 ――民家だった


 ルークたちは知らない物ばかりである。


 壁はむき出しの木造で、床は畳。


 古びた本棚には日焼けした本が並ぶ。


ちゃぶ台の奥には白黒のテレビが点いていた。


「ここは……何だろう?」

「奇遇だな、旦那様。私も全くわから……ん? なんだ、そこにいるのは」


 布団の中でもぞもぞと何かが動く。


「ん、んんー?」


 のそりと顔を出したのは、16、17歳くらいの少女だった。


 ルークたちを見て、目をパチクリさせると、


「に、にに、人間!?」


 バッと飛び起きた。


 寝ぐせの付いた髪を一生懸命に手で直そうとして、また跳ねる。


「あぁ、もう! 来るなら来るって言ってくれないと! ちょっと待ってて!」


 少女は慌てて隣の部屋に消えて行った。


 それから数分後。


 襖が開くとそこには――


「ま……まさか」


 ルークは息をのんだ。


 なぜなら、その少女はどう見ても神様だったからだ。


 絵本に出てくる神様の着る白いワンピースの服を着ており、何より背後から神々しいオーラを放っていた。


 少女はすっと目を開けると、


「ワッチャネ?」


――は?


 意味不明な言語を話した。


 ルークはアイリスに目を向けるが、


「何語だ、それは?」


 アイリスも分からないらしい。


 すると神様は、


「あ、あれ? 人間界の共通言語で話したのに通じない? ううん、きっと発音のせいね。もっとたどたどしく言ってみましょう、うん」


――人間界の共通言語?


「ドゥー・ユー・ノウ・神?」


 ルークたちは首を傾げた。


「え、嘘、これでも通じないの? なんで? 英検4級に合格した私が間違える訳がないのに」


 なぜなぜ、どうしてと連呼する神様。


――その言葉でいいんだよなぁ


 ルークはとりあえず指摘してみた。


「あのー、普通に通じていると思うんですが」

「まさか……あはは、まさかこの言葉が通じるなんて不条理、ある訳ないよね? そうだよね? もしも通じちゃったら、神様の貴重な時間を浪費した事になるんだけど、本当にそう主張するの?」

「えぇ、その……通じています」


 そこまで言われると肯定しにくいが、ルークは負けなかった。


 神様にも心当たりがあるのだろう。


 見る見るうちに目を潤わせていく。


「そ、そこまで言うのならこれを復唱しなさい! アナタハ神ヲシンジマスカ? ハイ、シンジマス」

「え? えーと……貴方は神を信じますか? はい、信じます」

「な、何てことなのっ! こんなところに貴重な信者が!」


――こいつ、面倒臭い


 ルークは大きな溜め息を吐いた。


「な……! 溜め息を吐きたいのはこっちなんだけど!? あの辛く苦しい努力の日々は何だったの!? うぅ……許せない、裁いてやる! 神罰よ、神罰!」

「そんな無茶苦茶な……」

「神様の苦労を無為にしたのよ!? これ以上の大罪があってたまるかっ!」


――本格的に面倒臭い


 そして頭を抱えたのだった。


「とりあえず涙を拭いて下さいよ……その、神様」


 流石は神様か。


 罵るだけ罵ったら少し落ち着いたらしく、それっぽい雰囲気を醸し出す。


「オホン。それで、何用ですか?」

「え、えーと……勇者になりたくて来たんですが」

「なるほど、勇者の神託を受けに来た。それは面白い。貴方にその資格があるかどうか試させて貰います……と、その前に、ひとつ問うておきたい事があります」


 ルークは少し身構えた。


 曲りなりにも神様からの問いだ。


 どんな事を聞かれるのか、全く見当も付かない。


「定価というのは商品の値段、という事で合っていますか?」


 見当が付いたら異常だった。


「は? え、えーと、たぶん」

「では、次の質問です。どれも10円で売っている本屋さんがあります。定価はどれも10円ではないのに、です。この不条理、どう説明しますか?」

「古本屋さんじゃないんですか?」

「古本屋……なるほど。ではひょっとして、この昭和特集という雑誌は現代にそぐわない可能性があると言う訳ですね?」

「帰っていいですか?」


 ルークは心から聞いたのだった。

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