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第十四話 化けてる

 俺は朝食の準備を済ませ、俺の主人・ルスティーナの部屋へ向かう。

 恐らくあの子はまだ寝ているはずだ。

 俺が起こしに行く前に起きている所など見たことないし。

 それに寝起きが悪いからな……

「おはよう。ルスティーナ、起きている?」

 俺はルスティーナの部屋をノックして声をかける。

 これもいつもの事で、返事がないことなどここ半月で当たり前のようなもの。

 案の定、部屋の中から返事が返ってくる事はない。

 俺はいつものようにルスティーナの部屋へ足を踏み入れた。

「誰ですか……アナタ?」

 いつも寝起きが悪いルスティーナは俺が入ると同時に飛び起る。

 ルスティーナの纏う魔力障壁が瞬時に分厚くなり、彼女の俺に向けて突き出された右手には青い魔弾。

「誰って。俺は館 正嗣だよ」

 俺はクローゼットに近づき中からルスティーナの制服を取り出しベッドに置く。

 昨日洗い場から帰って来たばかりの物だ。

「ほら、寝ぼけてないで早く着替えてください。遅刻しますから」

「……マサツグに上手く化けているようですが、魔力の色や質まで似せることは出来なかったようですね」

 え、化ける? なに言ってんのこの子。

 おかしな子だと思っていたけどこれ程とはな。

「どうしたのです?

 いい加減正体を現してください――そうですね……

 マサツグだと言うのならその証拠を見せてください」

 いや、正体を現せって言われてもな。

 さて、どう説明したものか……

「分かった。でも怒るなよ――

 ルスティーナのお尻にはホクロが二つある。

 ルスティーナは二日前、オネショをした。ルスティーナは……」

 俺はルスティーナが止めるまで――

 約五分間に渡ってここ半月で俺の知っている限りのルスティーナについてしゃべり続けた。

 最初の方は唖然とした顔が泣きそうになったり嬉しそうになったり、最終的には顔を真っ赤にしていた。

「え、ええ。まま、マサツグみたいですね。

 これでもかって程、私の事を知っているじゃないですか」

 だろ。俺も思い出すのがんばったよ。

 でもさ。なんで君の右手にある青い魔弾はさっきより大きくなっているんだい?

 五倍くらい大きくなっているみたいだが……

「あのさ、ルスティーナ。

 もう魔弾はいらないと思うんだけど」

「記憶が吹き飛ぶくらい衝撃をあたえてみようかと思っているの」

 可愛らしく微笑んだルスティーナは俺に向けて青い魔弾を放った。

 俺は悪くないだろ!


「で、一体どういう事なのです?」

 俺は自分の部屋を半壊させ落ち着いたルスティーナと食堂に来ていた。

 ようやくまともに会話が出来るな。

 俺は昨日起きた事を話していく。

「――それで最後に死前名を……って聞いてるか?」

 ルスティーナは黙々と朝食をとっていた。

 最初の方は我慢して俺の話を聞いていたが、目の前に並ぶ料理にグーグー腹を鳴らし始めた。

 俺は料理が冷める前にルスティーナに食べる事を進めた。

 ――が話は聞いてくれ。

「ふう、今日も美味しかったですよ。マサツグ」

 口元をナップキンで拭きながら俺に目を向ける。

 お腹がいっぱいになて幸せそうだな。

「マサツグ。少し付き合ってください」

 ルスティーナは席を立ち、食堂を後にする。

 俺は慌ててそれを追いかける。

 向かう先は――俺の部屋だと!

今日は

短くなりましたが明日もお会いしましょう。

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