表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ギルドを追放された支援魔法士は悪魔※とギルドを創る  作者: るちぇ。
序章:悪魔と手を結んだ日
3/37

笑いがバックな感動劇

「キャーーーッ!」


 ルークとイブリースがそちらを向くと、モンスターに襲われている3人パーティーがいた。


 男が1人倒れ、もう1人の男が嫌がる女性の腕を引っ張っている。


「俺は……もう……駄目だ。ミリア、お前だけでも逃げろ……っ! クリオ、後は頼むぞ……!」

「あ、あぁ、任された! 逃げるぞ、ミリア!」

「嫌よ! ヨシオを置いて行くなんて!」


 敵はグリズリー。


 青い毛並みが特徴の凶暴な熊である。


 グリズリーは倒れたヨシオにゆっくりと近付くと、その鋭利な爪を振り上げた――


「おい、偽魔王! 邪魔するなよ!?」

「最初から最後までそっちの誤解じゃないですか! 冤罪です! 直訴してやります!」

「いいから黙っていろ! リフレクト・シールド!」


 振り下ろされる直前、ルークの防御魔法が発動。


 金属が擦れる音が響き、その爪は砕けバラバラと落下した。


 激痛に顔を歪め、グリズリーは悶える。


「え……?」


 なぜ助かったのかと疑問に思ったのだろう。


 しかし3人はすぐにルークを見つけ、歓喜する。


「あ、あれは……<宵闇の竜>の幹部、ルークさん……!」

「ほ、本当だ……! これで何とかなるぞ!」

「お、お願いします! ヨシオを助けて下さい!」

「言われなくても!」


 気合い十分に言い放つルークだが、生憎と、倒すことはできない。


 攻撃手段を持たないからだ。


 見たところヨシオらの装備は貧弱で、あの分厚い毛皮を貫くのは無理だろう。


 ――どうしたものか


 ルークが思案し始めたとき、


「ねぇ、寄生虫。どうしてあいつらを助けるんですか?」


 イブリースは心底不思議そうに尋ねた。


「誰かを助けるのに理由が要るのか?」

「ほ……ほほぉ、言質を取りました。いいでしょう――」


 ひとつの影が駆け抜けた。


 それは黒い手――イブリースの影から伸びたものだった。


 そのままグリズリーの横腹を抉り、奴は更に悶える。


 致命打ではない。


 しかし、確実に装甲を貫いている。


「――加勢してやります。我が力に感謝せよ、ふはははっ!」

「お、お前……!」


 ――いける。ウザいけど、いける。


 確信したルークは指示を出す。


「支援魔法をかける! イブ、奴の心臓を穿て!」

「契約完了、毎度ありです!」


 再び伸びる影の手。


 だが、グリズリーもアホではない。


 強敵と分かるや否や、背を向けても逃げ出そうと試みる。


「逃がすか! グラビティ・バインド! そしてストレングス!」


 足元に黒い魔法陣が出現し、グリズリーは地に伏す。


 身動きが取れない様子で、もがくのが精一杯のようだ。


 それを見下しながらイブリースは無い胸を張り、


「おい、熊公。お前も相手が悪かったですね。魔王軍幹部候補生の中でも遠近両用職、シャドウ・ルーラーの――」

「――早く仕留めろ」


 長過ぎる前口上のため、頭頂部にチョップを食らった。


 頭を押さえてうずくまる。


「いったぁ……っ!? べ、別にいいじゃないですか! 名誉挽回のチャンスなんです!」

「もう一度だけ言うぞ? 早く仕留めろ。さもないと同じ目に遭わせてやる」

「なっ!? わ、私が美少女だからって、這いつくばらせて欲望の限りを尽くそうという魂胆ですか!? 無理もありません。えぇ、甚だ不本意ですが、クズ男の衝動を受け止めるのは美少女の務め! だから――」


 そうこう言っている内に魔法が解けてきたのだろう。


 グリズリーは何とか自由になった手を振り上げ、イブリースへ向けた――


「――空気を読んで下さい、ケダモノ」


 ――その瞬間、影の手が背部から心臓を貫く。


 支援魔法で威力も上がっているためだ。


 イブリースは素直に感心する。


「へぇ、支援魔法も侮れませんね。私の引き立て役、本当にどうもありがとう」

「何か癪に触る言い方だけど、まぁ、勝ったから良しとしよう。ところで、誰がクズ男だって?」

「え、そこに反応するんですか? 自覚あるんですね――って、な、何ですか、そのワキワキする手は! だ、ダメ、やめろーっ!」


 イブリースがくすぐられたため腕は消失。


 加えて魔法も解けたというのに、グリズリーは微動だにしない。


 既に事切れている証拠だった。


「や……やった……?」


 3人は、ただただ呆気に取られていた。


 隔絶した力の差を見せ付けられ、理解の範疇を越えたのだ。


 しかし、助かったことだけは間違いなく、


「あ、ありがとう……ありがとうございます!」


 紅一点のミリアは深々と頭を下げると、ヨシオの下へ走った。


「ヨシオ、あぁ……ヨシオ!」

「ミリアッ!」


 それを見守るクリオは、ホッと安堵したように胸をなで下ろしたのだった。


 なお、この感動劇は、


「あはははははっ! わっ、わき、脇はあっはははははっ!」

「ここか、ここがえぇんか!」

「た、たすけっ――あっはははははっ!」


 爆笑の中で行われていたのは言うまでもない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ