第二十二話 アシヲス再び
「フハハハハ!! エルフ如きに酷いやられようではないか正嗣。まるでボロ雑巾のようだぞ」
目が覚めると今朝の白い世界にアシヲスがいた。
またコイツか。
鬱陶しい笑い声を上げやがってコッチはウンザリしてんだよ!
「なんの用だアシヲス。
俺は腕と足を折って療養中なんだから放っておいてくれ」
「おいおい、ご挨拶だな。
正常にリンクが繋がったから来てやったんだぞ。
少しは感謝したらどうなんだ」
「どこをどう感謝しろって言うんだ。
戦闘はお前の領分じゃなかったのかよ!」
今日の事だって立派な戦闘だろうが!
「あんな格下相手にいいようにあしらわれやがって情けねぇ。
お前弱すぎだぞ。
早く俺様を超えないと体を奪われてしまうのに呑気なものだな」
うるせぇ! 俺が弱かったんじゃない。
相手が強かったんだ。
俺だって早く強くなりてぇよ!!
「……これではいつになるか分からん。
俺様は待つのが嫌いだ。だから手っ取り早くお前には強くなってもらう。
それと引き換えに支配度を六十%に引き上げてケガも一緒に治すからな。
感謝しろ弱嗣」
誰が弱嗣だ!
お前が早く暴れたいだけだろ。
それに支配度を一気に上げたりしたら、俺がお前を超える事は出来ないんじゃないのか?
「なに、心配はいらん。
戦闘くらいしか手を出すような事はせん。
早く俺様を超えろ。
それまで支配度は六十%を維持してやる」
なんだよしてやるって。
俺なんかお前を住まわせてやってんだぞ。
それくらいタダでやってもいいじゃないか!
損した気分が半端ないぞ。
「さあて、もうじき朝だ。
左腕と右足の治療は完了だ。
以前より魔力が体を巡りやすくなっているからな。
気お付けておけよ」
言うだけ言って背を向ける。
赤いマントを翻しながら漆黒の闇に帰っていった。
目が覚めると本当に腕と足は治っていた。
ただ、力の加減がかなり難しい。
歩くだけで床を踏み抜き、手を置いただけで物が壊れた。
一番気お付けているのは、人との接触だ。
触れただけで肉片になりかねない。
「え、なんで正嗣さんが」
「おお、マサやんやっぱりアタシが作った鍋が効いたんだよ!!」
お前の鍋は野良犬に食わせたよ。
そのあと野良犬がどうなったかを俺は知らないが。
死んではいないと思うけど。
「二人共おはよう。
やっぱ骨を折ったら牛乳がいいみたいだね。
一日で骨折が治ったよ」
ウソだ。
当たり前にウソなんだが、そういう以外なんて言えばいいか思いつかない。
「やっぱり牛乳はいいんですね。
私も骨折したら飲んでみます」
「そうだね。お腹がはち切れるくらい飲んだらその日の内に治るんじゃないかな」
そんなに大真面目に返されると流石に心苦しいぞ。
そこはさ、ウソだよね?
なんで治っているのなんて言ってくれよ。
そうじゃないと俺が一人悪者になるだろ。
「さあ、今日も張り切って朝食を作ろうか!」
居たたまれず俺は話題を変えた。
そうだ。俺は朝食を作るためにここに来たんだ。
「今日から学園に行かれるのですよね? 正嗣さん」
――そうだった。
俺、全然準備してないぞ。
何か必要な物とかあるのか?
「初登校の場合は何を持っていく事になっている?」
「特に何も持って行かなかったような気がします」
「そうそう、制服も向こうで着替えるし、教科書も学園側からの支給だったしね」
そうなのか?
筆記用具とかいらないの?
カバンは?
「正嗣さんは特待生ですよね?」
「ああ、特待生だよ。入学テストにはパスしているから」
「なら必要ないね。そうだ! 一緒に学校行こうよ。マサやん」
お前はジャガイモの皮むきに専念していなさい。
危ないだろ。
「分かったよ。ルスティーナも一緒でいいか?」
「もちろん。大勢で行ったほうが面白いしね」
朝食終わりに寮の前で待ち合わせする事が決まった。
朝食も作り終えたし、ルスティーナを起に行くとするか。
明日も6時にお会いしましょう。
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